台湾映画・ドラマが本気で世界市場に打って出る!進化したアジアのコンテンツビジネスの祭典を現地取材|「返校」ジョン・スー&「HIStory3」ウェイン・ソンのインタビューから探る日台コラボの未来

アジアのコンテンツビジネスの祭典「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」が11月7日から12日まで台湾・台北で開催された。今年で4年目を迎えるこのイベントは、台湾・文化部(※日本の文科省に類似)によって創設された台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA)が主催する世界のコンテンツ産業のための展覧会と見本市だ。

映画ナタリーでは台湾現地にて2年連続でTCCFを取材。コロナ禍が明け、さらにパワーアップした同イベントをレポートする。また映画「返校 言葉が消えた日」の監督ジョン・スー、BLドラマ「HIStory3 那一天~あの日」などで知られるウェイン・ソンにインタビューを実施。台湾エンタメの今を探った。

取材・文 / 金子恭未子

台湾映画・ドラマの今が熱い!
より進化したTCCFを現地取材

台湾のコンテンツ支援がさらにパワーアップ!

世界のコンテンツ市場で“勝つ”ため、台湾では近年、官民一体となって、台湾作品、クリエイターを支援している。台湾・文化部(※日本の文科省に類似)によって創設された台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA)が、台湾のIP(知的財産)を世界に届けるため「TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」を開催しているのもその一環だ。さらに文化部は2024年から4年間で映画、ドラマ、音楽、芸術などの文化コンテンツ産業に100億台湾ドル(約470億円)を投じる「黒潮計画」の実施を決定した。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」開幕式の様子。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」開幕式の様子。

台湾では国際的な共同制作を強く推進しており、「返校 言葉が消えた日」の監督ジョン・スーも台湾と日本の共同制作がこの2年で一気に増えた印象だと語っている。日台コラボがじわじわと増えている昨今、「黒潮計画」は日本のクリエイターや投資家にとっても他人事ではないだろう。もしかしたら、中華圏という巨大マーケットにチャレンジするチャンスが眠っているかもしれない!?

2023 TCCFの開幕式にて台湾文化部の部長・史哲は「台湾に投資するなら今が絶好の機会!」と力説。会場は盛り上がりを見せていた。

コロナ禍を経て、進化し続けるTCCF

4日間で商談は1400超え!MARKETはより洗練されたものへ

台湾で現地取材し、強く感じたのは、コロナ禍が明け、TCCFがより国際的なイベントへと進化を遂げたことだ。今年のメイン企画はMARKET、PITCHING、INNOVATIONSの3つ。MARKETでは台湾、日本、韓国、フランスなどのテレビ局や制作会社がさまざまなコンテンツを展示し、4日間で1400を超える商談が行われた。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」MARKETの様子。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」MARKETの様子。

日本からはフジテレビ、テレビ東京などが出展し、ジェトロ(日本貿易振興機構)も初参加。ジェトロでは、海外バイヤー専用のオンラインカタログ「Japan Street」を運営しており、そこに企業情報やコンテンツの情報、画像、映像などを登録すれば世界中のバイヤーに作品を紹介できる仕組みを作っている。

ジェトロの伊藤優一氏に話を聞くと、TCCFに参加しているチリのバイヤーから、日本の古いアニメ作品を探しているという相談があったそう。アニメスタジオに確認後、興味があればオンライン商談の日程調整を行い、必要であればジェトロが通訳も手配する。伊藤氏は、TCCFに確度の高いバイヤーが参加している印象を受けたそうで、「去年参加した人と話をしたところ、有料の入場パスが必要になったので、イベントとしてより優良なバイヤーが参加し洗練されたものになったと言っていました」と語っていた。

