日向坂46「Love yourself!」インタビュー 松田好花×森本茉莉|新体制で一歩踏み出し、虹の向こうへ

2025年春。日向坂46から佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈がグループを卒業した。この3名の卒業により、活動開始時のメンバーである一期生が全員グループを巣立った形となり、時を同じくして新たに五期生メンバー10名が加入。少しずつ変化を重ねてきた日向坂46の歴史が、ここにきて大きく動いた印象がある。

そんな日向坂46の新たな一歩としてリリースされるのが、通算14枚目のシングル「Love yourself!」だ。日向坂46は昨年5月発売の11thシングル「君はハニーデュー」よりシングル表題曲においてメンバー選抜制度を導入していたが、今作の表題曲およびカップリングの3曲は現在在籍する二期生、三期生、四期生の全メンバーが参加。シングルにはそのほか、五期生メンバーによる初めてのオリジナル楽曲と、3つのユニットによる新曲が収録される。

この大きな変化のタイミングで発表される新作について、音楽ナタリーは二期生の松田好花、三期生の森本茉莉にインタビュー。現在の日向坂46について、新曲について、そして5月末に開催される現体制での初ライブ、その名も「BRAND NEW LIVE 2025『OVER THE RAINBOW』」について、2人の胸の内を語ってもらった。

取材・文 / 臼杵成晃撮影 / YOSHIHITO KOBA

私たち、自然姉妹(ネイチャーズ)です

──森本さんは音楽ナタリー初登場で、松田さんは「僕なんか」リリース時に富田鈴花さんとの“花ちゃんズ”コンビでインタビューに答えてもらいました(参照:日向坂46「僕なんか」富田鈴花×松田好花インタビュー)。松田さんと森本さんだと……どんな関係性ですか?

松田好花 私たち、なんだっけ? ネイチャーズ?

森本茉莉 そうです、そうです。

松田 自然姉妹?

森本 自然姉妹かネイチャーズか……。

松田 ただ、ちゃんと正式におひさま(日向坂46ファンの呼称)の前でも言ってないような、言ったとしても1回か2回くらいで。

──非公式コンビ(笑)。いっそこの発言をもって正式なコンビとして認定してもらう方向で。

松田 あー、そうですね。

──「自然姉妹」と書いてネイチャーズと読む?

森本 めっちゃいいですね!

松田 それがいいです。自然姉妹(ネイチャーズ)でいきましょう。

松田好花

松田好花

──一応事前に2人の関係で何かなかったかと思い調べてみたらプライベートでの話題が多く、2年前のクリスマスに一緒にイルミネーション鑑賞をしている松田さんのインスタ投稿が出てきました。

森本 ありましたねー。松田さんはプライベートでよくごはんに連れて行ってくださったり、あとはお家にお泊まりもしました。たくさん先輩がいらっしゃる中で、私にとっては特にお話する機会が多い先輩です。

──であればお互いによいところも悪いところも知り尽くしていると思いますので、それぞれのここは直してほしいと思うところを教えてください。

森本 えー! なんだろう。あの……普段はすごくお姉さんみたいな感じで「しっかり者」というイメージが強いですよね。でも夜遅くになってくると、どんどんテンションが高くなって、本当にあまり面白くない親父ギャグを言ったりするんですよ(笑)。

松田 アハハハハハ! ヤバいじゃん私。

森本 私はそれが好きなところでもあるんですけど。

──ダメなところでもあると。

森本 面白いなと思ってますよ。

──松田さんから見た森本さんはどんな印象ですか?

松田 まりぃも同じかなあ(笑)。普段の活動はすごく真面目に真剣に取り組んでるけど、プライベートとかで会うと、けっこうネジが飛んでたりする部分ある。前に一緒に銭湯に行ったとき、メイクを落とすクレンジングジェルをまりぃに貸したんですよ。そしたら、米粒1つ分くらいしか出さなくて、それをずーっとゆっくり顔に塗り込んでて。

森本 (笑)。

松田 先輩の私物だから遠慮してるのかなと思って「いや、もっと使っていいんだよ」って言ったんです。でも「いや、私はこれがいいんです」って、米粒1つ分をもうずーっと(笑)。私はもうとっくに洗い切ってたけど、お風呂に浸かるときは一緒のタイミングで入るものなのかなと思ってたから、しばらくその様子を見ながら待ってたんですよ。でもこれ埒があかないなと思ったから「ちょっと私、先に入ってるわ」ってお風呂に行って、けっこうお湯を楽しんで戻ってきたら、まだやってるんですよ!(笑)

──なんですかそのエピソード(笑)。

松田 ホントに。それは直したほうがいいと思います(笑)。

一期生全員卒業、2代目キャプテン誕生

──日向坂46は昨年から初の選抜制導入や一期生メンバーの卒業などが続いていて、ここ最近のインタビューでは毎回のように「変化のタイミング」という話になっていたんですけど、この春には一期生が全員卒業し、新たに五期生も加入して、グループとして完全に生まれ変わった感じがあります。

森本 そうですよねー。確かに。

──松田さんが属する二期生がグループの年長になり、その中でも松田さんはちょうど26歳の誕生日を迎えられて(取材は4月下旬に実施)、実質的に長女のポジションですよね。そういう実感はありますか?

