「ハムネット」シェイクスピア一家の幸せが詰まった新映像、クロエ・ジャオのコメントも

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第98回アカデミー賞で合計8部門にノミネートされている映画「ハムネット」の本編映像の一部が、YouTubeで公開。あわせて監督クロエ・ジャオによるコメント、メイキング写真が到着した。

「ハムネット」メイキング写真

「ハムネット」メイキング写真

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マギー・オファーレルの同名小説をもとにした本作では、16世紀イギリスの小さな村を舞台に、薬草に関する豊かな知識と不思議な力を持つアグネス・シェイクスピアと、劇作家として活動する夫ウィリアム、そしてその3人の子供たちの姿が描かれる。ジェシー・バックリーがアグネス、ポール・メスカルがウィリアムを演じた。

「ハムネット」メイキング写真

「ハムネット」メイキング写真 [高画質で見る]

本編映像には、シェイクスピア一家の幸せなひとときを収録。3人の子供たちが、ウィリアムと用意した演劇をアグネスに披露するさまが映し出される。ジャオによるコメント全文は以下の通りだ。

「ハムネット」メイキング写真

「ハムネット」メイキング写真 [高画質で見る]

「ハムネット」は4月10日より全国で公開。

映画「ハムネット」本編映像(子供たちの演劇編)

クロエ・ジャオ コメント

「ハムネット」は愛と死を題材にして、人間にとって根源的なその2つの体験が、
芸術と物語を通して化学反応を起こし、変わっていくさまを描いています。
それは変容の物語です。

プロジェクトを選ぶ理由は、言葉では説明しづらいです。
しばしば本能に導かれ、心の奥底を強く引っ張られるような感覚に駆られます。
まるで物語が私を選ぶように人生に現れ、それに身を委ねるしかありません。
「ハムネット」は、ささやきのようにそっと私の人生に入り込み、ハリケーンへと成長したのです。
旅の終わりには心が柔らかくなりました。嵐の中心で心を開いて生きるとはどういうことか、
その美しさ、痛み、破滅のふちに立つスリル、そして静寂を、真に体験したからです。

古い森にある泉のブラックホールから、雨に濡れたグローブ座の舞台の暗い扉まで、
私は勇敢な村人たちと共に降り立ち、互いに支え合いながら、
無意識の地下水脈に身を委ねました。混沌の中で、私たちはアグネスとウィリアムに導きを求めました。

大きな痛みと喪失に苦しんだ、過去と現在のすべての女性に、
そして感情を抑え込んで自分自身から逃げた、すべての男性に導きを求めました。

森、川、大地に導きを求め、自由と平和を切望する、私たち自身の荒々しい心に導きを求めました。

そして最後には、グローブ座の舞台の内外で踊るうちに、
現実と虚構、過去と現在、見えるものと見えないもの、
そして愛と死を隔てるベールが溶けていきました。隔たりはなくなったのです。
その貴重な瞬間に、私たちは一つになりました。
愛は死ぬのではなく変容するのだということを、私は体で感じ、確信しました。

私は生涯ずっと死を恐れ、そのせいで愛も恐れていました。
人生のはかなさを見つめながら、心を開いていられる方法が分かりませんでした。
これまで製作した4本の映画では、
大きな喪失を経験して受容することで自分自身を見つける登場人物たちを描いてきました。
「ハムネット」は、その旅の集大成です。

私はシェイクスピアの「ハムレット」という聖なる器を携え、
愛と死という経験を恐れる理由となった失ったものを取り戻すために、冥界の奥深くへと降りていきました。
マギーは著作によって扉を開き、私たちがこれまでと違う方法でシェイクスピアと繋がるための橋を架けたのです。

「すべて生あるものは必ず死に、自然を抜け出し永遠へと至る」
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」
「残るは沈黙のみ」

シェイクスピアが書いたのは愛と死についての物語で、
現代の観客に向けて彼のメッセージを再解釈できることは光栄であり、幸運だと思います。

製作中は彼が私たちと共にいると感じました。

私たちの物語では、アグネスとウィリアムは恋に落ち、素晴らしい家庭を築いていましたが、
息子の死をきっかけに、どちらも人生の岐路に立たされます。
過去に戻ることも、前に進むこともできません。
彼らは境界線上で凍りつき、互いに逆方向に引っ張られながら、一歩も動けない状態です。

まさにそのような緊張感の中で、錬金術のように創造が生まれました。
物理学では、逆方向に引いたり押したりする力によって張力が生じます。
その張力が強すぎると動きが発生し、新たな均衡状態になります。
すなわちウィルが陸と海、生と死の狭間に立たされた瞬間に、
文学史において最も偉大な作品の1つが誕生したのです。

今、世界は転換点を迎えています。
私たちは皆、計り知れない緊張とプレッシャーを感じて、新たな均衡状態の到来を予感しています。
多くの人が境界線上で凍りつき、怖くて動けません。私を苦しめている恐怖が、他の人々の目にも見えます。

これから何が起こるのかという恐怖。
自分の人生をコントロールできないという恐怖。
この世界では、もう安全ではないという恐怖。
無条件の愛を知ることは決してないという恐怖。
そして究極的には、死への恐怖、無意味な死への恐怖です。

この映画を製作した最も深い理由は、私たち人間が持つ変容させる力、
どんなにつらい経験からも価値あるものを創造する能力を示すことで、その恐怖から目覚めさせたいからです。

私たちは皆、孤独という緊張感を持って、この世に生まれます。
心を開いて炎の中を歩むという選択をしなければなりません。

愛は死ぬのではなく変容する。それは、この宇宙で最大の変容です。
私たちの映画が、ささやかながらもそれを伝えられることを願っています。

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