中国の新鋭
本作は1989年生まれのビー・ガンが2015年に発表した長編デビュー作。小さな診療所に勤める主人公シェンが、弟の策略でどこかへ連れ去られてしまった甥を連れ戻す旅へ出るさまが描かれる。彼がたどり着いた先は、過去の記憶と夢と現実が混在する不思議な街だった。
低予算のため出演者のほとんどがビー・ガンの家族や親戚、友人で構成された本作。第37回ナント三大陸映画祭のグランプリなど多数の賞を獲得し、ビー・ガンは第52回金馬奨で最優秀新人監督賞、第68回ロカルノ国際映画祭で新進監督賞に輝いた。日本で2月28日から公開される彼の監督作「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」は約60分続く3D映像の長回しが話題を呼んでいるが、「凱里ブルース」でも後半40分間にワンシークエンスショットが用いられている。
「パラサイト 半地下の家族」の
「凱里ブルース」は東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。
※「凱里ブルース」は、新型コロナウイルスによる感染症の拡大を受けて公開延期となりました。最新の情報は公式サイトをご確認ください。
ポン・ジュノ コメント
ビー・ガンはこの先20年間の映画界を牽引する監督の1人である。
フィルムノワールの亡霊、ウォン・カーウァイの不機嫌なブルーズ、「めまい」とタルコフスキーの時間の洞窟、ホウ・シャオシェンの長い出会い、アピチャッポンの神秘的な夢想。それらの光源は、ビーの映画館の鏡の間で反射する。
ギレルモ・デル・トロ コメント
魂の彷徨に関する驚くべき処女作。
時と出来事の連鎖、そして後悔の念が描き出す、その天才的かつ詩的な映画技で、
凱里一帯を40分のワンショットで追う。
なぜ映画で? なぜ人生を?
ジョナサン・デミ(故人)コメント
もしも無鉄砲な初監督が、新作のほぼ半分近く、ある場所から別の場所(各々非常に離れた場所)へとカットしない決断を勇気を持ってくだしたとしたら? その代わりに、めちゃくちゃ超越的な1時間半のワンテイクをあえて強行する選択をしたら?
その答えは十中八九、このビー・ガンの傑作である「凱里ブルース」になるでしょう。
ワンテイクは、記憶に残る映像体験の束の間の投影なのです。
深田晃司 コメント
「ロングデイズ・ジャーニー」が艶やかなメイクを拭いとりすっぴんになったような。
「凱里ブルース」はそれゆえに作家の力強い個性と野心がむき出しで、地肌の息遣いに魅せられた。
詩人の歩みに連れられ世界が拡がる快感!
矢野優(新潮編集長)コメント
このデビュー作一篇で「凱里」は私たちにとって聖地となる。
スクリーンから殺到する圧倒的な才能に全身を貫かれた。
tAk @mifu75
ポン・ジュノが絶賛、ビー・ガンの長編デビュー作「凱里ブルース」予告公開(写真11枚 / コメントあり) https://t.co/dM9wgDKlHv