世界中から企画を募集、PITCHINGはより国際色豊かなものに

メイン企画3つを取材し、その中で一番進化を感じたのがPITCHINGだ。参加者が企画をプレゼンし、国内外の出資者から支援を募ることができるPITCHINGでは、映像化に期待のかかる映画やドラマの企画を紹介する「Project to Screen」と、台湾の小説やマンガの映像化を目指す「Story to Screen」という2つの部門が用意された。「Story to Screen」には台湾の人気マンガ家・謝東霖による「誰怕誰」など、すでに知名度のある作品が並び、優秀な台湾IPを探したいバイヤーにとってはうってつけの場所となった。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」PITCHINGの様子。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」PITCHINGの様子。

そして、今回のPITCHINGでもっとも注目すべきなのは、初めて世界中から企画を募集したことだろう。その結果、世界29の国と地域から、539の企画の応募があり、TCCFはより国際色豊かで、より面白みのあるイベントへと進化した。応募総数が増えれば、作品が多種多様なものになるのは当然だ。サスペンスやラブストーリー、社会問題を反映したものなど、熱のこもった企画に多数出会うことができる。

国際化の影響により、プレゼン方法が変化した点も見逃せない。昨年は参加者の半数以上が中国語でプレゼンをしていたのに対し、今年はTAICCAの指導のもと「Project to Screen」の参加者は英語でのプレゼンが基本になった。さらにTAICCAは、PITCHING参加者のプレゼン力を向上させるため、ジョン・スーらを講師として招き、ワークショップを開催。クリエイター支援も手厚く行なった。

TCCFの大きな目的の1つは、台湾のIPを世界に紹介すること。しかし、イベントが魅力的なものでないと、世界中から投資家やバイヤーが集まることはない。TAICCAはTCCFをより国際的なものにするため、着実に歩みを進めている。今後世界中からより多くのクリエイターやバイヤーが台湾に集まる予感がした。

台湾×日本の共同制作に膨らむ期待

台湾と日本のクリエイターがタッグを組む機会が近年じわじわと増えている。「新聞記者」「余命10年」の藤井道人が監督・脚本を担当、「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」などで知られるチャン・チェン(張震)がエグゼクティブプロデューサーを務める日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」では、グレッグ・ハン(許光漢)と清原果耶のダブル主演が実現。また江口のりこ主演のドラマ「ソロ活女子のススメ4」にて、台湾ロケが実現したことも記憶に新しい。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」閉幕式の様子。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」閉幕式の様子。

国際的な共同制作を強力に推進するTCCFの進化によって、今、日台コラボの機運が高まっている。TCCFでは、日本のクリエイターが、共同制作の可能性を探るため、投資者を募ることも可能だ。逆に投資したい作品を見つけるため日本からTCCFに参加することもできる。実際、今年のPITCHINGでは、台湾と日本によるドキュメンタリープロジェクト「雪水消融的季節」が大賞にあたるTAICCA X CNC AWARDを受賞し、3万米ドルを獲得した。

今年のPITCHINGは企画募集が5月上旬、バイヤー向けの募集が9月初旬にスタート。次回については、改めてTAICCAよりアナウンスされる予定だ。来年、TCCFでチャンスをつかむのはあなたかもしれない?

映像化に期待! PITCHING参加作3本を紹介

「打掃阿姨」ビジュアル
「打掃阿姨」

PITCHINGにはさまざまな社会問題を反映した作品が登場。その中で注目を集めた1本が、デジタル性暴力をテーマにした「打掃阿姨(掃除のおばさん)」だ。ネット上にプライベート映像が流出したことによりニュースキャスターから清掃員になった女性が、同じくデジタル性被害に悩み自殺した少女の復讐を決意する。

本作のポイントは、主人公が他人の生活スペースに違和感なく溶け込める清掃員だということだろう。さまざまな特技を持った清掃会社のメンバーが、彼女の復讐をサポートする描写も見どころとなる。

制作者はヒアリングを多数行い、実話も脚本に組み込んだそう。世界各国でデジタル性暴力が問題になっている中、ドラマを通して被害者に勇気を与えたいと語る姿が印象に残った。

