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川村が自身の小説を監督として映画化した「百花」は、記憶を失っていく母と、思い出をよみがえらせていく息子の物語。息子の葛西泉を菅田、母の百合子を原田が演じた。また泉の妻・香織を長澤、百合子の秘密を知る浅葉洋平に永瀬が扮している。
菅田が「当たり前のように初日に映画がかけられて、お客さんの前に立てるのがうれしいです。撮影は1年ちょっと前くらいで、(公開まで)早く感じました」と話すと、原田も「1年、2年前は映画館自体が開けられなかったり、入れられても(席の)50%だったりしましたね。こんなふうに100%入れられることがまずうれしくて、初日にわざわざ来てくださるのも本当にうれしい」と感激した様子を見せた。
長澤は「撮影が数日だったので、2人のことを傍観者として見ていたところがありました」と言い、「全編を通して映像が美しいです。現実なのか過去の世界の幻想なのか、いったい今自分がどこにいるのか……。それを映画体験として劇場で味わってもらいたいなと思います」と作品をアピール。永瀬は「百合子さんが浅葉の名前を叫ぶシーンがあるんですが、現場でものすごく引っ張られて。振り向いて抱きしめたくなるような、そんな魂の叫びを発していた」と原田の演技に感銘を受けたと話す。
続いて印象的なシーンを尋ねられると、菅田は「キッチンの回想シーンですね。手が触れ合うカットが美しくて……。お客さん目線と、息子目線で(百合子を)見たんですが、すごくきれいでした」とコメント。原田は「私も入り込みすぎてしまって、この映画は10年くらいしないとちゃんと観れないですね」と述べつつ「すごかったのは花火のシーンです。芝居も濃かったですし、花火を目の前で見るインパクトもあった。芝居にタイミングを合わせて花火を上げてくれたんです」と語る。うなずく菅田が「よく成立しましたよね」と言うと、川村は予算の関係で上げられる花火の回数には限りがあったと話し「裏では(花火師やスタッフの)怒号が響いていたんですよ(笑)」とチームの影の努力を明かした。
長澤は産婦人科での出産シーンに言及。「段取りをしたんですが、いまいちつかめなかったんです。でも(ロケ地となった)病院の助産師さんが一緒にやってくれて、本当に“産めた”んですよね」と笑いながら回想すると、菅田も「あのときは号泣しましたもんね。数日前に生まれた赤ちゃんに出てもらって」とほほえむ。しかし長澤と菅田がそのシーンであまりに号泣して盛り上がってしまったため、川村が構成上「泣く泣くカット」した部分もあったという裏話も飛び出した。
第70回サンセバスチャン国際映画祭のオフィシャルコンペティション部門に正式出品されることが決まっている本作。イベント内では川村と原田が同映画祭に参加することが発表され、川村は「どういうふうにヨーロッパの人に観られるのか興味がありますね。黒澤明の映画にも登場した原田さんが、どういう形で現れるのか期待されていると聞きます」、原田は「国や文化を超えてわかってもらえるかどうか、映画祭でわかると思います」と述懐する
終盤には、映画にちなんだ「開花させたい才能は?」「取り戻したいものは?」という質問も。「取り戻したいものは?」という問いに永瀬は「もうちょっと時間があればなと。今日は僕の映画の師匠、相米慎二の命日なんですね。今、監督と映画の話をしたらどうなるかなと。成長したとかまだまだだなとかね。お袋も20日が命日なんですが、死に目に会えなかった。なので2時間でも3時間でも会う時間を取り戻したいです」と答えていた。
「百花」は全国で公開中。
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「百花」の初日舞台挨拶が本日9月9日に東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、 (写真17枚) https://t.co/aqy1xrJUnR