湯浅典子「カオルの葬式」に佐野史郎、清水崇、いまおかしんじ、金子雅和らがコメント

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湯浅典子が監督を務めた「カオルの葬式」の新たな場面写真が到着。俳優の佐野史郎、映画監督の清水崇いまおかしんじ金子雅和谷口恒平らの鑑賞コメントも到着した。

「カオルの葬式」新場面写真

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「カオルの葬式」ポスタービジュアル

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「カオルの葬式」新場面写真

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10年前に離婚した元夫の横谷が、脚本家である元妻・カオルが亡くなったという報せを受け取ることから物語が展開する本作。彼女が残した遺言には、横谷がカオルの葬式の喪主になるようにと記されていた。横谷が彼女の故郷・岡山に到着すると、そこいたのはカオルが遺した9歳の一人娘・薫。通夜・葬式にはカオルのマネージャーやプロデューサーの先輩、親友など個性的な人物たちも登場し、やがてある事件が発生する。カオルを一木香乃、横谷を関幸治、薫を新津ちせが演じたほか、原田大二郎黒沢あすか足立智充田中モエ滝沢めぐみ川島潤哉蔵本康文木村知貴大岩主弥錫木うりらもキャストに名を連ねた。

「カオルの葬式」新場面写真

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佐野は「怖い…怖い映画だ…家族の物語が、いや、物語というものは、本当に恐ろしいものだとジワジワと沁みてくる。けれど、その恐ろしさにまた、癒やされもする。恐ろしさなしには生きていけない。映画は恐ろしい」とコメント。清水は「人間観察の中で個々の悲哀や哀切、心の距離が量られていく……『blank13』以来の不思議な映画だ」と述べ、いまおかは「(カオルは)正直メンドクサイ女だ。でもなんか愛おしい。別れても女が死んでも男はそれをずっと覚えてる」と語った。

「カオルの葬式」新場面写真

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また金子は「作品内で脚本家に『オリジナル企画は成立しない』といった言葉が投げられるが、正にオリジナル企画がなかなか撮れない死の海のような日本映画界に、湯浅監督は長年の情熱を保ち続け国際的なクルーと共に、新しい映画の命へ繋がっていくであろう希望の灰を撒いた」とたたえ、谷口は「物言わぬ喪主は何を思うのか。何を見ているのか。その目からこぼれる涙が映し出された時、いつの間にかカオルを『分かりたい』と思っていた自分に気づいた」とつづっている。そのほかの著名人のコメントは下記の通り。

第19回大阪アジアン映画祭でJAPAN CUTSアワードを受賞した日本・スペイン・シンガポール合作映画「カオルの葬式」は、11月22日より東京・新宿武蔵野館ほか全国で順次ロードショー。

佐野史郎(俳優)コメント

怖い…怖い映画だ…家族の物語が、いや、物語というものは、本当に恐ろしいものだとジワジワと沁みてくる。けれど、その恐ろしさにまた、癒やされもする。恐ろしさなしには生きていけない。映画は恐ろしい。

清水崇(映画監督)コメント

観客は、見知らぬ他人の葬儀に居合わせ、参列させられる。そんな映画、面白いのか?
…ところが……だ。余計な説明や台詞は一切無いまま、個々の人物像や関係性が透けてくる。
人間観察の中で個々の悲哀や哀切、心の距離が量られていく……「blank13」以来の不思議な映画だ。
そしてエンドクレジットでは、そっと手を合わせ、カオルを偲びたくなる。

有森裕子(元プロマラソン選手)コメント

「カオル」と言う1人の女性の死から、いろいろな角度でつながった一人ひとりの「過去、現在、未来」の「生きる」について気づき、考え、光をさしていこう…とする複雑かつ不謹慎ながら面白さを交えて、どこかその姿は新鮮で身近に感じさせる。

暉峻創三(映画批評家)コメント※「ASIAN POPS MAGAZINE」172号より抜粋

カオルの過去と死後の現在を往還しながら、人の悲劇が招き寄せる喜劇性を浮き彫りにした脚本が、まず独創的で素晴らしい。日本人たちのドラマでありながら、稀有な国際的制作体制が実現。これが本作に、まったく湿り気を感じさせない乾いたタッチと、低予算感を微塵も匂わせないアーティスティックでゴージャスな風格をもたらした。カオル役を演じた一木香乃の魅惑的なキャラクター表現も、作品を強力に牽引する。

