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本作は、父親としての自覚を持てず、ある失態が原因で妻と娘のいる秋田・男鹿から逃げ出した男たすくが主人公の物語。仲野がたすく、吉岡里帆が妻ことねを演じたほか、親友の志波に寛一郎、母せつ子に余貴美子、兄に山中崇、伝統文化ナマハゲを守るために尽力する夏井に柳葉敏郎が扮した。
第68回サンセバスチャン国際映画祭のオフィシャルコンペティション部門に出品された本作。このたび映画祭公式のリモート記者会見が行われた。是枝は「脚本の読後感がよくて、たくさんの人々に受け入れられるいい映画になるといった直感があったんです」と本作との出会いを振り返り、企画という自身の立場を“彼の背中を押すポジション”と表現する。そして「最初に思い描いたものを超えた」「周りにいる女性たちの存在が、大人になりきれない主人公が次の一歩を踏み出すことに大きな影響を与えている。女性の描き方がとてもよくできた映画だなと感動しました」と作品の出来に太鼓判を押した。
5年前に脚本執筆のための取材を始めた佐藤は「小さい街が舞台の比較的地味な脚本だったので、是枝監督に背中を押していただけなかったら、こういう規模では撮れなかったと思います」と感謝を伝える。仲野は「身勝手な愛情が美しいと思えるラストだったのでぜひ演じたかった」と出演の決め手を紹介したあと「インディペンデント映画にこだわりはある?」という記者からの質問に「学生の頃から映画が好きで、インディペンデント映画を観て育った自覚がある。メジャー、インディペンデント問わず、俳優として出続けたいです」と真摯に答えた。
リモート記者会見の終了後には日本のプレス向け会見が実施され、3名が登壇した。是枝は「佐藤監督の姿を見て、自分が忘れてしまった初々しい気持ちを思い出しました」と笑顔を見せ、佐藤は「映画がこれから羽ばたいていくんだと身の引き締まる思いです」と緊張の面持ちで述べる。
さらに是枝は佐藤について「なんだか頼りないけど、自分の価値観をしっかり持っている。現場にいる人たちはみんな佐藤くんを信じてついていこうとしていたので、ずるいなって思います(笑)」と茶目っ気たっぷりに話す。その言葉をうなずきながら聞いていた仲野は「ここまで愛されている監督はあまり見たことがない。クランクアップしたとき、胴上げされてましたから!」と続け、「監督が描く物語や、演出の1つひとつのていねいさを感じられたからこそ、みんなが同じ方向を向けたのかなと思います」と佐藤組の結束の強さを語った。
「泣く子はいねぇが」は、11月20日より東京・新宿ピカデリーほか全国でロードショー。
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