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吉野朔実の同名マンガを実写化した本作は、奇妙な記憶喪失癖に悩む女子高生・鹿角華蓮を主人公としたミステリー。自身のルーツを知ろうと旅に出る華蓮を石井、旅のパートナーとなる孤独な少年・怜を栗原吾郎が演じた。またキーパーソンとなる金魚屋の青年役で柄本、華蓮の両親役で小市慢太郎と戸田が出演している。
石井は「すでに2回観てくれた人もいるみたいで、泣いてる子もいたり。こちらがグッと来るぐらい愛されている作品でうれしいです」と喜びを噛み締めた。撮影は3年前に行われ、石井は当時19歳。「頭の中がいっぱいいっぱいで、共感したいけどできない部分が多くて。19歳ながらに自分と(華蓮を)重ねながら演じました。きっと今演じたら、また全然違う役になっているだろうなと思います」と語る。
柄本は撮影現場でのエピソードを述懐。「(撮影用の)金魚を眺めていたら、監督が石井さんと栗原くんに『柄本さんのああいうところを見て勉強しなさい』と言ってたんです。僕、ただ金魚を見てるだけなのに、芝居のことを考えてるように見せなきゃと思って。その状態から動けなくなりました」と苦笑し、「2人のセリフの生々しさに感動して、むしろこちらのほうが勉強になりました」と、石井と栗原をたたえる。石井は「柄本さんが来られてから(現場の雰囲気が)変わったのを覚えています。とても刺激的でした」と感謝した。
戸田はネタバレしないように気を使いつつ、「全身でこの娘を守っていこうという母親でした。現場で杏奈ちゃんを見ていたら愛おしくて。可憐でピュアで、ずっと見ていたい気持ち。なので自然に演じられました」と振り返る。また本作は2016年に死去した吉野の作品において、初の実写化となる。20代の頃に原作に出会ったという池田は「それまでオリジナル脚本を自分で書くのが主だったけど、このマンガを映像化したい、生の景色と人間を通して観てみたいと思って。それを今回叶えさせていただきました」と感激をあらわに。「マンガのラストにもある、人間はここまで変われるんだという部分は絶対やりたいと。一歩前に踏み出したとき、ここまで世界が広がるんだということを見せたいと思っていました」とこだわった点を明かした。
舞台挨拶では、映画のタイトルにちなんで“忘れられない記憶”をテーマにトークする場面も。石井は「5歳ぐらいの頃、母の誕生日にサプライズをして。そのときのワクワク感や母の驚き、喜びを子供ながらに感じたので、あれが私のサプライズ好きの発端です!」と笑顔で話した。
「記憶の技法」は全国で上映中。
映画ナタリー @eiga_natalie
「記憶の技法」石井杏奈から尊敬のまなざし、柄本時生「ただ金魚を見てるだけだった」(写真13枚)
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