「友だちのうちはどこ?」「桜桃の味」などで知られるイランの映画監督
「ぼくは話があるんだ、きみたち、子どもたちだけが信じる話が」は、30歳のキアロスタミが初監督作「パンと裏通り」と同年の1970年に発表した作品。現代詩人アフマド=レザー・アフマディーが詩的な言葉で少年の心理を幻想的につづる物語で、さまざまに交錯する「ぼく」の記憶が、季節の移ろい、夢と現実、永遠と瞬間、色とりどりの風景と喪失の暗い影とともに描かれる。絵を担当したキアロスタミは写真のコラージュに彩色を施すなどして、そのイメージを作り上げた。価格は税込2310円。
キアロスタミが1984年に絵と文を描き下ろした「いろたち」は、身近な風景や食べ物、植物、道具などの絵を通して、さまざまな色の存在を紹介する1冊。赤ちゃんが楽しめるファーストブックで、イランでは現在も版を重ね13万部を超えるロングセラー商品になっている。キアロスタミは色のない部分やページへの自由な描き込みを推奨しており、今回の刊行では色鉛筆やクレヨンでの描き込みやすさを考慮した用紙が選ばれ、幼児が持ちやすくて開きやすい判型と重さに仕上げられた。価格は税込1650円。
いずれの絵本も国内初刊行。ペルシャ語翻訳家の愛甲恵子が翻訳を担当した。10月9日、10日には東京・田園調布のいずるばで出版記念イベントを開催。入場料500円で2冊の絵本のパネルや校正紙、今年5月に行われたアフマディーへのインタビュー、1970年代に児童青少年知育協会(カーヌーン)で作られた絵本やレコードなどの展示を観ることができる。10月9日15時からは、キアロスタミ研究の第一人者・山本久美子を招いたトークも実施。キアロスタミによる絵本、映画、詩、写真などにまつわる仕事について語られるほか、映像版「いろたち」の上映も行われる。こちらは1500円で参加可能だ。申し込みの詳細はイベントページで確認を。
なおキアロスタミは2002年に公開された映画「10話」における盗作および性的暴力の被害を告発されており、版元のカノアは9月15日付けで告発への見解を公表。2冊について「初版刊行がそれぞれ1970年と1984年であることから、本疑惑との相関関係は認められないと判断しました。同氏は故人であり真偽のほどは不明であるため、当初の予定通り、2022年10月4日にこの2冊の邦訳版を同時刊行いたします」と発表している。
「キアロスタミが遺した2冊の絵本」出版記念イベント
2022年10月9日(日)11:00~14:00、10日(月)11:00~18:00 東京都 いずるば
入場料:500円(オリジナルポストカードの特典付き)
トーク
2022年10月9日(日)15:00~ 東京都 いずるば
受講料:1500円(入場料含む、茶菓子付き)
<登壇者>
山本久美子(ゲスト) / 愛甲恵子(聞き手)
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アッバス・キアロスタミが手がけた2冊の絵本が初邦訳、発売 https://t.co/Nbj5lcW6a1
『ぼくは話があるんだ、きみたち、子どもたちだけが信じる話が』『いろたち』(カノア)