ゲオルク・シュナイダー(JAPANNUAL ウィーン日本映画祭 運営)コメント

湯浅典子監督は、葬儀の場で故人に対して背反する立場の衝突を描いている。遺された者たちはそれぞれ冷ややかな態度から制御不能な感情を爆発させる者まで、さまざまな振る舞いを見せ、不条理でありながら滑稽な場面が次々と展開される。彼らが故人に対して抱く固定観念や記憶は、実際の人物像とおそらく違うだろう。こうした異なる立場の対立は、爆発的なダイナミズムを生み出し、それがコミカルな形で放出される。物語の中で悲劇的要素と喜劇的要素を自在に切り替えながら、回想シーンを巧みに挿入し、悲しみと記憶というテーマに対して、非常に印象的な解釈を示している。

那須太郎(TARO NASU代表 / ギャラリスト)コメント

この映画は複数の人間と彼らそれぞれの時間の交錯をドラマにしていて、リアルでありながらシュールレアリスティックですが、葬式というものの本質もそうなのかもしれません。地方色豊かな背景と普遍的な人間の営みの鮮やかな対比が印象的です。

いまおかしんじ(映画監督)コメント

カオルは変な女の人だ。セックスの最中でも思いついたら裸のままシナリオを書き始める。男に抱きついて、嬉しすぎてありえへんくらい足を広げてくるくる回る。怒ったり泣いたり笑ったり忙しい。正直メンドクサイ女だ。でもなんか愛おしい。別れても女が死んでも男はそれをずっと覚えてる。

金子雅和(映画監督)コメント

黒澤明監督「生きる」後半部のように、不在の人物=死者を巡りそれぞれの人間性があからさまになっていく。おかしみと共に滲み出るのは、ままならない浮き世のもどかしさか。作品内で脚本家に「オリジナル企画は成立しない」といった言葉が投げられるが、正にオリジナル企画がなかなか撮れない死の海のような日本映画界に、湯浅監督は長年の情熱を保ち続け国際的なクルーと共に、新しい映画の命へ繋がっていくであろう希望の灰を撒いた。

坂田和也(小田急電鉄(株)【XR体験施設】NEUU企画運営担当)コメント

日本のものづくりの作品を世界へ発信していく、その意志と取り組みの規模感に感銘を受けるとともに、没入感のある作品づくりについての新たな発見があった。日常の中にある音(無駄に感じるような音も含めて)が、ハプティクスデバイスがなくても、リズムで同期させることができるという点に深く共感。映画の中に自分がいるような感覚を味わえる、まさに空気感を感じられる映画だ。

中嶋清美(映像文化製作者連盟理事)コメント

どんなに親しい人でもその人の全てがわかるわけではない。亡くなった女性脚本家カオルの通夜の大騒ぎと並行して、彼女の半生が回想され、徐々に明らかになる。がむしゃらに自分らしく生きたカオル。予期せぬカットに切り替わる飛躍もあるが、岡山の葬儀の風習などはしっかり見せる。“泥合戦”を経て喪主を務めた元夫と彼女の残した一人娘の心が通い合い、最後は救われる。激しく切なく面白く、人が生きるとは何かを問いかける映画である。

増當竜也(映画文筆)コメント

通夜から葬儀にかけて、故人に対して容赦なくぶつけられていく愛憎こもごもの感情。果たして本当のカオルはどんな女だったのか? 安易な説明を廃して観客一人一人の判断に委ねることで、人間の複雑怪奇な心情を前向きに捉えた見事なエンタテインメント!

谷口恒平(映画監督)コメント

関幸治の目には、色気がある。哀愁がある。そして、どこかその場を不穏にさせる力がある。映画は、そんな関演じる喪主のまなざしによって進んでいく。物言わぬ喪主は何を思うのか。何を見ているのか。その目からこぼれる涙が映し出された時、いつの間にかカオルを「分かりたい」と思っていた自分に気づいた。

西島新(新宿武蔵野館 番組編成担当)コメント

カオルと過去に関わった人たち、直近まで関わっていた人たち、どちらもカオルとの時間と、その後や“今”生きている時間が存在し、それらを経た彼らの中のカオルの話が通夜で飛び交い炸裂するが、真剣なやりとりほど傍から見ていると滑稽で笑えてしまうことがある。まさにそれを正しくシュールにエンタメに昇華した作品でした。ずっと気になっていた“あの人”も最後の最後できちんと回収されていて思わず一笑。

小坂誠(第七藝術劇場 支配人 / 扇町キネマ 映画プログラム編成パートナー)コメント

美しく、パワフル! 国際共同製作でジャンルレスな凄まじい一作の登場です。
亡くなった人のことを真に理解するのは難しい。暴力的なまでに日常に挿入される葬式というひとときは、その断片的な記憶を手繰りよせ、残された者たちの中に再び生まれ落ちるための儀式のように感じました。
脚本家・カオルの最後のキャスティングは世界をどう変えるのか、見届けてください。

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