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「攻殻機動隊」イベントに神山健治と冲方丁が登壇、タチコマ量産化計画も始動

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「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT the AWARD」の様子。

「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT the AWARD」の様子。

本日2月11日、「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT the AWARD」と題された複合イベントが東京・渋谷ヒカリエにて行われた。

これは士郎正宗のマンガをもとにした「攻殻機動隊」シリーズに描かれているテクノロジーの実現を目指す攻殻機動隊 REALIZE PROJECTが主催するもの。イベントではシンポジウムも開かれ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズで脚本、監督を担当した神山健治、「攻殻機動隊 ARISE」でシリーズ構成、「攻殻機動隊 新劇場版」で脚本を手がけた冲方丁、東京大学大学院の稲見昌彦教授らが登壇した。

“義体”、“電脳”、“ネットワークセキュリティ”というシリーズのファンにはなじみ深い3つのテーマが設け行われた同シンポジウム。義体によって構成されたサイボーグと人工知能によるアンドロイドの描き分けが難しかったと語る神山は「主人公であるの草薙素子だと、瞬きをほとんどさせないことでサイボーグらしさを出すなどして差別化を図っていました」と当時を振り返る。その言葉に対し冲方が「脚本上だと、コミュニケーション能力のあるロボット、例えばタチコマやロジコマがすごくめんどくさかった。ロボットのはずなのに人間扱いをしなくてはいけなくて」と冗談混じりに愚痴ると、「一番嘘な部分ですからね。はい」と神山も深く同意する。

実社会のテクノロジーの進歩に触れることで「人の形をしていないということに価値を見出すようになってきた」と述べる神山。タチコマの存在がそれを後押ししたことに触れながら「道徳観から人間にそっくりな形のほうがいいんじゃないかと思っていた。でも、そういうヒューマニズムに立脚点を置かなくてもよくなってしまう時代がもう来ているのか」と言葉を続ける。「すごく興味深い」と神山の言葉に反応した冲方は、「テクノロジーが倫理を追い越してしまうか否か、パラリンピックの方がオリンピックより記録がよくなってしまったら人はどうするのか」と既存の枠組みに疑問を投げかけていく。

「身体の拡張と心の変容」「外部記憶装置が発達した時代における教育の意義」「ロボットを法人化することにより人権とは異なる権利を与える」などさまざまな議論が交わされた同シンポジウム。教授陣の発言を興味深そうに聞いていた冲方は抱負を聞かれると「本シリーズのようにただ(技術の)先読みをするのでなく、そこにある人間のドラマを含めての未来社会をこれからも提示していきたい。それはディストピアでもユートピアでもなく、現実の中で人間が当然のように感じるものごとを届けていきたい」と宣言した。

またイベントでは攻殻機動隊 REALIZE PROJECTの新たなプロジェクト「タチコマ リアライズ」も発表。家電会社Cerevoによる走り、しゃべるタチコマの量産販売、karakuri productsと海内工業による1/2サイズのタチコマの制作が公表された。1/2サイズのタチコマのプロトタイプも披露され、ゲストとして登壇した神山は興味津々の様子を見せ、開発者に質問を投げかけていた。

なおイベントでは「攻殻×ハッカソン」「攻殻×コンテスト」と題された公募企画を勝ち抜いた10チームの展示が行われ、審査員と一般投票によりそれぞれ最優秀チームが決定。「攻殻×ハッカソン」部門では人工筋肉を用いた生体防御スーツを制作したShift、「攻殻×コンテスト」部門では臓器の機能ユニットとなるようなマイクロ臓器の創出技術の研究を発表した横浜市立大学 小島伸彦研究所が選定された。

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