「蝸牛」と「やりたいふたり」の舞台挨拶が昨日11月25日に東京・K's cinemaで行われ、「蝸牛」キャストの小日向ひなた、諏訪珠理、監督の都楳勝、「やりたいふたり」キャストの
特集上映「MOOSIC LAB[JOINT]2020-2021」でスクリーンにかけられている両作。MOOSIC LAB 2019短編部門のグランプリに輝いた「蝸牛」はドアノブロック、東京〇×問題とコラボした“性春恋愛映画”だ。自身の体が男であることに違和感を覚え始めた中学3年生の沼田信平とそれを知りいつか信平に嫌われてしまうのではないかと不安な日々を過ごす恋人・千帆の姿が描かれる。小日向が千帆、諏訪が信平を演じた。
都楳は「普段自分が生きていくうえで、怒りを感じているものに対して何か作りたいと思ったのがきっかけでした」と制作経緯を明かし、「世の中はなんでも白黒付けたがりますが、100%理解できないものにNOと突き付けるよりも、まずは受け入れてみる。そうすれば世の中がギスギスした感じではなくなるのではないか。そういうことを表現したかったんです」と思いを口にする。そんな都楳について諏訪は「初対面でよくわからない、面白い人だなと思って(笑)。脚本を読んで出会ったことのない作品でしたし、ワクワクしましたね」と笑顔で述べた。
主題歌「秘密 no フィクション」を担当したドアノブロックのボーカルでもある小日向。「生きていると『自分って今、世間からはみ出しちゃってるかも?』って思うことがあると思うんです。この映画はそこを突っ走って、世の中に中指立てて、突き抜けていくような作品だと思っています。音楽も、そういう思いを込めて作りました。いい映画だなと思います」と笑みをこぼした。
ピンク映画ベストテン2019にて第1位と監督賞を受賞した「悶絶劇場 あえぎの群れ」のR15+版となる「やりたいふたり」は、デビューを控えた新人マンガ家・小崎愛と、彼女がエロマンガを描くため取材で出会ったタモツとカオリ夫婦の姿をつづる作品。霧島さくらが愛、横山夏希がカオリ、関がタモツに扮した。
監督作「あの娘はサブカルチャーが好き」でMOOSIC LAB 2013に参加した谷口。これまでの7年を振り返り谷口は「MOOSIC LABで作品が上映されて、そのまま映画監督になれると思ったんですが、なかなかそうもいかずで……(笑)」と話し、「その後、低予算のエロVシネと言われるジャンルの現場でよく仕事をすることになったんです。そこで今まで自分が追ってこなかったようなエロVシネというジャンルの面白さを現場から知っていきました」とコメント。続けて「老舗のピンク映画制作会社である大蔵映画が新人監督を募集していたので、そこに『やりたいふたり』の企画を応募して、この作品を撮るチャンスを得ました」と説明した。
本作でピンク映画初出演を果たした関は「企画書には『嘘とセックスとコミック雑誌』と書いてあって、『セックスと嘘とビデオテープ』がモチーフなのかなと思ったんです。台本を読んだらすごく面白くて。この作品なら僕の持っている変態性を出せるなとワクワクしましたね。そこからピンク映画によく出てる折笠慎也に連絡して、前貼りの作り方から教わりました(笑)」と思い返し、会場に笑いを起こす。
終盤にワンカット長回しで撮影された印象的なシーンがある「やりたいふたり」。関は「3日撮りなんですが、3、4分のシーンのために9時間ぐらい掛けました。遮蔽はされていますが、女優さんがベランダを裸で移動したり。そうじゃないと間に合わない。でもあまりにもうまく撮れすぎて、『編集してるだろ』と言われてしまいました(笑)」と周囲の声を紹介した。
最後に都楳は芸能事務所レプロエンタテインメントが立ち上げた「感動シネマアワード」で作品を撮影する予定であることに触れ、「新作を来年の秋に上映する予定です。面白いものになるんじゃないかと思っています」とアピール。谷口は「今回このような“寝取られ”ピンク映画がこの場で上映できたのも、おとぼけビ~バ~の楽曲の力のおかげです。ずっと一緒に仕事をしたかったので、こういう形で実現できたことをうれしく思ってます。また関さんとのコンビで何かやろうと思っていますので、よろしくお願いします」と呼びかけた。
「MOOSIC LAB[JOINT]2020-2021」は12月4日まで開催。「蝸牛」と「やりたいふたり」は12月3日にもスクリーンにかけられる。
※「蝸牛」「やりたいふたり」はR15+指定作品
長州ちから @choshuchikara
【イベントレポート】「やりたいふたり」谷口恒平とおとぼけビ~バ~の夢結実、都楳勝は「蝸牛」に思い託す https://t.co/uhN8Ras78v