Noism「円環」を井関佐和子×山田勇気×宮河愛一郎×中川賢が語る / 近藤良平と金森穣に聞くトリプルビルの魅力 (3/3)

トリプルビルについて、近藤良平&金森穣に聞く

「円環」は、近藤良平が演出振付を手がけるNoism1新作「にんげんしかく」、金森穣が演出振付を手がける新作、Noism0「Suspended Garden-宙吊りの庭」とレパートリー作品Noism0+Noism1「過ぎゆく時の中で」が上演される。ここでは各作品について、近藤と金森に稽古の手応えや作品のヒントを教えてもらった。

近藤良平

Noism1「にんげんしかく」のリハーサルの様子。

Noism1「にんげんしかく」のリハーサルの様子。

──Noism1「にんげんしかく」の稽古の手応えを教えてください。

身の軽いダンサーとともに行うのは学びが多いです。すぐに振付を覚えてもらえます(笑)。そして練習を止めない。踊り続ける。そんな環境で、ダンボールとお話ししながら創っています。何が出来上がるかまだわからない面白さがあります!

──Noism1のメンバーに、どんな印象をお持ちですか?

2005年のときもでしたが、やはり毎日の踊りとの向き合い方がよいです。新潟の冬は厳しいけれど、めげずに戦っている。いい奴らです。昔は、自分もあれくらい動けたのかなあ⁉(笑)

──今回のトリプルビルは、全体としてどんな公演になりそうですか? 観客の方々にどんな点を楽しんでほしいか、舞台を観るヒントになるような一言をお願いします。

僕が創るダンボールの世界は、ちょっとした近未来の星!? 今までとは違う色の作品だと思います。トリプルビルの良さは、幅を見付けられること。きっと、いろんな気分になってゴキゲンに劇場をあとにできるかと思います。

プロフィール

近藤良平(コンドウリョウヘイ)

振付家・ダンサー。1996年にダンスカンパニー・コンドルズを旗揚げし、構成・振付・演出を手がける。多摩美術大学教授、東京大学、立教大学などでも講師を務める。第4回朝日舞台芸術賞寺山修司賞、第67回芸術選奨文部科学大臣賞、第67回横浜文化賞、第42回ニムラ舞踊賞、第67回埼玉文化賞受賞。2022年より彩の国さいたま芸術劇場芸術監督。

金森穣

金森穣(撮影:篠山紀信)

金森穣(撮影:篠山紀信)

──Noism0「Suspended Garden-宙吊りの庭」の稽古の手応えを教えてください。

この世界で誰よりも私を知る4人の舞踊家達とのクリエーションはとても有意義で、振付は当初予定していたよりも格段と早く仕上がりました。手応えはすでに十分ですが、これからさらに磨きがかかることを考えると、今から上演が楽しみでなりません。円熟の舞踊家の力を、舞踊家として齢を重ねることの尊さを、観客の皆様へ、そして後輩舞踊家達へ、存分に届けることができる作品になると思います。

──Noism0+Noism1「過ぎゆく時の中で」の稽古の手応えを教えてください。

想いを込めて創作した作品が再演されることは、演出振付家にとってとても嬉しいことです。今だから気づける修正点、今だから感じられる情感を取り込んで、作品をアップデートできることに喜びを感じています。そして世代を超えて受け継がれていく舞踊の魂、繰り返し上演される作品をレパートリーとして持つことは、舞踊団にとっても大事なことです。今回は私も出演しますから、Noism1メンバー達との共演も楽しみです。

──今回のトリプルビルは、全体としてどんな公演になりそうですか?

ゲスト振付家である近藤良平さんの作品は、振付語彙も演出方法も私と極めて異なりますから、Noism1メンバーが踊る近藤作品、そして金森作品の両方を観られる貴重な公演になりそうですね。その踊り分けも、メンバーには期待したいですね。そしてそこにNoism0の円熟の舞踊家の実演も加わりますから、この公演はNoismという舞踊団の重層性、舞踊芸術の奥深さを存分に味わっていただける公演になると思います。

プロフィール

金森穣(カナモリジョウ)

演出振付家、舞踊家。Noism Company Niigata 芸術総監督。17歳で単身渡欧、モーリス・ベジャール等に師事。ルードラ在学中から創作を始め、NDT2在籍中に20歳で演出振付家デビュー。2004年4月、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督に就任し、日本初の公共劇場専属舞踊団Noismを立ち上げる。平成19年度芸術選奨文部科学大臣賞、平成20年度新潟日報文化賞、第60回毎日芸術賞ほか受賞歴多数。令和3年紫綬褒章。