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ジェマ・ルイーズ never don't stop
“黒船天使”が念願の歌手デビュー、J-POPとブリットポップの美点が溶け合う“和英折衷”の極み
文 / 田口俊輔
国と国との物理的な距離がネットの登場により取り払われてから幾星霜。日本で独自に醸成された文化も、今や世界中で数知れない影響を与え続けている。“黒船天使”の愛称で親しまれ、SNSの総フォロワー数100万人超を誇るジェマ・ルイーズも日本文化に影響を強く受けた1人だ。イギリスで生まれ育った彼女は、幼少期から大塚愛をはじめとするJ-POPやコスプレ、ゲームなどに慣れ親しんでいたという。日本文化への興味は深まり続け、17歳の頃に単身訪日を決意。来日後はYouTuber、コスプレイヤー、グラビアと多岐にわたる活動を通じ、祖国で吸収した日本文化への愛を憧れの地で存分に形にしている。
そんな彼女が常々「絶対に叶えたい」と口にしてきた夢が「歌手デビュー」。その夢がシングル「never don't stop」でついに叶った。掲げられたテーマは「J-POPとブリットポップの融合」。イギリスと日本の文化をDNAに刻んできたジェマにとって、このテーマはまさにおあつらえ向きだ。
曲を再生して間もなく飛び込んでくるのは、歪みとクリーンが行き交うギターの軽やかな音色と、骨太で直線的なベースの絡み合い、そして簡潔ながら軽快でキャッチーなメロディライン。思わず、Suede「Beautiful Ones」、Pulp「Like A Friend」、Catatonia「Road Rage」……と、1990年代を彩った名曲の数々が脳裏に浮かぶ。どこを切っても純正の90年代英国サウンドだ。それを最大限生かすように施された、跳ね上がるビートを全面に押し出す空間的な現代J-POPマナーのアレンジ。J-POPとブリットポップ双方の美点が調和し、美しく溶け合う。この見事さ、思わず“和英折衷”の極みと、ひとりごちたほど。
ジェマの歌声も素晴らしい。憂いと愛らしさの双方を心地よく混ぜ合わせた柔らかな高音で、「もう あなたはここにいないのに」「一方通行の恋だったよね」という片思いの切なさをつづった歌詞を、ガーリーかつ華々しく染め上げていく。歌の中の主人公は、どれだけ強く思っても最後は恋に破れてしまう。しかし、今作を通じジェマに出会い恋する人はあとを絶たないだろう。これからも“決して止まらない”彼女の夢の続きが早くも待ち遠しい。
ジェマ・ルイーズ「never don`t stop」OFFICIAL MV
- ジェマ・ルイーズ「never don't stop(CD)」
- 2025年5月21日(水)発売
/ UKMIX
[CD] 税込1892円 / UMXCD- 0001
- ジェマ・ルイーズ「never don't stop(CD+DVD)」
- 2025年5月21日(水)発売
/ UKMIX
[CD+DVD] 税込3135円 / UMXCVD-0001
- ジェマ・ルイーズ「never don't stop(カセットテープ)」
- 2025年5月21日(水)発売
/ UKMIX
[カセットテープ] 税込3630円 / UMXTP-0001
ジェマ・ルイーズ

イギリス出身、日本在住。アイドル、コスプレイヤー、モデル、YouTuber 、TikTokerなどマルチに活躍し、愛くるしいルックスから「黒船天使」の異名を持つ。2025年5月にデビューシングル「never don't stop」をリリースした。
ジェマ・ルイーズ Gemma Louise (@gemmalouisejpn) | X
ジェマ・ルイーズ Gemma Louise (@gemmatokyo) | Instagram