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パリ人肉事件・佐川一政のドキュメンタリー「カニバ」2019年夏公開

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「カニバ/パリ人肉事件38年目の真実」

「カニバ/パリ人肉事件38年目の真実」

ドキュメンタリー「カニバ/パリ人肉事件38年目の真実」が、2019年夏に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開される。

パリ人肉事件は、1981年にフランス・パリで日本人留学生であった佐川一政がオランダ人女性を殺め、その遺体を食した猟奇殺人事件。不起訴処分となった佐川は1980年代から1990年代にかけて、文筆家としても活動していた。本作は脳梗塞で倒れ、実弟の介護を受けつつ年金暮らしをする佐川に、フランスの撮影クルーが2015年6月より約1カ月にわたって密着した作品。弟との奇妙な関係性を浮き彫りにしながら、事件を通して佐川の“カニバリズム”について追求していく。映画の最後には、誰も知らなかったある事実が佐川本人から語られた。

「カニバ/パリ人肉事件38年目の真実」は、2017年のヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門で審査員特別賞を獲得。「リヴァイアサン」で知られ、ハーバード大学の感覚民族誌学研究所に所属する映画作家ヴェレナ・パラヴェルルーシァン・キャステーヌ=テイラーが監督を務めた。

本作はサイゾーが運営するWebサイト・TOCANAによる第1回配給作品。TOCANA編集長の角由紀子、サイゾー代表取締役である揖斐憲が配給理由を語るコメントは下記に掲載した。

角由紀子 コメント

本作は、「パリ人肉事件」という猟奇的な殺人事件と佐川一政をセンセーショナルに描いて消費することを目的とした作品ではなく、佐川一政の性的カニバリズム欲求や育ってきた環境及び家族との関係に迫り、事件の根幹にある心の闇を追求した貴重な作品です。ショッキングな事件が題材だからといって、日本でこの作品を上映しないという選択は、我々日本人がこの事件を知り、そこから学ぶ機会を奪ってしまうということに繋がってしまいます。事件が起きたフランスとイギリス人監督2人が撮影し、世界中で上映された本作は、加害者が生まれ育った国の日本人こそまさに観るべき作品であり、その上で、佐川一政とカニバリズムについて考える責任があるのではないでしょうか。人間の持つ狂気を知ることで、再びこうした凶悪事件が起きないよう、教訓にしていきたいものです。

揖斐憲 コメント

佐川一政の名前を出版業界で聞かなくなって長い時間がたちました。彼には異端の文筆家として一定の評価を得ていた時代がありました。一部でタレント的な扱われ方をしていたこともありました。が、2000年代半ば以降、表舞台から姿を消します。晩節を迎えた佐川氏はあの事件をどう振り返り、自身をどう総括しようとしているのか。かくいう私も、一時期彼と仕事をした身として純粋な興味を持ちました。心神喪失状態だったと判断された犯行時の自分と向き合おうとする強い意志を持ちながらも、社会的にも経済的にも、その過ちに苦しめられ続けているという現実とのジレンマに苛立ちを見せることもあった佐川氏。その後、味方であり続けた両親を失い、健康も損ない、困窮生活を強いられてきたと聞きます。そんな佐川氏が行き着いた「今」を届けることは、かつて彼にスポットを当てた出版業界の人間に課された、ひとつの役割だと考えています。

(c)Norte Productions, S.E.L

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