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福島第一原発事故描く「Fukushima 50」会見、佐藤浩市「事実をどう刻むか考えた」

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「Fukushima 50」クランクアップ会見の様子。左から渡辺謙、佐藤浩市。

「Fukushima 50」クランクアップ会見の様子。左から渡辺謙、佐藤浩市。

「Fukushima 50」のクランクアップ会見が本日4月17日に東京・リーガロイヤルホテル東京で行われ、キャストの佐藤浩市渡辺謙が出席した。

「Fukushima 50」は門田隆将によるノンフィクションをもとに、東日本大震災時の福島第一原発事故を描く作品。佐藤が事故当時に福島第一原発1・2号機の当直長だった伊崎利夫、渡辺が福島第一原発所長・吉田昌郎を演じる。NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の前川洋一が脚本を執筆し、映画「沈まぬ太陽」の若松節朗が監督を務めた。

会見ではまず佐藤と渡辺に、オファーを受けた際の気持ちに関する質問が飛ぶ。佐藤は「人間には忘れなければ生きていけないことと、絶対に忘れてはいけないことがあると思います。当然この映画で扱っている東日本大震災は後者。我々がメッセンジャーとして事実をどう刻むか。それを考えました」と述懐。渡辺は「非常にハードルの高い作品になると思った」と切り出し、「『沈まぬ太陽』でもご一緒させていただいた角川歴彦さんが携わっているので、すべてのハードルを越えようとする企画なんだと理解しました。それならば受けて立とうと言いますか」と当時の心境を明かした。

役作りについて佐藤は「放射能のいろいろな意味合いを理解して原発にいる人たち。結局にわか勉強ではあるんですけど、読み物などでそういったことの知識を詰め込みました」と回想。渡辺は大きなプレッシャーを感じていたことに触れ、その理由を「ほかの方は名前が変えてあったりフィクションになっているんですけど、吉田さんだけは本名なんです」と説明した。そして撮影を振り返りながら「非常に助けになったのが、実際に吉田さんの近くでお仕事をされていた方がスタジオにお見えになったこと。ある局面で吉田さんがどう対応したのか。メディアに映っていないときはどんな行動をしていたのか。根掘り葉掘り聞かせていただきました」と、協力者たちに対する感謝の気持ちを伝える。

本作の撮影は福島第一原発の中央制御室や緊急対策室を模したセットでも行われた。ある発電所に見学に行ったという佐藤は中央制御室のセットについて「忠実に再現されていたと思います」と自信をのぞかせ、「電源を落とした暗い中での撮影だったんですけど、進んでいく中でみんなやつれていくと言いますか。そこもリアルに感じられました」とコメントする。緊急対策室のセットでの撮影に関して渡辺は「非常に不謹慎な言い方かもしれないんですけど、緊急対策室では何も起こらないんです。でも外ではすごいことが起きてしまっているという状況。そんな中、焦燥感をどう感じればいいのかを考えました。モニターで津波後(の被災地)や水素爆発の映像が流れていましたので、仮想でもいいから当時の状況に身を置こうと、注視していました」とエピソードを語った。

会見の終盤、佐藤は「最近ニュースでもまた福島のことが取り上げられていますが、まだ終わっていないどころか何も始まっていないのかもしれない。当時を振り返りつつ何をすべきかということを、自分はもちろん、皆さんにも考えていただきたいという思いです」と集まった人々に現在の思いを伝える。渡辺も「震災以降、岩手、宮城、福島の避難所を回らせていただいたんですが、福島だけは僕たちのエンタテインメントという仕事の中でなかなか力を貸すことができなかったんです。でもこの映画を通して、もう一度皆様に現実を知っていただける、目にしてもらうことができる。そういう作品を届けることができますということを、福島の方々に言いたいと思っています」と胸の内を吐露した。

「Fukushima 50」は2020年に全国でロードショー。

(c)2020『Fukushima 50』製作委員会

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