サスペンス「悪なき殺人」を吉田大八、吉田恵輔、豊田利晃ら著名人が絶賛

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フランス・ドイツ合作「悪なき殺人」に映画監督の吉田大八吉田恵輔豊田利晃ら著名人からコメントが寄せられた。

「悪なき殺人」 (c)Jean-Claude Lother

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「悪なき殺人」キービジュアル

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第32回東京国際映画祭で「動物だけが知っている」のタイトルで上映され、観客賞と最優秀女優賞を受賞した本作。フランスの人里離れた村で起きた女性失踪事件を軸に、5人の男女が思いもよらぬ形でつながっていくさまが描かれる。「マンク~破戒僧~」のドミニク・モルが監督を務め、ドゥニ・メノーシェ、ロール・カラミー、ダミアン・ボナール、ナディア・テレスキウィッツらが出演した。

吉田恵輔は「緻密なのに自然体な脚本。ちゃんと登場人物がこの世界で苦悩していた。偶然や思い込みだけで片付かない世界がそこにあった」と本作を絶賛。コメント寄稿者には監督陣のほか、脚本家の岡田惠和、作家の道尾秀介と今野敏、精神科医の名越康文らも名を連ねた。すべてのコメントは以下に掲載している。

「悪なき殺人」は、12月3日より東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。12月4日からデジタル配信も行われる。

※「悪なき殺人」はR15+指定作品
※吉田恵輔の吉はつちよしが正式表記

道尾秀介(作家)コメント

こんなに周到で恐ろしい罠があるだろうか。平然と道を行き交う私たちの足下に、毒矢のスイッチが無数に埋め込まれている。しかもそのスイッチは少しも音を立てず、毒矢は遠く離れた誰かの胸へ放たれる。

今野敏(作家)コメント

「あ、そうだったのか」「え? そういうことなの?」の連続。冒頭の出来事のすべてのシーン、すべての台詞を覚えておこう。 

名越康文(精神科医)コメント

出会いと別れは、人生の表舞台に過ぎない。
裏側のすべてが見えてしまえば、その恐るべきループを目の当たりにして、我々は正気を保てはしないだろう。

岡田惠和(脚本家)コメント

たった一つの大きな偶然が、いろんな悲劇を生み出してしまう。巧みに紡がれていく超一級品の脚本を堪能できる映画です。見事すぎて、思わずうなる。ミステリなのに、脚本の出来に何度も膝を打ち、最後にはちょっと笑ってしまう。お見事でした。

吉田大八(映画監督)コメント

あれ、マイナス1で丸く収まった? なんて錯覚しそうなほど、想像が絶妙にちょっとだけ裏切られ続ける展開の果て「淋しいのはお前だけじゃない」とささやかれた気がする、ってどういう映画? ごめん、これは観ないとわからないやつ。

吉田恵輔(映画監督)コメント

緻密なのに自然体な脚本。ちゃんと登場人物がこの世界で苦悩していた。偶然や思い込みだけで片付かない世界がそこにあった。

豊田利晃(映画監督)コメント

世界は小さな「悪なき殺人」で満ちている。個人の倫理はいつも社会に試されている。格差は国境を越えてwi-fiに流れ込む。欲望はいつも孤独の臍(へそ)の真ん中にある。

小柳帝(ライター・編集者)コメント

「悪なき殺人」は、一度観て作品の面白さに唸り、二度観て初見で把握しきれなかった細かな伏線の張り巡らせ方に感嘆し、三度観て事件の背景にある人間ドラマの深さに心から感嘆し溜息をつく、そんなリピート鑑賞必至の傑作なのです。

大森さわこ(映画ジャーナリスト)コメント

複数の男女のねじれた関係をいくつかの異なる視点で描き、愛という名の幻想の向こう側を見せる。「ファーゴ」、「ハリーの災難」に通じる奇妙なユーモアもあり、予期せぬ展開と構成力のうまさに引き込まれる異色スリラー。

コトブキツカサ(映画パーソナリティ)コメント

男女5人の人生が巧みに絡み合い最終的には惑星直列のように縦軸として物語が繋がる。人との出逢いは偶然だとしても愛し愛されたいと願う気持ちは必然なのだ!

松崎健夫(映画評論家)コメント

時に、人と人との縁は幸運をもたらすが、この映画の縁がもたらすものは悪運だ。目には見えない縁で人と人とが繋がっているように、大陸と大陸も陸地以外の何かで繋がっている。フランスから遠く離れたコートジボワールとの間にあるものは「予想外なのに現実的」という奇妙で奇妙な縁なのだ。

中条志穂(翻訳家)コメント

ドミニク・モル監督は「レミング」や「ハリー、見知らぬ友人」など、人間の底知れなさをスリリングに描く鬼才だが、本作では芸達者な俳優に支えられて、その人間描写の奥深さをいかんなく発揮している。切れ味抜群の練りあげられた脚本に感服すると同時に、「人間は偶然には勝てない」というキャッチコピーがじわじわと効いてくる、じつに怖い物語である。

立川直樹(プロデューサー / ディレクター)コメント

緻密で濃密かつ知的…
現代文学としても十分に適用するレベルの巧妙な脚本で、偶然の連鎖で絡まりあっていく5人の男女の運命を見事にまとめたドミニク・モルに脱帽だ。
テンポ感や空気感も含めて迷宮の中から抜けられなくなってしまうような魅力を持った映画ならではの映画だ。

田中千世子(映画評論家)コメント

小さな羽ばたきが地球に影響を及ぼすバタフライ・エフェクト。モルの映画を飛び交う愛欲・執心・献身・野心・嫉妬などのバタフライたちが事件を引き起こす。かつてないミステリアス心理劇の傑作!

小山悟郎(バイリンガル探偵 / Japan PI)コメント

雪山のフランスと太陽のアフリカ、不倫妻、GLに溺れる娘、ネクロフィリアの男、詐取した金を女に貢ぐ男、詐欺師のネカマに貢ぐオヤジ、背徳の愛の亡者が錯綜する淫靡なスパイラル。偶然が、失踪した女の運命を翻弄する衝撃のミステリー。

川原智裕(東京テアトル番組編成担当)コメント

見事にしてやられました。
思いもよらない展開と結末で、久々に幸せな敗北感を味わうこととなりました。
観客賞も納得です!

西島新(新宿武蔵野館 番組編成担当)コメント

巧妙に仕掛けられた伏線と回収、展開が進むにつれその都度、「成る程…そういうことだったのか…えっそうだったの?!」とひたすらに感嘆続き…
動物だけが知っている、動物の眼だけがすべてを見ている、そこに観客の目線が重なり、登場人物たちが知り得なかった“真実”と“全貌”を、動物と観客のみが知るという、世にも奇妙なサスペンス群像劇。
流石、一昨年の東京国際映画祭 観客賞!(因みに女優賞と2冠!)
今年一番“唸る”映画、間違いなし。

川口澄生(静岡シネ・ギャラリー 副支配人)コメント

シリアスなのにコミカル、小気味よい展開と伏線回収の果て、観客もまた果てる(鑑後感スッキリ)。
映画館の帰り道、「詳しくは言えないんだけどさぁ」と誰かに薦めたくなること請け合い。

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(c)2019 Haut et Court – Razor Films Produktion – France 3 Cinema visa n° 150 076

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