松田 一期生さんが全員卒業することが決まったときから「ああ、これからは二期生が一番上になるんだな」と少しずつ意識していた部分はあって。そこで自分はどうなりたいか?と思ったときに、年齢的にもそうだし、ちゃんとお姉さんになりたいなと考えるようになりました。

──頼もしいですね。

松田 これまでは「一期生さんにしっかりついていくぞ!」みたいな感じで、グループをサポートできたらくらいの気持ちだったんですけど、もっと先頭に立って引っ張っていける人になりたいという意識に変わって。今回のシングルがその第一歩なので、ここからの活動でもっと実感していくのかなと思います。

──そんな中、佐々木久美さんに代わる2代目キャプテンとして、二期生ではなく三期生の髙橋未来虹さんが抜擢されました。森本さんにとっては同期のメンバーですけど、髙橋さんがキャプテンに選ばれたことについてどう感じていますか?

森本 久美さんが卒業されるということで、次は誰がキャプテンになるんだろうと考えたとき、私たちもなんとなく髙橋になるんじゃないかなって気持ちが実はあったので、驚きというものはそんなになかったですね。選抜制になって最初のひらがなひなた(ひなた坂46。シングル選抜メンバー以外のメンバーで構成される)のライブのときに髙橋が座長を務めたんですけど、彼女がその場にいるだけで空気が締まるというか。何か注意したり指導したりというわけじゃないんですけど、髙橋の一生懸命な姿を見て、後輩はもちろん、一期生の先輩方も髙橋を信頼している空気がありました。だからすごく納得です。久美さんのキャプテン像とはまた違った形にはなると思うんですけど、それもすごく楽しみです。

森本茉莉

森本茉莉

──なるほど。森本さんにはできない?

森本 ちょっと私はできないですねー。

松田 そうかなあ。すごく頼もしいけどな。

森本 ホントですか? 初めて言われました。

松田 ホントホント。

──髙橋さんは昨年末から副キャプテンを務めていたこともありますし、なんとなく自然な流れという感じもありますね。二期生メンバーも髙橋キャプテンには納得?

松田 はい。髙橋は後輩ではあるんですけど、日々の活動を見ていても、こちらが鼓舞される瞬間とか、尊敬できるところがたくさんあって「この人についていきたい」って思える。でも、これをあまりプレッシャーに感じてほしくないなと思っていて。

──確かに、先輩もいる中でキャプテンの立場として歴史のあるグループを牽引していくことには大きなプレッシャーがあるでしょうね。でも、そんなときこそ長女の出番ですね。

松田 そうですね。私がもう、こうやって(抱き抱える仕草)。困ったときはいつでも支えます!

日向坂46の新たなスタート、優しい自己肯定ソング「Love yourself!」

──ニューシングル「Love yourself!」からは五期生の10名も合流します。「日向坂で会いましょう」(毎週日曜深夜にテレビ東京で放送されている日向坂46のレギュラー番組)でも10名が紹介されましたが、お二人から見て五期生はどんな印象ですか?

松田 最初に顔を合わせたときは……四期生のときも「わ、すごい若い子たちだ!」という感じはあったんですけど、より自分とは遠い存在に感じたというか、これから一緒にやっていく子たちだという現実味がなくて。一緒に歌って踊る姿が想像できなかったんです。でも、いざ活動が始まって、一緒に番組収録とかをしているうちに仲間だという意識が芽生えてきました。ただ、まだ全員と個人個人でお話ししたわけじゃないし、私たちもおひさまのみんなと同じようにリレーブログを見て情報を得てるんですよ(笑)。

森本 「ひな誕祭」(4月5、6日に神奈川・横浜スタジアムで行われたワンマンライブ「6回目のひな誕祭」)が五期生のお披露目の場だったんですけど、心が動くような自己紹介で、私は本当に感動しちゃって。初めてのステージでちゃんと自分を出せていてすごいなと思いました。

──ニューシングルは表題曲を二期生、三期生、四期生の全員で歌い、五期生はカップリング曲で初めての歌唱に挑戦していて、まさに新たなスタート、第2章の始まりという雰囲気があります。表題曲「Love yourself!」はイントロから日向坂46の王道を感じる楽曲ですね。

森本 そうですね。最初に聴いたとき、私は加入前から大好きだった「青春の馬」(2020年2月発売の4thシングル「ソンナコトナイヨ」カップリング曲)を初めて聴いたときと近い感覚がありました。聴いている人を鼓舞する曲を歌っている日向坂46が私は大好きで、そういうおひさまとして感じていた気持ちを、今はメンバーとして届けられることがうれしくて。

左から松田好花、森本茉莉。

左から松田好花、森本茉莉。

──確かに「Love yourself!」は日向坂46が「青春の馬」などで歌ってきた、自己肯定感を後押ししてくれるような強さがある楽曲で、そんな日向坂46の王道の最新形という感じがします。

森本 はい。先輩方から吸収したものを、日向坂46を待ってくださっている方に全力で届けたい。そんな気持ちになる曲です。

松田 確かにね。「青春の馬」はどストレートに「絶対諦めるな!」「Never give up!」と伝えるような曲でしたけど、「Love yourself!」はもう少しこう、寄り添ってあげるというか、ハグするような応援の仕方で。それがすごく今の日向坂46の状況とか、おひさまの心情……いろんなメンバーが卒業していって、ちょっと寂しいなという思いはどうしたってあると思うんです。それでも日向坂46を応援してくださっているおひさまのみんなと、前進していくぞ!と歌っているような、すごく沁みる曲ですね。自分たち自身を大切に愛せばいいんだって思わせてくれる。それを私たちが届けて伝えることももちろんなんですけど、歌うことで自分たち自身のことも肯定できるような気持ちになります。このタイミングで、こういう優しい曲をいただけたことが本当にうれしいです。