スーパー歌舞伎「三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』」が、本日10月8日に福岡・博多座で開幕。これに先駆け、昨日7日にゲネプロが行われた。
スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」は、二世
ゲネプロでは、隼人が小碓命後にヤマトタケル / 大碓命、團子が帝の使者、壱太郎が兄橘姫 / 弟橘姫、米吉がみやず姫を勤めた。物語は、父である帝(
第一幕は、歌舞伎の吹替えの技法で行われる、小碓命と大碓命、兄橘姫と弟橘姫の早替りが見どころ。隼人は、小碓命を演じるときは、大きな瞳を少年のように輝かせ、純粋そのものの立ち居振る舞いをするが、大碓命を演じるときには、気だるげな色気を眼差しに湛え、声色にも艶っぽさを漂わせる。壱太郎は、兄橘姫を毅然とした態度の凛とした女性、弟橘姫を愛らしくも控えめな女性として立ち上げる。小碓命が、ヤマトタケルを名乗るきっかけとなる熊襲征伐のシーンでは、隼人は美女に扮し、妖しげな舞で熊襲兄弟を翻弄。正体を明かしたあとは、激しくも安定感のある殺陣を披露し、小碓命の高い戦闘能力を体現した。
第二幕のクライマックスは、弟橘姫がヤマトタケルのために海に身を投げる走水の場面。荒れ狂う海を収めるには、ヤマトタケルの“最も大切なもの”である弟橘姫を海の神に捧げるよう占い師から助言されるが、ヤマトタケルは拒否する。しかし弟橘姫は覚悟を決めていて……。隼人は、どうしても弟橘姫を失いたくないヤマトタケルの思いを、海の神への激しい罵声や、弟橘姫への熱い抱擁、すがるような眼差しで表現。壱太郎は、常にヤマトタケルへの慈愛を表情に浮かべながら、「どうせあなたの后にはなれない」と厳しい言葉を発する弟橘姫の気丈な献身ぶりで、観客の涙を誘う。
第三幕冒頭の舞台は、尾張の国。蝦夷を平定したヤマトタケルらがやって来ると、尾張の国造(
ラスト、ヤマトタケルが空を飛んでいくシーンでは、羽のついた白い衣裳に身を包んだ隼人が「天翔ける心、それがこの私だ!」という作品を象徴するセリフを発したあと、宙乗りを披露。晴れ晴れとした表情で博多座の客席上空を羽ばたいていった。上演時間は、2回の休憩を含む約4時間10分。公演は10月22日まで。劇場内には、これまでのポスターをまとめたボードや、隼人、團子、壱太郎、米吉と撮影できる等身大パネルが置かれている。またイヤホンガイドでは、いずれも1986年の初演を観劇した、歌舞伎研究者の児玉竜一と古事記や神話の研究者である志水義夫の対談が、幕間に放送される。
なおステージナタリーでは、「ヤマトタケル」の特集を展開中。各地でメインキャストを勤めた隼人、團子、壱太郎、米吉の座談会を実施し、作品の魅力をワイワイと語ってもらった。関連する特集・インタビュー
スーパー歌舞伎「三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』」福岡公演
2024年10月8日(火)~2024年10月22日(火) ※公演終了
福岡県 博多座
スタッフ
出演
小碓命後にヤマトタケル / 大碓命:
兄橘姫 / 弟橘姫:
帝:
皇后 / 姥神:
タケヒコ:
ヘタルベ:
犬神の使者 / 琉球の踊り子 / 新朝臣:
ヤイラム:
老大臣:市川欣弥
倭姫:
国造の妻:
熊襲兄タケル / 山神:
みやず姫:中村壱太郎 / 中村米吉
帝の使者:中村隼人 / 市川團子
尾張の国造:
熊襲弟タケル:中村錦之助 / 中村歌之助
※老大臣役で出演予定だった市川寿猿は体調不良のため休演。代わりに市川欣弥が出演します。
※初出時、見出しの出演者名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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