「女二」ビジュアル
「女二」

近年、さまざまな台湾発コンテンツのメディアミックスが盛んに行われている台湾。すでに知名度のあるIPもPITCHINGに参加した。2021年臺北文学奨年金大奨の大賞を受賞したジョアン・デン(鄧九雲)の小説「女二」もその1つだ。40歳で新人賞を受賞した女優が、姉の背中を見て育った過去や、脇役・代役などを経て自身の居場所を見つけるまでの道のりを振り返る。女優として活動してきたジョアン・デン本人のリアルな経験もストーリーに盛り込まれた。

プレゼンに参加したジョアン・デンは「映像化することで、夢を追いかけている人の背中を押すことができれば」と願いを込めた。

「下屬出租方案」ビジュアル
「下屬出租方案」

PITCHINGには、制限時間8分以内に作品をアピールするというルールが設けられている。参加者はトークに加え、スライド資料やイメージ映像などさまざまに工夫を凝らし、プレゼンを行なった。

「職場で嫌な思いをしたことがある人はいますか?」と問いかけ、投資者の興味を引いたのは沐謙による短編小説「下屬出租方案」の映像化を目指すチームだ。「レンタル部下」のタイトルで日本語翻訳版がカクヨムに掲載されているこの小説では、“社畜”の主人公が部下をレンタルしたことから物語が進んでいく。突然現れたレンタル部下を同僚が誰も不思議に思わないというクスッと笑えるファンタジー要素を盛り込みつつも、主人公が部下を持ったことで嫌悪していた上司と同じような人間になってしまうというハッとする展開も用意。権力は初心を奪い、ポジションが変わると世の中の見方も変わるということがテーマとなっている。

作り手は舞台となる職場を変えることで、さまざまにアレンジができると企画の柔軟性をアピール。オフィスワーカーをターゲットにしたこの作品は、日本でも注目を集めるかもしれない。

台湾のクリエイターにインタビュー

“台湾コンテンツの今”を知るため、TCCFで台湾のクリエイターにインタビューを実施した。「返校 言葉が消えた日」のジョン・スーが語るメディアミックスで大切にすべきこと、「HIStory3 那一天~あの日」のウェイン・ソンが感じる台湾俳優の魅力とは?

ジョン・スー(徐漢強)が捉える
台湾コンテンツの現在地

ジョン・スー(徐漢強)

ジョン・スー(徐漢強)

「返校」は原作が強すぎて本当に苦労した

──ジョン・スー監督の手がけた「返校 言葉が消えた日」は日本でもファンを獲得しています。映画ナタリーでニュースを出した際もSNSで読者から多くのリアクションがありました。

日本のファンの反響は私のところにも届いています。公開後には、SNSで想像以上の反響があって。なぜだろう?と分析してみたら、映画のもとになったゲーム「返校 -Detention-」は花江夏樹さんや小野賢章さんがプレイしていたり、日本でも人気があることがわかったんです。そういう影響もあって映画にも大きな反響があったのではないかと思っています。

──監督は原作ゲームをプレイ後、すぐに誰かが映画化すべきだと思ったそうですね。

10年くらい前に制作会社が「返校」というゲームを作っていると発表したときから、注目していたんです。ホラーゲームだと思って遊び始めたんですが、プレイして強く印象に残ったのは1960年代の台湾を舞台にした物語でした。それからは、映画を制作している友人やプロデューサーに会うたびに「誰かに映画化してほしい」と話していたんです。そうしたら「自分で撮ってみたらどうですか?」と言われて、監督することになりました。

※編集部注:1960年代の台湾を舞台としたゲーム「返校 -Detention-」は、市民に対する政府の暴力的な弾圧が続いた白色テロの時代をテーマとしている。

──台湾ではメディアミックスが盛んに行われており、政府やTAICCAが積極的に支援していると聞いています。映画「返校」はメディアミックスの大きな成功例の1つですが、ゲームを実写化するにあたってこだわった部分は?

