「
なんでも屋の安室役を演じた綾野は、役柄にちなんで「なんでも屋なので」と言いながら舞台挨拶の進行役を買って出る。綾野から初日を迎えた感想を求められた黒木が「感無量です。いつもは自分が監督の思いに応えられなくて苦しい思いをすることが多いのですが、この現場では岩井さんが私のことをすごく考えてくれていると聞いていて。幸せな時間でしかなかったです」と述べると、「素敵なメッセージですね」と妙にかしこまった反応をする綾野。Coccoも「自分へのご褒美のようでした」と幸せを噛み締めると、綾野はまたもや気取った口調で「素晴らしいご褒美でしたね」と相槌を打ち、司会者として堂々と振る舞ってみせる。
しかしぎこちない空気を察したのか、綾野は「普通にしゃべるね」と仕切り直して「撮影現場どうだった?」とフランクに質問。岩井が過去に手がけた「リリイ・シュシュのすべて」などを多感な時期に観たという黒木は「(岩井の作品は)なんで私のことこんなにわかるの?という作品。自分を構成するものの一部を作った監督とこうして一緒にできるなんて、本当に幸せでした」と岩井への思いを伝える。
続いてCoccoからは不思議なエピソードが。13歳の頃に地元・沖縄の自宅であるドラマを観た際、「これを作った人に会うんだ」と直感で心に決めたと明かす。「エンドロールに“岩井俊二”という名前を見つけて、とにかく会う!って。でも時が流れても見つけてもらえないし、歌手デビューしてもスルーだし。だから、叶うことってあるんだなって思えました」と力説するが、話を聞いていた岩井は「気付いちゃったんだけど……13歳の頃ですよね? 僕まだ何も作ってないんじゃ……」と首をかしげる。それでも「エンドロールに名前があった!」と言うCoccoに、岩井は「僕が28歳ぐらいか。ギリギリなんか作ってたかも」と計算しつつ、「まだ存在しないドラマだったらミステリー。それこそ運命的ですね」とほほえんだ。
最後に綾野が「岩井さんには、また来年にでも新作を作ってもらう約束をしてもらわないと(舞台挨拶が)締まりませんよね?」と詰め寄ると、岩井はささやくような声で「はい……」と返す。その返事を聞いた綾野は「『はい』いただきました!」と大喜びで、会場からも拍手が巻き起こる。岩井は本作のタイトルになぞらえて「今日は僕の大事な“娘”を嫁にやる日です。観客の皆さんが新郎ということで。このふつつかな娘をよろしくお願いします」とお辞儀し、舞台挨拶の幕を下ろした。
「リップヴァンウィンクルの花嫁」は、黒木扮するごく普通の女性・皆川七海が、なんでも屋の安室に奇妙なアルバイトを次々と斡旋される過程で起こるドラマを描いた作品。Coccoは七海のバイト仲間となる真白を演じた。本日より全国の劇場で上映中。
関連記事
岩井俊二の映画作品
関連商品
リンク
- 「リップヴァンウィンクルの花嫁」公式サイト
- 「リップヴァンウィンクルの花嫁」予告編2
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
阿部のいつも屋さん🪬 @cyunpyon
岩井俊二「大事な娘を嫁にやる日」と感慨、「リップヴァンウィンクルの花嫁」初日 https://t.co/VeyAuoz1bk