ホラーやゾンビをこよなく愛する著名人らにお薦め作品を紹介してもらうリレー連載「今宵も悪夢を」。集まった案内人たちは身の毛もよだつ恐怖、忍び寄るスリル、しびれるほどの刺激がちりばめられたホラー世界へ読者を誘っていく。
第26回は、
文
16歳の僕にとっては電撃が走る程の衝撃だった
2007年にスペインで公開されたホラー映画。この作品のキャッチコピーは「何が起こっても撮り続ける──」。そのフレーズの通り、命懸けでカメラを回し続ける。視点は全てハンディカメラ一台だけ。だから、ドキュメンタリー感覚で観る側を圧倒させる画力と臨場感が終始続く。
最初に僕がこの映画を観たのは16歳の時。今から約14年前になる。ハンディカメラで映画を撮る手法は今では当たり前のように感じるが、当時の僕にとっては電撃が走る程の衝撃だった。「何かヤバイものを観てしまった」。言うなら、道に落ちていたビデオテープを拾って再生したら、アダルトビデオだった時のような。それくらいの衝撃だ。
あらすじを紹介すると、消防士を密着取材するために消防署に来ていたTVレポーター・アンヘラとカメラマン。取材の様子は全てカメラマンのカメラで記録している。消防士のオフの時間に楽しく密着していると、サイレンが鳴り緊急出動。アンヘラ達も同行する中、通報があったアパートに到着する。しかし、そこで遭遇したものは未知の感染症に侵されたゾンビらしき老婆。パニックになる住民達と消防士。それを絶対撮り続けていくアンヘラ達。次第に感染は拡がり、アパートは封鎖されてしまい隔離状態に。ここからパニックホラーの開幕だ。ひとりまたひとりと凶暴化していく中で、アンへラは無事脱出できるのか…。そして、一台のカメラが映し出すものとは…。
冒頭で話したようにRECの魅力は、なんと言っても、ハンディカメラで一部始終を撮影していることだ。その技術の使い方が映画として的確で、観客と作品の距離が近くなる。だから、より恐怖心を与える。そして、起こる全てのことを記録しているので、ずっと緊張感が続く。更には、ハンディの視点もあって、まさにゲームの主人公になったかのように、いつの間にか僕達も当事者として、終盤へと導かれる。観ている僕達もパニック間違いなし。ハンディカメラとホラーは相性がとても良いと感じる作品である。
最後に、この作品を語る上でよく出てくるのが、「登場するクリーチャーは『ゾンビ』なのか」という議題。僕は、種族はゾンビだけど属性が違うだけなのではと考える。例を出すと、ジョージ・A・ロメロのゾンビを、「属性:正統系」にするなら、RECのゾンビは、「属性:悪魔憑依系」になるのではないかと思う。どちらにしても「ゾンビ」に明確な定義が存在しないため、この作品だけではなく毎度議題に上がるものだ。
余談はここまでにして、RECはR15+指定の作品なので少しグロテスクな表現が苦手な方は注意。そして、映像がグラグラ揺れるので、酔いやすい方も注意。それをクリアできる方だけが、このビデオテープを拾ってみてはいかがでしょうか。
磯村勇斗(イソムラハヤト)
1992年9月11日生まれ、静岡県出身。特撮ドラマ「仮面ライダーゴースト」のアラン / 仮面ライダーネクロム役、連続ドラマ小説「ひよっこ」でヒロインの夫となる役を演じ脚光を浴びる。近年の主な出演作に映画「今日から俺は!!劇場版」「ヤクザと家族 The Family」「東京リベンジャーズ」「劇場版 きのう何食べた?」、大河ドラマ「青天を衝け」などがある。劇場アニメ「カメの甲羅はあばら骨」が10月に公開されるほか、Netflixシリーズ「今際の国のアリス」シーズン2が12月よりNetflixで全世界独占配信。最新写真集は11月4日に発売される。
「REC/レック」(2007年製作)
カメラマンとともに消防士の同行取材を行うテレビ局のレポーター・アンヘラ。深夜、アパートの住人から通報を受けた消防士たちに付いて行くと、そこには血まみれで立っている老婆の姿があった。老婆は駆け付けた警官を襲撃。そしてアンヘラたちがいるアパートは、警察によって外から封鎖されてしまう。
監督は
※「REC/レック」はU-NEXTにて見放題で配信中
※「REC/レック」はR15+指定作品
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Sayuri @88SPhHh6sehJY7Z
@eiga_natalie @hayato_isomura 怖いの嫌い!
勇斗は好きなんだよね〜
トイレ一緒に行ってくれたら観てもイイよ♡