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「空母いぶき」現場レポ、西島秀俊が佐々木蔵之介との共演に「いける」と確信

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「空母いぶき」メイキングカット

「空母いぶき」メイキングカット

西島秀俊が主演する「空母いぶき」の撮影現場に、映画ナタリーが密着した。

かわぐちかいじの同名マンガを「沈まぬ太陽」の若松節朗が実写化する本作は、専守防衛の自衛隊が初めて航空母艦を持ったと仮定した近未来の日本を舞台とする軍事ドラマ。日本の最南端沖で起こった国籍不明の漁船20隻による発砲と波留間群島の一部占領を発端に、現場に向かった航空機搭載型護衛艦・いぶきを中心とする艦隊と乗員たちの苦悩が描かれる。いぶき艦長の秋津竜太に西島、秋津の同期で副長を務める新波歳也に佐々木蔵之介が扮した。

クランクインから約1カ月後の3月29日。この日は、戦闘の指揮を執るための艦内施設・CICのセットが組まれた東京都内のスタジオで撮影が行われた。海上自衛隊のCICを参考にしたセットには、現在より少し先の未来という設定が加味され、タッチパネル式の海図のほか、レーダーを映す巨大なモニターなどが設置されている。西島らいぶき乗員キャストが着用している衣装も実際の海上自衛隊の制服に近いものとなっており、この日の撮影シーンは緊急時という設定であることから、キャストはカポックと呼ばれる救命胴衣を着用していた。

部屋中を囲むモニターの光によって青一色に染まったセットの中で、テスト撮影がスタート。挑発行動を取り続ける漁船群に対抗するか否かを、秋津らいぶき乗員が決断するシーンだ。緊迫した空気の中、西島と佐々木のやり取りが続く。カメラモニターをじっと見つめていた若松が静かに「はい、カット」と声をかけると、息を殺していたスタッフたちがすぐに動き出し、カメラ位置や西島と佐々木の衣装の乱れを調整していく。西島と佐々木はセリフを何度も小声で繰り返しながら、イントネーションや間の取り方を確認していた。

撮影が一区切りして休憩時間に入った途端、スタッフが「現場は緊迫しておりますが」と切り出す。セット内の視線を集めたスタッフは、続けて「本日西島さんのお誕生日です!」と発表。CIC内の大型パネルに「Happy Birthday! 」の文字が映し出され、数人のスタッフがろうそくを立てたケーキを運んできた。西島は一瞬きょとんとした表情を浮かべたものの、差し出されたケーキを見て照れたような笑顔を見せる。佐々木ら共演者やスタッフからの「おめでとうございます」という声と、盛大な拍手を浴びた西島は、一気にろうそくの火を吹き消し「いやあ、うれしいですね」と一言。周囲を見渡しながら「47歳になり、最初の仕事がこの『空母いぶき』で本当によかったです。最高のスタッフとスタートを切れたので、今年は最高に充実した1年になりそうです」と感謝を述べた。

別のスタジオには、監視と指揮を執るための設備・艦橋のセットが。艦橋内は20枚近くの窓にぐるりと囲まれ、180℃展望が利く状態に。壁に設置されたボードには、事件発生当日の日付「20XX年12月23日」や「不明漁船群」などの文字が確認できた。西島は窓外を見渡しながら艦橋に登場するシーンについて、若松と細かく打ち合わせを重ねる。照明の位置や歩き方の速度に加え、西島は「見る角度、これでいいでしょうか?」と視線の配り方を質問。若松は視線の角度を数パターン見ながら「うん、今のでいいと思います」とGOサインを出した。

続いて、海に撃墜されたパイロットの救出を指示するシーンに臨んだ佐々木。ヘッドセットのマイクを手に取り「あきらめるな、死なせてはいけない」と口にする。最初のテストでは、はっきりと耳に残る言い方だったが、本番までに複数回のテストを重ねると、声を震わせながらも力強さを失わない言い回しに変わっていた。このシーンの本番では、佐々木のセリフのあとに若手の乗員たちが走って甲板に出ていく演出が追加された。

撮影の合間に囲み取材に応じた西島と佐々木。テレビドラマ「僕とスターの99日」でも共演した佐々木について、西島は「今回共演できると聞いて『これはもう、いける』と思いました。撮影開始前から『蔵さんとのシーンを増やしてほしい』って言ったぐらい頼りにしている先輩です」と信頼関係の強さをうかがわせた。「先輩」と呼ばれた佐々木は「ありがとう、でもそんなに歳変わらないよね?」と苦笑する。

西島は、撮影前に役作りのため、海上自衛隊と航空自衛隊のOBと会った際のエピソードを紹介。「いろいろとお話をうかがったんですけど、それぞれ気質や考え方が違うなと感じました」と回想した。続けて「空自のパイロットは、飛行機が音速で飛んでいる最中に、たった1人で未来を予測しなければならないそうです。一方で海自は、皆さんが家族というか、同じ船の中で生きているという意識が強かった。それぞれが自分の仕事に違う愛情の持ち方をしているなと。今回は、空自のパイロットが海自の艦長になるというところで、その違いもあちこちで描かれるのが面白いところだと思いますね」と述べる。

本作の方針について、若松やプロデューサーの小滝祥平は「絶対に戦争をしないための映画にしたい」とキャスト陣に伝えていた。佐々木は「秋津のセリフの中にある『子供たちが将来に夢を持ち、安心して暮らせる……日本はそんな国でなくてはならない』という一言が、この映画のテーマを端的に表していると思います」と語る。佐々木は自身が演じる新波について「命を大切にすることを念頭に置いており、海上では敵の命も味方の命であり同じだと考えている」と分析。続けて「秋津は過程よりも結論を重んじるタイプなので、新波がいろいろと動くほうが面白くなるだろうと思い、監督にそういう演技を提案させていただくこともありました」と明かした。

「空母いぶき」は2019年に全国で公開される。

(c)かわぐちかいじ・惠谷治・小学館/『空母いぶき』フィルムパートナーズ

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