小津安二郎「東京物語」4Kデジタル修復版、香川京子が原節子とのエピソード語る

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6月23日、「東京物語」4Kデジタル修復版の舞台挨拶が東京・角川シネマ新宿にて行われ、キャストの香川京子が登壇した。

香川京子

香川京子

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「東京物語」(4Kデジタル修復版)海外版ポスタービジュアル (c)1953/2017松竹株式会社

「東京物語」(4Kデジタル修復版)海外版ポスタービジュアル (c)1953/2017松竹株式会社[拡大]

香川が登場すると満席となった会場に盛大な拍手が巻き起こる。デジタル修復版を鑑賞した香川は「今はもうなくなってしまった尾道の瓦屋根がピカピカと輝いていて感激した」とコメントし、「尾道のシーンは実は2カットしか出ていなくて、あとは大船のセットで撮影したんです」と述べる。監督を務めた小津安二郎の現場について「カメラが低い位置にどんと据えられており、小津監督は自分の決めたフレームの中に人物や物をはめ込んでいくようだった」「方言については厳しくて『ありがとう』のイントネーションも大変苦労しました」と振り返った。

香川京子(右)

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小津が「僕は世間のことにはあまり関心がないんだよ」と話していたことに触れた香川は、「その言葉の意味がよく理解できないまま何十年か経って、小津監督の『人間を描けば社会のことは自然に出てくる』という言葉を知り、未だにとても印象に残っているんです」としみじみと語る。続いて共演した原節子に関して「とっても明るい方で豪快に笑う元気で楽しい人。飾らなくて、とても優しかった」と述懐し、「旅館での部屋が隣でうれしくて遊びに行かせてもらったりしたんです。実は小津監督のことはそんなに知らなくて、原さんと共演できることが本当にうれしかった」と笑顔を見せた。

笠智衆については「特に芝居をしなかったとしてもそこにいてくれるだけで安定感と安心感を与える、すごい存在感のある人物だった」と表現。そして「撮影当時、実は40代で70代の父親役を演じていた。背中に布団を入れて腰が曲がった感じを出して、自分と5、6歳しか違わない杉村春子さん、山村聰さんと親子役を演じていたんです。妻役の東山千栄子さんは笠さんより14歳歳上でした」と説明し、観客を驚かせる。

小津作品だけでなく、黒澤明、溝口健二、成瀬巳喜男ら日本を代表する巨匠たちの作品に出演してきた香川は「私、監督荒らしって言われるんです! 自分に自信もないし、『この役やらせてください!』と言ったこともない。不安と緊張の連続で荒らした覚えなんかないのに、そう言われたことがあるんですよ(笑)」と明かし、客席を笑いに包んだ。最後に香川は「これが自分の仕事です、と言えるものを探していたんです。未だに女優になりきれなくて、これでいいのかしらと思うんですよ……」と話し、「それでもこういう機会があればまたいろいろな場所でお話したいと思っています。映画はやっぱり大きなスクリーンで観てほしいですね」とメッセージを伝え、イベントを締めくくった。

「小津4K 巨匠が見つめた7つの家族」ポスタービジュアル

「小津4K 巨匠が見つめた7つの家族」ポスタービジュアル[拡大]

本作を含む、小津作品7本の4K修復版をスクリーンにかける特集上映「小津4K 巨匠が見つめた7つの家族」は角川シネマ新宿で開催中。「東京物語」「晩春」「麦秋」「お茶漬の味」「早春」「東京暮色」「浮草」がラインナップされた。

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すいか @pabur0n

18年だった
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