GRAPEVINE、10年ぶりの日比谷野音を夏色に染める

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GRAPEVINEが7月18日、日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブを開催した。

この日の天気予報では雨の可能性が高かったが、雨に見舞われることなく無事にライブが終了。バインの野外ライブでは雨が降ったことがないといわれる伝説をまたしても更新した。

この日の天気予報では雨の可能性が高かったが、雨に見舞われることなく無事にライブが終了。バインの野外ライブでは雨が降ったことがないといわれる伝説をまたしても更新した。

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「スイマー」が始まる前には田中がエフェクターを踏み忘れ、「ごめん、1個踏んでなかった!」と自己申告。観客を笑わせた。

「スイマー」が始まる前には田中がエフェクターを踏み忘れ、「ごめん、1個踏んでなかった!」と自己申告。観客を笑わせた。

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壮絶な湿気が立ち込めたものの、ライブ中には時折涼しい風も吹き抜けた。

壮絶な湿気が立ち込めたものの、ライブ中には時折涼しい風も吹き抜けた。

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最新アルバム「TWANGS」リリース直後、この日比谷野音と20日の大阪城音楽堂の2公演にわたって開催された野外ライブ。日比谷野音でのワンマンライブは10年ぶりということもあり、会場は立見席までが埋まる超満員となった。

定刻より約10分押しでステージに現れたメンバーが鳴らし始めたライブの1曲目は、アルバムと同じ「疾走」。満員の会場を見渡しつつ、田中和将(Vo,G)は時折笑顔を浮かべながら歌い上げる。続く「シスター」ではサポートメンバー・金戸覚(B)の力強いベースラインが日比谷の空に響き、「FLY」の軽やかな長めのイントロには観客が心地良さそうな表情を浮かべて聴き入る。

3曲終了したところでMCに入るが、田中の第一声は「うー、暑い……」。この日の日比谷は曇り空で、すさまじい湿気が充満していた。わずか3曲が終わったところで汗びっしょりの田中は「10年ぶりの野音です。来てくれてありがとう。雨も降らずに行けそうなんで、最後まで楽しんでください」と挨拶した。

続くパートはアルバム「TWANGS」の楽曲を中心に構成。サポートメンバー・高野勲(Key)の流麗なピアノの音が印象的な「Afterwards」、ギターロックバンドとしてのさらなる進化をうかがわせるアレンジと、田中と亀井亨(Dr)のコーラスワークで聴かせる「Turd and swine」と、アルバムの魅力をじっくりと伝えてくるような名演が続く。「Pity on the boulevard」では西川弘剛(G)の歪んだギターと田中のアコースティックギターが力強いハーモニーを聴かせ、そこに金戸のベースが歌うように絡みついていく。

「Wants」が始まるころには日比谷の空は徐々に薄暗くなっていき、その中に立つ5人は紫のライティングに照らされる。曲と曲の間の静寂を公園の虫の声が埋め、野音らしい雰囲気を感じることができた。さらに壮大な展開と英語詞でバインの新機軸を打ち出した「Vex」、夕暮れ時のムードにぴったりな「小宇宙」「hiatus」と、「TWANGS」を彩るナンバーが続々と披露される。

ライブ中盤戦、「CORE」がスタートするとステージ上に掲げられた大きなミラーボールが回り始めた。「ここは七色 ここは七色になる」という歌詞のとおり、さまざまな色に染められた光の破片がステージを飾る。そして楽曲の持つ柔らかい浮遊感、夕暮れが夜に変わる瞬間の気温、さまざまな要素がからみあって、夏の夜にぴったりの空気を醸し出していた。

再びMCを始めた田中は、秋に予定されている全国ツアーについて「東京は11月で、ずいぶん先なんで忘れてしまいますね(笑)。近くなったらまた言います」と語る。この日の野音ライブを途中まで見終えたファンにとっては、全国ツアーがまた一段と楽しみになったことだろう。そして「慣れてない方は座っていただいて結構ですよ、せっかく椅子があるんだから」と観客を気遣いつつ、いよいよ終盤戦に突入した。

「超える」「ポリゴンのクライスト」を経て、「アンチ・ハレルヤ」に入ると場内の空気は一変。軽やかな楽曲のリズムをオーディエンスが楽しむ中、田中は歌詞を「憧れてた日比谷」と変えて歌い、喝采を浴びていた。その直後の「NOS」ではそれぞれの音色が作り上げる複雑なハーモニーと、コミカルな歌詞をギャップが新たな雰囲気を生む。続く「エレウテリア」は、柔らかくも切なげなメロディが日比谷の夜空に響き渡り、再び会場を混沌としたムードで包みこんでいった。

本編ラストを飾ったナンバーは「アナザーワールド」。バインの楽曲の中でも最もリスナーの心を打つ哀切な楽曲で、どことなく物悲しさを漂わせる中にライブ本編が終了した。

アンコールの声に応えて再びステージに5人が登場。田中が「じゃ、懐かシングルを」と言って始まったのは「風待ち」。夏が始まったばかりの野音という絶好のロケーションで聴くこの曲は、オーディエンスに何にも代えがたい贅沢な気分を味わわせる。続く「スイマー」でも夏を意識させた後、「じゃ、ほんまにラスト!」という言葉の後に「ナツノヒカリ」が始まった。場内の照明がすべて点灯される中に響く「ナツノヒカリ」は、原曲よりもヘヴィさを増したギターが印象的なアレンジ。晴れ渡ってはいない、湿気の充満したこの日の空気にある意味ぴったりな1曲で、10年ぶりの野音ライブが締めくくられた。

田中は去り際に「どうもありがとう、よい夏をお過ごしください」と挨拶。バインらしいスタイルで夏の始まりを告げる、ファンにとっては忘れられないステージとなった。

GRAPEVINE 2 SUMMER SHOWS
2009年7月18日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト

01.疾走
02.シスター
03.FLY
04.Afterwards
05.Turd and swine
06.GRAVEYARD
07.Pity on the boulevard
08.Wants
09.Vex
10.小宇宙
11.hiatus
12.CORE
13.超える
14.ポリゴンのクライスト
15.アンチ・ハレルヤ
16.NOS
17.エレウテリア
18.アナザーワールド
EN01.風待ち
EN02.スイマー
EN03.ナツノヒカリ

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読者の反応

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えびま @ebimaf

この日以来のGRAPEVINE
むちゃくちゃ滾ってる

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