アニメ作家の和田淳がトークショー登壇、影響受けた人物は松本人志と宮沢賢治

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アニメーション作家・和田淳のトークショーが、本日11月2日に北海道・新千歳空港ターミナルビルにて開催中の第6回新千歳空港国際アニメーション映画祭で行われた。

和田淳

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「私は猫ストーカー」「ゲゲゲの女房」などでアニメーションパートを担当し、第62回ベルリン国際映画祭では「グレートラビット」で短編部門の銀熊賞を受賞した和田。イベントではまずアニメーション制作を始めた経緯と作風について語り始める。「2002年からアニメーション制作を始めて、当時は大学生。施設や道具がない状態で、独学でした」と振り返り、「好き勝手に作ったというほうがニュアンスとしては合っているかもしれません。アニメーションをやりたいというよりは、自分の絵を動かしたいという気持ちがありました。自分の絵を時間軸上に並べたときに生まれる緊張感や変な空気が面白くて作り続けてきたんです」と原点について述懐。

和田淳によるトークショーの様子。

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和田淳

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自身が制作した動画をスクリーンに映しながら解説した和田は、ある2人から影響を受けていると話す。「まずはダウンタウンの松本人志という人間です。彼が20年ほど前に作った『HITOSI MATSUMOTO VISUALBUM』というコント集は僕にとってバイブルのような存在」と言い、「その映像から感じ取る“間”や数々のアイデアに惹かれ、多大な影響を受けました。その間のようなものを自分の世界観で表現したいと思ってアニメーション制作を始めたんです」ときっかけを話した。

そして影響を受けたもう1人の人物として宮沢賢治を挙げ、「作品の在り方において影響を受けた」とコメント。「彼は詩や童話などを残しましたが、読むごとに深みが増したり新たな発見があったりと、その懐の深さが特徴だと思っています。読む年代や知識、感受性の度合いによって読み取れるものが変わるとも言えます」と分析した。また「作品にある種の謎が残されていることで何度でも読みたくなりますし、何度でもそれに応えてくれる。そういうものを僕も作りたいと思っていますし、松本人志と宮沢賢治は一生追いつくことのできない神のような存在です」と思い入れの深さをしみじみと口にする。

和田淳によるトークショーの様子。

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後半は制作フローについての解説がスタート。“余韻”と“予感”が自身にとっての重要なキーワードと明かした。続けて「作品を作るときは、自分にとって気持ちのいい動きやシチュエーションは何かということから考えます。なるべく自分が描きたい動きだけで作品を構成したいという思いがあるからです」と言い、「1コマ1コマずつ時間をかけないと成り立たないアニメーションという手法を選んだので、ストーリーを説明するだけの描写は作りたくないんです」と意見を展開。「個人的な気持ちよさを追求した先には、普遍的で根源的な気持ちよさがあるのではと信じているというのも理由ですね」と述べる。さらに「気持ちのいい動きやシチュエーションだけでは作品として成り立ちませんが、それが今見えているものだけではなく余韻や予感を感じさせるような間や謎が付随するようにするんです。過去や未来に向かっていく触手のようなものが作品を構築していくように作っています」と独自のセオリーを説明した。

和田淳が手がけたアニメーション。

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パンツ1枚を履いた子供が風に吹かれているアニメーションを観客に見せながら、「子供がじたばたしている絵を描きたいというときに、なんでじたばたしているのか、どういうふうにじたばたしているのかを考えます。何か飛ばされてはいけない理由や、すでに上の服は飛ばされてしまったんじゃないかななんて想像するんです。過去や未来、また画面外で起こってることを観ている人に感じさせることを大事にしています」と和田作品の肝を観客に伝える。「ストーリーは重要ですが、見えないものを感じ取ることを楽しむという方法もあるんじゃないかなと思っています。『見えないものがあるよ』という意味で、今回のイベントは『それじゃ見えないよ』というタイトルにしました」とまとめ、幕引きをした。

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