ホワイトビルディング育ちのカンボジア人監督、フィルメックスで国の現状語る

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昨夜、あなたが微笑んでいた」が本日11月28日に東京・有楽町朝日ホールで上映され、監督のニアン・カヴィッチと編集担当のフェリックス・レームがQ&Aに参加した。

ニアン・カヴィッチ

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第20回東京フィルメックスのコンペティション部門出品作である「昨夜、あなたが微笑んでいた」は、1963年にカンボジア・プノンペンに建造された集合住宅ホワイトビルディングで生活する人々を追ったドキュメンタリー。クメール・ルージュの時代を生き延びた歴史的建造物としても知られるホワイトビルディングは老朽化が進み、2017年、日本企業による買収を機に取り壊しが決定した。

左から映画祭ディレクターの市山尚三、ニアン・カヴィッチ、フェリックス・レーム。

左から映画祭ディレクターの市山尚三、ニアン・カヴィッチ、フェリックス・レーム。[拡大]

ホワイトビルディングで育ったニアン・カヴィッチ。撮影は彼1人で行っており、当初は編集も担う予定だったという。レームを迎えた理由をニアン・カヴィッチは「カンボジア人ではない方であれば、違った視点で建物を見てくれると考えました」と説明し、「やはりフェリックスさんは映像を興味深いと感じてくれて、『人がいない廊下に執着してるよね』と言われました」と語る。レームはニアン・カヴィッチが撮った映像を初めて観たときのことを「フレーミング、画角の作り方、静けさのある長回しの映像から、メランコリーを感じました」と回想。「建物の壁が崩される寸前なんですが、子供の声など喜びの音が入っているのが素晴らしかったです。編集したものを最初に周りの方に見せたとき『建物がなぜなくなるのかが伝わらない』と言われたので、人々を捉えた静かな映像とともに、建物のストーリーを伝えられるようバランスを考えて編集を進めました」と制作期間を振り返った。

観客からは「カンボジアではホワイトビルディングのような建物を保存する動きはないのか?」という質問が飛ぶ。「残念ながらありません」と答えたニアン・カヴィッチは、「だからこそ自分はホワイトビルディングで暮らす人々を撮ったのかもしれません」と述懐。「カンボジアでは変化の波が起こっていて、政府としては再開発など金銭的なメリットに目が行っています。そして若いアーティストたちは今何が起きているのかを考えていて、それについて語り合いたいと思っています」と自国の実情に言及する。

映画制作を学ぶことのできる学校がないという、カンボジアの現状にも触れたニアン・カヴィッチ。自身はワークショップや映画祭に参加することで映画制作の熱を高めていったことを明かす。そして影響を受けた監督としてアピチャッポン・ウィーラセタクン、ホウ・シャオシェン、小津安二郎、アッバス・キアロスタミの名を挙げた。

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