TCCF 2024、映画ナタリーが見た台湾ドラマ・映画の今 Vol. 1
ツァオ・ヨウニンが語る台湾エンタメならではの魅力、TAIWAN MOVIE WEEKの楽しみ方
2024年10月24日 18:15 2
台湾映像フェス「TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映像週間)」が昨年に引き続き、10月17日から26日まで東京・TOHOシネマズ 日比谷などで開催されている。台湾の人気ドラマ・映画を無料で劇場上映する同企画は、2019年に台湾の文化部(※日本の文科省に類似)によって創設された独立行政法人、台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA)が主催するイベントだ。
2回目の開催となる今年は、「
なお映画ナタリーでは台湾エンタメの今を知るべく、TAICCAが主催するコンテンツビジネスの祭典「2024 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」を11月5日から台湾・台北で現地取材予定。その模様は後日掲載する。
取材・
最後の学生役になるかもしれない
──「TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映像週間)」では、とても魅力的な作品11本がラインナップに並びました。その中でオープニングを飾ったのが、ツァオ・ヨウニンさんの主演作「夏日的檸檬草」です。
とてもうれしいですし、光栄です。このイベントにはさまざまなジャンルの作品がラインナップされているので、それぞれの作品の魅力や違いを楽しむことができます。僕が出演した「夏日的檸檬草」はキャンパスを舞台とした青春映画でリラックスできる作品。まずはこの映画の太陽のような温かさをたっぷり日本の皆さんに感じてほしいです。
──「夏日的檸檬草」は、同じ高校に通う幼なじみの男女と転校生の三角関係を描いた青春映画です。出演を決めた理由を教えてください。
原作が台湾のベストセラー小説だということが1つの理由です。長く愛されている作品で、魅力を感じました。また出演した当時、僕は29歳だったので、今後、学園ロマンスで学生を演じるチャンスがあるかどうかわからなかった。もしかしたら学生役の最後の作品になるかもしれないと思って、出演を決めました。
──学生姿を楽しむことができる、ファン必見の作品だと思います。
実は学生時代、あまり制服を着る機会がなかったんです。それに僕のクラスメイトはみんな野球をやっていて、男性ばかり。だから映画を通して、また違った高校生活を送ることができて新鮮でした。
──映画を拝見したんですが、学園ものならではの楽しい場面が満載でした。
台本を読んだとき、面白いシーンがちりばめられていると思いました。どういう映像になるのか想像するのが難しい部分もあったんですが、実際に現場に入ってみると予想以上に楽しかった。例えば主人公がヒロインをおんぶするシーンをスローモーションで撮ってみたり、現実の生活では起きないような場面を演じるのは楽しかったですね。ラブコメならではの見せ方がとても面白いと思いました。
台湾作品の魅力は人がとてもかわいいところ
──「夏日的檸檬草」は先日、韓国の釜山国際映画祭でも上映されましたが、会場に多くのファンが集まっているお写真を拝見しました。
1000人ぐらいの観客が野外上映に参加してくれて、とても特別な体験でした。会場で感じたのは台湾と韓国では笑いのツボが違うということです。台湾の観客が笑うところで、笑いが起こらなかったり、逆に台湾で笑いが起きないところで、韓国の方が笑っていたり、びっくりしました。海外の観客の反応を知ることができるのも、映画祭に参加する楽しさの1つだと思います。
──TAIWAN MOVIE WEEKもまさにそういった楽しさのあるイベントだと思います。
海外の方に僕を知ってもらえるチャンスですし、「うれしい!」という言葉しか出てこないですね。こういったイベントをきっかけに台湾と日本の共同製作の機会が広がることを、期待しています。
──「夏日的檸檬草」以外に、お薦めの作品、気になる作品はありますか?
観客の趣味趣向に合わせて作品を選ぶことができるのがこのイベントのよいところだと思うんです。サスペンスが好きな人なら「青春弑恋」、台湾と日本の合作映画を観たければ「青春18×2 君へと続く道」、台湾のBLに触れてみたければ「First Note of Love ~美しい恋の奏で」といったように、お気に入り作品を見つけることができる。本当にどれも素敵な作品です。
──ツァオ・ヨウニンさんから見て、台湾作品ならではの魅力はどんなところにあると感じていますか?
人がとてもかわいいところが魅力だと思います。そして物語の語り方に、台湾らしさが現れる。それはたぶんどこでも一緒だと思います。それぞれの場所にそれぞれの味がありますよね。
是枝裕和監督とお仕事をしてみたい
──近年は、各国のクリエイターがそれぞれのよさを持ち寄った、国際的共同製作の作品も増えています。ツァオ・ヨウニンさんはデビュー作「KANO~1931海の向こうの甲子園~」で
それぞれの場所にそれぞれの仕事のやり方があって、物語の見方も違います。だから一緒に仕事をするとお互いに勉強になりますし、作品がとても豊かなものになると思います。
──「KANO」のキャストやスタッフの方とはいまだに連絡は取り合っているんですか?
今でも連絡しますね。「新年おめでとうございます!」とか、特別な祭日にはメッセージを送っています。今はSNSがあるので、どんな活動をしているのか、すぐに知ることができる。永瀬さんは写真家でもあるので、展覧会を開催されていたりしますよね。また共演する機会があったら僕の写真を撮ってもらいたいです。
──今後一緒に仕事をしてみたい日本のクリエイターはいますか?
是枝裕和監督とお仕事をしてみたいです。監督は日本の社会に生きるごく普通の人々の生活や生き方にスポットを当てている。そして映画を通して、登場人物たちの日常が物語として立ち上がってくるところに惹かれます。多くの人に、この社会にはこんなふうに生きている人たちがいるということを知ってもらえる、そんなところも映画の素晴らしさだと思います。
──日本のクリエイターとのタッグを楽しみに待ちたいと思います。最後にファンへメッセージをお願いします。
応援していただきありがとうございます。日本の皆さんが「夏日的檸檬草」を気に入ってくれるとうれしいです。今後も僕の作品を日本で上映する機会を作ることができればと思っています。そして台湾と日本の合作に出演するチャンスがあることを願っています!
ツァオ・ヨウニン(曹佑寧)
1994年4月24日生まれ、台湾・台北出身。2014年にマー・ジーシアン(馬志翔)が監督、永瀬正敏が主演を務めた「KANO~1931海の向こうの甲子園~」で俳優デビュー。エースピッチャー・アキラ(呉明捷)を演じ、第16回台北電影節の最優秀助演男優賞に輝いた。当時は芸能活動と並行し、野球選手としても活動しており21U野球ワールドカップなどにも出場。ワールドカップでは最優秀外野手に選ばれた。その後、2016年に芸能活動に専念することを発表。出演映画にTAIWAN MOVIE WEEKでオープニングを飾った「夏日的檸檬草」や「スリングショット」「詭棋」があり、主演作「刺心切骨」「鬼們之蝴蝶大廈」の台湾公開を控えている。
曹佑寧(@tsaoyuning)|Instagram
ツァオ・ヨウニンの記事まとめ
台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA)
台湾・文化部(※日本の文科省に類似)によって2019年に創設された独立行政法人。台湾文化コンテンツの産業化、国際化を促進するため、台湾作品、クリエイターを積極的に支援している。
台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA)公式サイト
台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA)(@TAICCA_Japan) | X
台湾ドラマ・映画を上映「TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映像週間)」告知映像
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