永野護初の大型展覧会「ファイブスター物語」初期稿や、「ガンダムZZ」未登場MSも

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永野護にスポットを当てた初の大型展覧会「DESIGNS 永野護デザイン展」が、明日2月10日から3月24日にかけて埼玉・ところざわサクラタウン内のEJアニメミュージアムで開催される。その内覧会が本日2月9日に行われた。

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「ファイブスター物語」のエリア。 (c)EDIT

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「ファイブスター物語」のエリア。 (c)EDIT

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1983年よりTVアニメのデザイナーとして活動を初めた永野。「DESIGNS 永野護デザイン展」では、革新的なデザインを送り出し続ける永野の商業デビュー前の作品から、「重戦機エルガイム」「機動戦士Ζガンダム」や代表作「ファイブスター物語」まで、原画や設定画など約380点が展示される。

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、デビュー前の作品。一番左が「デス・アンカー」の原画。(c)EDIT

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、デビュー前の作品。一番左が「デス・アンカー」の原画。(c)EDIT[拡大]

来場者を出迎える、永野の活動をまとめた年表を抜けるとまず目に入るのが、第2回国際SFアート大賞入選作「デス・アンカー」の原画。永野のデビュー前の作品をまとめたエリアには、サンライズに入るきっかけとなるスケッチなども並び、そのどれにも、ヘルメットの材質、細かな設定などを記したメモが大量に書かれている。

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「銀河漂流バイファム」「巨神ゴーグ」「聖戦士ダンバイン」の展示エリア。(c)サンライズ  (c)創通・サンライズ

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「銀河漂流バイファム」「巨神ゴーグ」「聖戦士ダンバイン」の展示エリア。(c)サンライズ (c)創通・サンライズ[拡大]

永野が日本サンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)入社後、最初に担当した作品が「銀河漂流バイファム」。大河原邦男の初期デザイン画に永野がアレンジを加えたアイデア稿には、永野のニックネームである「くりす」の文字も。さらにバザムの原型になったアイデア稿など初期の仕事を知ることができる。さらに永野のミリタリーへの造詣の深さが発揮された「巨神ゴーグ」でのデザインや、企画中止となった劇場版「聖戦士ダンバイン」の主役機・グルビデンスの原画、オーラ・バトラーの変形シークエンスを解説したスケッチなど永野の多彩さを感じることができる展示が続けざまに登場する。

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「重戦機エルガイム」の展示エリア。 (c)創通・サンライズ

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「重戦機エルガイム」の展示エリア。 (c)創通・サンライズ[拡大]

入社1年目で人物とメカ、双方のデザインを任されるという大抜擢を受けた「重戦機エルガイム」のエリアでは、メカの緻密さとともに、ファッションモデルのようなキャラクター造形を堪能できる展示がずらり。改稿を重ね、エルガイムMk-IIが完成していく様子や、細部まで書き込まれたムーバブル・フレームのデザイン、小さな文字でびっしりと書かれたメモは必見だ。アニメ誌のために描かれた美麗なカラーイラストでは、PARCOでセールスプロモーションのバイトをしていたという永野が手がけたファッショナブルなキャラクターの衣装にも目が行く。

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の展示エリア。 (c)創通・サンライズ

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の展示エリア。 (c)創通・サンライズ[拡大]

続いて登場するのは「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」での仕事をまとめたエリアだ。リック・ディアス、キュベレイなどのデザインで知られる永野だが、「機動戦士ガンダムZZ」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」ではメインのメカニックデザイナーとして起用されるも、モビルスーツやメカのラフスケッチを残し降板となった。ここでは、そんな未登場のモビルスーツデザインも展示。劇中に登場しなかったモビルスーツは後に、「ファイブスター物語」のモーターヘッドに影響を与えた。

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の展示エリア。 (c)創通・サンライズ

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の展示エリア。 (c)創通・サンライズ[拡大]

後に百式となる「機動戦士Zガンダム」主役機のラフや、小説「機動戦士Zガンダム」のために描かれた“永野版Zガンダム”、トランサーα」の名前が付けられたZZガンダムの初期案など、永野のテイストがより色濃く出た、視聴者の目に届く前のデザインの展示も満載。また富野由悠季監督の意図を汲んだサズ、女性型モビルスーツ・ハチカといった未登場の機体、サイコ・ドーガ、ナイチンゲールといった名前は同じだが異なるデザインの機体の姿も確認できる。

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「フール・フォー・ザ・シティ」の展示エリア。(c)EDIT

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「フール・フォー・ザ・シティ」の展示エリア。(c)EDIT[拡大]

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「ブレンパワード」の展示エリア。裏面のパネルにも展示は続く。(c)サンライズ

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「ブレンパワード」の展示エリア。裏面のパネルにも展示は続く。(c)サンライズ[拡大]

久々に富野監督とタッグを組んだ1998年放送の「ブレンパワード」の意欲的なデザイン群や、ミリタリー、ロックなど永野が影響を受けたカルチャーが多分に盛り込まれた、永野のマンガ第1作「フール・フォー・ザ・シティ」のイラストも登場。幾原邦彦がストーリー、永野がキャラクター&メカニックデザインを務めた小説「シェルブリット」のエリアでは、劇場アニメ作品として企画が進行していた「燃えるキリン」の未発表デザイン画も初公開されている。さらに対戦格闘ゲームに入れ込んでいた永野が、仕事として携わった「鉄拳」シリーズのコスチュームイラスト、2006年刊行の「CLAMPニュータイプ」に寄せたCLAMP「×××HOLiC」に登場する壱原侑子のイラストなど、アニメ以外の仕事もまとめられた。

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「ファイブスター物語」の展示エリア。(c)EDIT

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「ファイブスター物語」の展示エリア。(c)EDIT[拡大]

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「ファイブスター物語」の展示エリア。(c)EDIT

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「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「ファイブスター物語」の展示エリア。(c)EDIT

「DESIGNS 永野護デザイン展」より、「ファイブスター物語」の展示エリア。(c)EDIT[拡大]

展覧会の中で最もスペースが割かれたのは、代表作である「ファイブスター物語」のエリア。単行本カバー原画17点が一挙に展示された入口付近を抜けると、壁一面に額装された美麗なカラー原画がズラッと並ぶ。キャラクター、モーターヘッド&ゴティックメードとエリアが分かれており、鉛筆で描かれたというL.E.D.ミラージュの原画では、永野の力強いタッチを間近に確認できる。またガレージキットやプラモデルなど立体物も多数登場。壁面に大きく描かれた「ファイブスター物語」の最新デザインも楽しめる。

なお期間中には「花の詩女 ゴティックメード」と「ファイブスター物語」の上映会も開催。明日2月10日には、永野、川村万梨阿、KADOKAWAの井上伸一郎が登壇する「花の詩女 ゴティックメード」のトークショー付き上映会も予定されている。

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「DESIGNS 永野護デザイン展」

期間:2024年2月10日(土)~3月24日(日)※第1、3、5火曜日休館
会場:埼玉県 ところざわサクラタウン内EJアニメミュージアム
料金:前売券2000円、当日券2300円

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