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jean「DOPE CAT」ジャケ写

jean DOPE CAT

マイケル・ジャクソンをルーツに持つ2人が放つ、愛らしくミステリアスな“猫ソング”

文 / 天野史彬

2023年にJEANとSota Nakamuraという2人のミュージシャンによって結成されたユニット、jean。JEANは幼少期の頃よりマイケル・ジャクソンに影響を受け、ダンスの世界へ。ケント・モリにもその才能を見出され、また、韓国の大手芸能事務所で武者修行をしていた時期もあるという。一方、幼少期からピアノを弾いていたSotaもまた小学生の頃にマイケル・ジャクソンの存在に大きな衝撃を受け、10代でギターを弾き始める。The Beatlesやジミ・ヘンドリックスといった伝説のロックアーティストたちに影響を受けながらギターの腕を磨き、その後DTMにも手を伸ばすと、バンド活動やアーティストのレコーディングに参加するようになった。そんな2人が、ある日クラブで運命的な出会いを果たし、jeanの物語は始まった。

マイケル・ジャクソンという共通の守護神を持ちながらも、まったく違うアーティスト人生を歩んできた2人が組み合わさったときに生まれる音楽は、R&Bやヒップホップ、ロックやビートミュージックを消化した、雑食的で、自由で、ユニークなものだ。曲によっては歌詞に日本語と英語と韓国語が混ざり合っていたり、コラボレーションにも多くの日本国外のアーティストたちが参加していたりと、とにかく越境的。そんなjeanの1stフルアルバム「We, A Fool and Wise.」からのリードトラックが、ここに紹介する「DOPE CAT」だ。JEANの飼い猫から着想を得て制作されたという1曲で、軽妙に跳ねるビートやカッティングギターが生み出すチャーミングさと、深いベース音やエレガントなウワモノが醸し出す色気、そしてささやくようなボーカルが、目の前にいる神秘的な存在(つまり、猫)にそっと語りかけるように響く。なんか聞いてもなんも教えてくれないし、「こっちおいで」と言ってもどっかに行っちゃったり、かと思えばすり寄ってきたり……そんな“意味”を超えて存在そのものでこちらを魅了してやまない猫の愛らしさとミステリアスさを曲全体が醸し出している。起承転結ではなく、ゴロゴロしてスンと煙に巻くように消えていく。そんな“構成”も猫っぽい。

jean「DOPE CAT」
2025年5月21日(水)配信開始 / NihyakuWIND
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作詞・作曲:JEAN and Sota Nakamura
プロデュース:Sota Nakamura
コライト:Jyodan

jean(ジーン)

jean

JEANとSota Nakamuraによって2023年に結成されたオルタナティブユニット。メンバーはともにマイケル・ジャクソンを音楽的なルーツに持ち、テクノ、ハウス、ダブ、ロック、ソウル、ヒップホップ、エレクトロなど多彩なジャンルを取り入れた独自の音楽を追求している。2025年5月に1stアルバム「We, A Fool and Wise.」をリリース。6月13日に東京・TOKIO TOKYOでShu(ego apartment)とのツーマンライブを行う。