「空白」古田新太、“和やかな”撮影現場を振り返る「おびえているのは桃李だけ」

「空白」のプレミアトークイベントが9月8日に行われ、キャストの古田新太、寺島しのぶ、監督の吉田恵輔が登壇した。

吉田が自身のオリジナル脚本を映画化した本作は、万引き現場から逃げる途中で車にひかれた中学生の死亡事故をめぐる物語。古田が娘を失った漁師・添田充、松坂桃李が事故のきっかけを作ってしまったスーパーの店長・青柳直人を演じ、寺島は店員の草加部麻子に扮した。

進行役の赤ペン瀧川から出演の経緯を聞かれると、古田は「脚本を読んだとき、なんで俺？と思った。作品（の中）でふざけてないから」と振り返りつつ「たまたまスケジュール空いてたからね」と冗談混じりに答えた。寺島は「すごいキャラクターだからあんまりやりたくない役だったけど（笑）、脚本がとてもよかったのでやる気にさせられました」と述懐。そんな2人の話を受け、吉田は「脚本を書いているとき、韓国ノワールっぽさを感じたんです。ソン・ガンホが頭に浮かんで、日本の俳優で言うと……あ！ 古田さんだ、とハマったので、イメージしながら書きました」と明かす。

本日は登壇が叶わなかった松坂についても話題が及び、古田は「『パディントン』（の日本語吹替版）でご一緒して、そのときから交流がありました。素直なお芝居をする人だなあと、イメージ通りで安心していました」と好印象だった様子。しかし「撮影中にみんなでお酒を飲みに行ったりするんですけど、桃李だけは誘っても来てくれなかったなあ。役に入り込んでるからかなと思ったけど、結局オールアップしてからも来てくれなかった……」とぼやき、寺島と吉田を笑わせた。

寺島は松坂との共演について「正直、もう少し違う役で出会いたかったかなあ。彼を守るためにがんばっている人で、そこに嘘はなかったけど、熱量が過剰すぎて、ちょっとアプローチ掛けても（松坂が）ひゅうっと引いていく感があったので……」と芝居中の切ない気持ちをこぼした。また吉田が「桃李くんは古田さんと寺島さんを相手に、ゴジラとコングに挟まれてる気持ちでしたよね」と表現すると、古田は「監督、おびえている桃李くんを見ているのがすごく楽しそうだったよね。（現場の雰囲気は）和やかだったけど、おびえているのは桃李だけ」と改めて不在の松坂を楽しそうにいじる。

そして最後に吉田は「うまい人たちだけを呼びたいと思って作品を作りました。芝居ってこういうことなんだという経験したことのない“奇跡”をこのお芝居で感じました。それは映画の中に宿っているので、ぜひ皆さまに感じてほしいです」と呼びかけ、イベントの幕を引いた。

「空白」は9月23日より全国ロードショー。

※吉田恵輔の吉はつちよしが正式表記