ロウ・イエが「ふたりの人魚」の撮影振り返る「映画は自由に撮るべきもの」

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第20回東京フィルメックスで「ふたりの人魚」が本日11月25日に東京・有楽町朝日ホールにて上映され、監督を務めたロウ・イエがQ&Aに登場した。

ロウ・イエ

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同映画祭では20回目の節目を迎える今年、歴代受賞作品の人気投票を実施。本作が第5位に選ばれ、このたび上映される運びとなった。「ふたりの人魚」は同一人物と思われる2人の女を巡る恋愛劇。ビデオ出張撮影の仕事をしている男とナイト・クラブで人魚を演じるメイメイ、そして運び屋のマーダーとマーダーの前から姿を消した少女ムーダンという2組のカップルの愛が描かれる。ムーダンとメイメイをジョウ・シュンが演じ、ジア・ホンシュン、ヤオ・アンリェンが共演に名を連ねた。

ロウ・イエ

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第1回東京フィルメックスで最優秀作品賞に輝いた本作。再び同映画祭で上映されたことについてロウ・イエは「とても感謝していますし、この作品に関わったスタッフたちも喜んでいると思います」と感激した様子を見せ、「『ふたりの人魚』のスタッフや俳優は現在それぞれ異なる道に進んでいます。ジョウ・シュンは初監督作品を用意しているようですよ」とうれしそうに報告した。

通訳の話を聞くロウ・イエ(左)。

通訳の話を聞くロウ・イエ(左)。[拡大]

観客から「ロウ・イエ監督の作品は被写体にカメラが近く、主観性が強いと感じる」と意見が飛ぶと、ロウ・イエは「カメラは撮影のツールではなく“目”です。近い距離で撮ることによってエモーションが生み出せます」と述べ、「映画は人をだませません。カメラマンの思い、俳優たちの思いを撮影によって表現することにより、真実の映画を撮ることができると思います」と続ける。そして「ほかの撮影方法で撮ろうと思ったこともありますが、僕が好きなのはドキュメンタリータッチで撮るということなんです」と笑顔で打ち明けた。

続いて邦題「ふたりの人魚」について尋ねられると、ロウ・イエは「20年前にUPLINKの浅井(隆)さんから邦題が『ふたりの人魚』というタイトルになると聞いたんです。とても美しいタイトルだなと思いました」と振り返り、海外で自身の作品が上映される際には、配給会社にタイトルを任せていることを明かした。次にマーダーを演じたジア・ホンシュンとの思い出を聞かれたロウ・イエは「彼はこの作品に出演する前、しばらく役者業から遠ざかっていました。精神状態が悪く病院にいたんです」と回想し、「しかし撮影に入ると以前の雰囲気が戻ってきました。僕が表現したいことを十分に表現してくれたんです。彼の目はとても素晴らしい」と絶賛。「すでに亡くなった彼をこのようにスクリーンで観られることは、ファンにとって慰めになると思います」と思いを口にした。

最後にロウ・イエは「ジョウ・シュンが撮影の合間に歌っていた歌がとてもよかったので、劇中でも歌ってもらったんです。このような撮影の仕方をしたのは本作が初めてでした」と、現場で目にした光景を作品に取り入れたことを述懐。「『映画は自由に撮るべきものだ! さまざまな方法を試すべきものなんだ』と、『ふたりの人魚』を撮影して思いました」とはにかんだ。

なお本映画祭のオープニング作品にも選ばれたロウ・イエの監督作「シャドウプレイ」は、2020年2月下旬より東京・UPLINK渋谷、UPLINK吉祥寺ほか全国で順次公開される。

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