メディアミックスで一番重要なのは原作です。もともとヒットしていて、多くの人に愛されている作品の場合、ゲームならゲームのまま表現するのがベスト。我々はゲームで表現されていることを、映画の中でいかに再現するか、たくさん考えて制作しました。謎解きのシーンなどそのまま映画にするのが難しい場面がゲームにはあります。なので、映画化するにあたって、原作の中のキャラクターの行動、その動機、感情を一から設定し直していきました。ただし、原作のあふれる力が核になったからこそ、物語に沿って映画として表現することができたと思っています。

──メディアミックスを成功させるために大切なことはなんだと思いますか?

原作のあるものを映画化する際にはさまざまな困難がありますし、原作と必ず比較される。私はよく皆さんに、原作を選ぶのなら一番人気を得ているもの、売れているもの、面白いものじゃなくても構わないと言っているんです。作品の一部に人の心を動かすものがあればいい。それを柱にして、自分なりの切り口を見つけて映像化すれば新しいものを生み出すことができる。要するに原作が強いと、映像化は難しいんです。「返校」は原作が強すぎて、制作しているときに本当に苦労しました(笑)。

──キャスティングにも苦労はありましたか?

ゲームにはたくさんのファンがいて、それぞれが主人公のビジュアルや性格を想像していたと思います。そういった部分にはやはり気を配りました。ポイントは、有名な俳優を起用しないということ。大スターをキャスティングしても、原作のファンは満足できない。だから映画のためにオーディションを開いたんです。1000人ぐらいの参加者の中から、ワン・ジン(王淨)とツォン・ジンファ(曾敬驊)という主人公2人をキャスティングできました。とにかく、キャラクターに合うキャストを選んだ。その結果、皆さんが受け入れてくれたと思っています。

──その後、ワン・ジンさんも、ツォン・ジンファさんも話題作に次々出演しています。

オーディションの際、2人には特別なものを感じていました。ツォン・ジンファに関しては、こんなにピュアに見える、宝物のような青年はいるのか?と(笑)。ワン・ジンは若いんですが、思考は実年齢以上に大人なんです。そして繊細な一面がある。だから主人公にぴったりでした。撮影中にも2人の輝きを感じて、「将来のことは何も心配いらない」「みんなに注目されるよ」と伝えました(笑)。

台湾のコンテンツ産業の可能性が数年で一気に膨らんだ

──TCCFのINNOVATIONSスペースにはVRなどの技術を駆使した作品が展示されており、台湾の最新技術に出会うことができます。監督は「全能元神宮改造王」「星際大騙局之登月計劃」などVR作品も手がけていますね。

VRは体験している人が主人公になることもあって、ストーリーを語る方式が映画やドラマとはまったく違います。VRで一番重要なのは空間を表現すること。俳優の演技やストーリーではなく、空間を使っていかに視聴者に共感をしてもらえるかが重要なんです。2本のVR作品を手がけましたが、面白い経験となりました。ただし、まだVR市場は大きなものとはいえない。現在は仕事というより、仕事以外での遊びという位置付けです。VRはコストも膨らみますし、資金回収が難しい。例えるなら、今は“VRのベビー期”です。だから、そんな時期に台湾政府やTAICCAが積極的にサポートしているのはとてもいいこと。クリエイターが企画を提案できるPITCHINGを開催したり、賞金を用意したり、作り手の後押しをしてくれています。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」のPITCHING会場入口。

「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」のPITCHING会場入口。

──監督はTCCF開催にあたってPITCHINGのワークショップで講師を務められました。いかがでしたか?

