この日は、木村演じる万次が、杉咲花演じる凜を守りながら300人の剣士に立ち向かう大規模なシーンが撮影された。京都・太秦近郊の約2500平方メートルの地に、およそ1カ月かけて作られたというオープンセットの辺り一面には、激しい戦の跡を想起させる傷や血痕が。敷地が広大なだけに、撮影現場には拡声器を通した三池の声が響きわたっていた。
初の三池組参加にあたり、木村は「作品から伝わってくる勝手なイメージで、監督は口が悪く、レザーのジャケットにちょっとゴツい指輪をはめて、グラサンして、下手したらくわえタバコでいらっしゃるのかなと思っていたら……真逆の人でした」と笑い、実際の三池本人のことを「ものすごく繊細」だと表現する。そして「緊張感あふれる現場って素敵だとは思うんですけど、それだけだとパンクしちゃう。そういうときに監督の繊細な部分が出るんだと思うんですけど、わざとガス抜きをするような冗談やツッコミを現場に放ったりしてくれます」と現場での様子を明かした。
両親を殺した者たちへ復讐するため、万次に用心棒を頼む凜に扮した杉咲は、撮影当時18歳。「(クランクイン前は)原作を読んで、大事にしたいと思った凜の表情をよく見たり、紙にコピーしたりしました。不安に思うことはたくさんありましたが、それが一番邪魔になると思ってなくそうとしました。あとは現場で感じたことをそのまま出せたら」と、残りの撮影に向け意気込んだ。木村や三池本人を前に、「ヒロインだからとか、誰かの相手役だからとか、三池監督だからとか、そういうことに対しての緊張や不安はありません」とキッパリ言い放つ一面も。「凜の背負う過去をどうやって自分の中で大事にできるか、そこが一番の不安。凜の目的はそれがすべてなので。だから万次さんと初めて出会うシーンからずっと、万次さんを信じることを大事にしてきました」と言葉に力を込める。
また隻眼の万次を演じるため、木村は特殊メイクで片目をふさいで撮影に挑んだ。三池いわく「目を開けても大丈夫なカットがあるようにした」とのことだが、「実際に立ち回りで動くと、人間だから目が開いてしまう。だから(特殊メイクで)つぶしておきたい」という思いから、木村は朝から晩まで片目のみの視界で過ごすことに。さらに身を切るような寒さの中、カットがかかっても上着を羽織りもせず、着物と裸足に草履という格好を貫く木村。これについて本人は「万次としても木村拓哉としても、自分が撮影現場に居られる条件」だと説明し、「凜が自分を頼ってくれたことによって、万次は初めて前向きになっていく。“死ねない”のではなく、凜と出会ったことによって生きる目的を確実に得ているし、凜のために必死になるんです。“必死”という言葉が当てはまらないやつですが(笑)」と、演じながら感じている万次の心境の変化に言及した。
「無限の住人」は4月29日より全国ロードショー。
※山崎努の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
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てれびのスキマ/戸部田 誠 @u5u
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