「老人ファーム」のMINO Bros.による新作完成、父親を殺めた青年の再生描く

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「老人ファーム」を手がけたMINO Bros.の新作「鬼が笑う」が完成。あわせてメインビジュアルと場面写真が公開された。

「鬼が笑う」メインビジュアル

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「鬼が笑う」

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MINO Bros.は兄の三野龍一が監督、弟の三野和比古が脚本を担当する兄弟映画制作チーム。本作では、家族を守るために父親を殺めてしまった青年・石川一馬の姿が描かれる。刑期を経て更生保護施設で生活を始め、スクラップ工場で働く一馬は「人殺し」と呼ばれながらも淡々と業務をこなし、無為に日々を過ごしていた。ある日、工場で外国人労働者へのいじめに巻き込まれた一馬は中国人労働者の劉と出会い、自分が望む幸せのためにもう一度立ち上がる。

「鬼が笑う」

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主演は、「老人ファーム」でもMINO Bros.とタッグを組んだ半田周平。そのほか梅田誠弘岡田義徳坂田聡赤間麻里子大谷麻衣木ノ本嶺浩ムーディ勝山、鳥居功太郎、小池誠徳、夢麻呂、柴田鷹雄、月亭太遊、大窪晶、齋藤博之、矢戸一平、和田昭也、大久保健、リロイ太郎が出演している。亀岡園子堤満美小松勇司、落合亜美、中藤契大里菜桜、池村咲良、バースデーこうだい、帆南、ちろ、三柴あゆな、瀬川実穂、結城あい、三枝翠、瀧航大、石田優奈後藤龍馬、細谷優衣、高田みちこりあん、木村和幹、増子光、山田笑李菜、芝本智美、大迫芽生もキャストに名を連ねた。

「鬼が笑う」

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MINO Bros.は「もしテレビで人殺しのニュースを見たなら、あなたは『ひどい人がいるな』『怖いな』『かわいそう』と思うでしょう。そしてそこで想像はストップするでしょう。僕たちは、そこでストップしたくありませんでした」と製作のきっかけを述懐。そして「想像の羽根をもう少しのばしてみてください。あなただけの価値観が出てきませんか。こっそりと自分の中に見つけた価値観を持ち帰ってください。あなたの胸の中に芽生えたものに、僕たちは興味が尽きません」と観客へ願いを込めた。また半田は「浅く生きるしかできない者が謙虚さを失い、深く生きようとする者が頭を垂れなければならない今の時代の多くの囚われ人に観て頂きたい映画です」とメッセージを送っている。

「鬼が笑う」は、今後は海外や国内の映画祭に順次出品予定。2021年夏から秋頃にかけての劇場公開を目指す。

MINO Bros. コメント

もしテレビで人殺しのニュースを見たなら、あなたは「ひどい人がいるな」「怖いな」「かわいそう」と思うでしょう。そしてそこで想像はストップするでしょう。僕たちは、そこでストップしたくありませんでした。どうして? なぜ? そこになにがあった? 誰も知りたくないようなことに深く興味を持ってしまいました。だから映画を使って、もっと深く掘り下げてみたかったのです。例えば、父親を殺してしまった主人公にこんな生い立ちがあれば? その後の家族がこんな風に変わってしまっていたら? 職場でいじめがあったなら?
自分たちは少し変わった家庭環境で育っています。常に大人に気を遣い、自分の生きる場所を守ってきました。その時に見てきたもの、考えたもの、目線が映画の中で生きているのだろうと思います。もちろん僕たち兄弟よりも苦しい環境で育った人たちは世の中にたくさんいます。主人公がやってしまった父親殺しは、世間的に言って、絶対に許されるものではありません。しかし、世間はいつも正しいか正しくないかで判断しすぎではないでしょうか。一度、正しいか正しくないかの天秤を捨ててみてほしい。僕たちは前作の「老人ファーム」から、一貫して共感のできない映画を作っています。山奥の老人ホームで懸命に働く青年の気持ちなんて誰もわからないし、父親殺しをして出所してきた青年の気持ちなんて知らないままに一生を終えるでしょう。なぜそんな映画ばかりを作るのか。それは、ニュースを見たときの一遍通りの非難や同情が感情の全てではないと思うからです。想像の羽根をもう少しのばしてみてください。あなただけの価値観が出てきませんか。こっそりと自分の中に見つけた価値観を持ち帰ってください。あなたの胸の中に芽生えたものに、僕たちは興味が尽きません。

半田周平 コメント

この作品の何に着目しどの部分に観る人の心が反応するのか分かりません。けれど観て下さった方には“生きて”ほしいと思います。生きるためには希望が、夢が、愛が、気力が必要です。そんなもの…とあなたは嘲笑うかもしれない。でもこの作品に向き合う時、人間誰もが持つ想像という力を深く働かせて、ささやかでもいい、自分の生を支えているそういったものが自分の中にも確かに在ることに気付いてほしい。それを死守し育み生き切ってほしい。大切なもの大切な人のために、今、今の自分に今何が出来るか。浅く生きるしかできない者が謙虚さを失い、深く生きようとする者が頭を垂れなければならない今の時代の多くの囚われ人に観て頂きたい映画です。

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