アニメ部門のワークショップの講師を担当しました。私以外にもアニメのプロデューサー、映画祭のディレクターが参加しています。プロデューサーはプロデューサー目線で出資者とのコミュニケーションの取り方をレクチャーし、映画祭のディレクターはヨーロッパではどのようにアジアのアニメが受け取られるのかを教えました。私が教えたのは物語を語ることです。数百人の前でプレゼンする際、どうやったら彼らに魅力を伝えることができるのかをレクチャーしました。PITCHINGではストーリーラインだけでなく、なぜ自分がこの物語を語るのかを伝えてほしい。自分自身と物語のつながりがどこにあるのかをしっかり見つけ、そのうえでストーリーをアピールすることが大切です。これまで学んできた私の経験をワークショップではシェアしました。

──TCCFは年々進化していますが、今後に期待することはありますか?

コンテンツをクリエイターが作るのは当然、簡単なことではありません。さらに海外に進出するのも難しい。TCCFの歴史はまだ始まったばかり。将来的には作品のバイヤーや投資者がさらに増えてほしいと思っています。さまざまな国の人に、良質な台湾コンテンツを探しに来ていただきたいですし、共同制作の可能性を探ってほしい。企画をプレゼンしたいという応募者はたくさんいるので、作り手と買い手の数がもっと釣り合うようになればいいなと思っています。TCCFが魅力的な場所じゃないとバイヤーも参加しないでしょうし、今後時間を掛けてゆっくりやっていくこと。そのためにTAICCAが一生懸命取り組んでいると思っています。

──職業柄、世界のコンテンツに日々触れていると思います。監督は、今の台湾のコンテンツ業界をどのように見ていますか?

台湾では、ここ数年でコンテンツ産業の可能性が一気に膨らんだと感じています。さまざまなジャンル、スタイルを以前より自由に選ぶことができるようになった。またこれまでになかったような新しいテーマの作品も次々と登場し、新しいものを生み出そうという空気感があります。一方でそんな状況には注意すべきこともあります。どんなに自由であろうと、どのように物語を語るかという基本はしっかり押さえておかなければならない。台湾の次世代クリエイターは、多くの新しいテーマを生み出しています。素晴らしいなと思いますが、基本的な部分が足りないと感じることもあるんです。私も自分自身に「どんなテーマや要素を入れても、物語を語ることが重要だ」と言い聞かせています。自分の心に誠実に向き合って、ストーリーを皆さんに伝えることが大切です。

──TCCFには日本のビジネスマンも参加していると思いますし、今後参加したいと思っている人も多くいると思います。今後一緒に仕事をしたい日本のクリエイターはいますか?

コラボしたい日本のクリエイターは多すぎて、言い切れない。小さい頃から日本のコンテンツに触れてきたので、物作りをするうえでそれが自分の養分になっているんです。ここ最近は台湾と日本の共同制作が増えていると感じています。しかもこの2年で一気に数が増えた印象です。日本のクリエイターが台湾に来て、交流する機会も増えています。この前は宮藤官九郎さんと一緒にフォーラムに出席しました。そのときも台湾と日本によるコラボについてたくさん話をしました。

──日本のファンも監督と日本のクリエイターのコラボが実現する日を心待ちにしていると思います。最後にメッセージをお願いします。

「返校」が日本で公開される際には、たくさんの応援の声をいただき、感謝しています。ファンの方がSNSでイラストを投稿してくれたり、とてもうれしかった。今は2本目の監督作「鬼才之道(原題)」のポストプロダクション中です。「返校」とはまったく違ったジャンルの作品で、たくさん幽霊が登場するコメディです。来年台湾で公開予定ですが、日本でも上映することができたら幸いです。日本でお披露目する際には、応援していただければと思います。

プロフィール

ジョン・スー(徐漢強)

1981年生まれ、世新大学卒業。長編映画デビュー作「返校 言葉が消えた日」が、第56回金馬奨で主要12部門にノミネートされ、最優秀新人監督賞を含む最多5部門を受賞した。待機作に長編2作目「鬼才之道(原題)」がある。