日本のマンガやアニメを扱った展覧会「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」が、東京・国立新美術館にて7月8日から9月22日まで開催される。開催にあたり、去る2月26日に記者発表会が行われた。
文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会、国立新美術館が主催する「MANGA都市TOKYO」は、2018年冬にフランス・パリのラ・ヴィレットにて開催された「MANGA⇔TOKYO」展の凱旋展示として行われるもの。全93タイトルから500点以上におよぶ資料を横断的に展示し、マンガやアニメといったポップカルチャー作品と都市“東京”との関係を、大きく3つのセクションに分けて辿っていく。展覧会のマスコットキャラクターであるヴィッピーとヨリコは、「MANGA⇔TOKYO」展の開催時に制作されたもの。キャラクターデザインとイラストは
「MANGA都市TOKYO」というテーマの出発点について、発表会に登壇した森川氏は「パリで大規模なポップカルチャーの展示を行うことになり、巨大な会場をどう使うかを考えたときに、巨大な模型を中央に置いて、その模型の範囲を舞台にした作品群を取り巻くように展示するというアイデアが浮かんだ」と語る。そして「日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮は、世界的に見たときに、具体的な場所を舞台やモデルにした作品が非常に多いのが特徴。それも単に特定の場所を模して背景が描かれているということにとどまらない、相互の影響関係が見てとれる。それを展示にしたいと考えました」と続けた。
その巨大な模型というのが、イントロダクションとして設置される1/1000スケールの巨大な東京都市部の模型。幅約17m、長さ約22mにおよぶ模型では、山手線が収まる程度の都市部が再現されるという。また模型の付近にはスクリーンを併設し、「秒速5センチメートル」「残響のテロル」「ラブライブ!」「STEINS;GATE」などの作品から、実在の東京の各所が登場するシーンを動画で紹介。模型が表す現実の都市と、フィクションの中の都市を重ね合わせるように鑑賞できる。森川氏は「現在の東京の都市風景は戦後に作り上げられたもので、とりわけ繁華街は10年前とは姿がまったく異なっていることも多い。そうなると、マンガやアニメに描かれたその時々の東京の風景が、物理的な都市風景より長生きする可能性がある」と話し、現実とフィクションのハイブリッドによって形成される都市風景のイメージを表現したい、と意図を語った。
展覧会を構成する3つのセクションのうち、セクション1では「破壊と復興の反復」と題し、東京の大規模な破壊や、破壊からの復興を描いた作品として、
そしてセクション3「キャラクターvs.都市」では、ここまでとは逆に、初音ミクとNewDaysのコラボ、お台場の実物大ユニコーンガンダム立像といった、現実の都市に現れたキャラクターたちに目を向け、インスタレーションでその様子を再現する。なおセクション3はセクション1の向かいに配置され、虚構の東京の中をゴジラが侵食している様子に対して、現実の東京が虚構の世界に侵食されているさまが対比できるよう構成される。
パリでの「MANGA⇔TOKYO」展の開催時から、東京での巡回を想定していたという本展。国立新美術館主任研究員の真住貴子氏は、会期が東京オリンピック・パラリンピックの開催時期と重なることについて、「海外からいらした方にもお見せできる機会を作れたことはうれしく、身の引き締まる思いもある」と語る。「MANGA⇔TOKYO」展の現地での反響については「いわゆるオタク的な方だけではなく、『なんで若者がこんなに日本のマンガに熱中しているのか、理由が知りたい』という方もかなりいらしていました」と振り返り、「通常マンガやアニメの展覧会では、作品のハイライトになるようなシーンを展示することが多いですが、本展では“都市・東京”をテーマにすることで、こうした分野にさほど興味がない人にも楽しんでいただける内容にしております」と解説した。また国立新美術館の逢坂恵理子館長からは、「虚構と現実のハイブリッドな体験を、今回の展覧会を通して実感してもらうことができれば幸いです」と挨拶が述べられた。
「MANGA都市TOKYO」の前売券は7月7日まで展覧会Webサイト、チケットぴあにて販売される。展覧会Twitterアカウントも開設され、招待券が当たるTwitterキャンペーンが3月12日まで実施中だ。会期中にはコスプレイベントなども開催予定。なお11月21日から2021年1月17日にかけて、大分・大分県立美術館への巡回が決定している。
※5/26追記:新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」の開催は8月12日~11月3日に変更となりました。最新の情報は公式サイトにてご確認ください。
「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」
会場:国立新美術館 企画展示室2E
会期:2020年7月8日(水)~9月22日(火・祝)10:00~18:00(金・土 10:00~21:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日(ただし7月28日、8月4日、25日、9月1日、22日は開館)
料金:当日 一般1600円、大学生1200円、高校生800円 / 前売・団体 一般1400円、大学生1000円、高校生600円
※中学生以下、障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料
※8月14日(金)~16日(日)は高校生無料観覧日(要学生証)
新海作品PRスタッフ @shinkai_works
マンガ・アニメ・ゲーム・特撮と“東京”の関係を辿る展覧会、国立新美術館で開催 https://t.co/OUjD4NjMbu