ミュージカル「WAITRESS ウェイトレス」が東京・日生劇場で上演されている。ステージナタリーでは、3月12日18:00開演回の様子をレポートする。
本作は、2007年公開のアメリカ映画「
開演前の舞台にはベリーパイをイメージしたデザインの幕がかかり、ステージの両袖にはたくさんのパイが入った透明ケースが柱のようにそびえ立つ。冒頭、ささやくような「シュガー、バター、フラワー(小麦粉)」という女性の歌声と共に幕が上がると、ウェイトレスの青い制服を着たジェナがオープニングナンバーを歌い、アンサンブルたちが次々に持ってくるパイの材料を受け取っては、ボウルに入れてかき混ぜていく。やがてジェナの同僚であるドーン(
物語はポップな音楽と、それぞれ事情を抱える登場人物たちの軽快なやりとりによって、コメディタッチで展開。予期せぬ妊娠を喜べないジェナ、男性と付き合った経験がないドーン、病気の夫を介護しているベッキーは、気の置けない関係だからこそ、遠慮のない下ネタを交えた会話を繰り広げて観客の笑いを誘った。
ジェナはつらいことやうれしいことがあると、「シュガー、バター、フラワー」と口ずさみながら、その出来事にちなんだパイを作る。母に教わったパイ作りはジェナの特技だが、ジェナが「父の機嫌が悪いと母がキッチンでパイ作りを教えてくれた」と語るように、彼女の中でパイ作りは家族のつらい記憶と結び付いていることが明かされた。
高畑は、生地を混ぜたりこねたりといった動作に歌も混ぜ合わせ、ジェナのさまざまな感情をパイの中に織り込んでいく。初めは現実逃避のようにパイを作っていたジェナが、ポマターとの出会いをきっかけに、特技を生かして道を切り拓こうと行動し始めるさまを、高畑は力強く演じた。宮野扮するポマターは、ジェナが作ったパイを食べながら幸せそうな表情を浮かべ、パイのおいしさを観客に伝える。神経質だが心優しいポマターが思いの丈をジェナに語る場面では、繊細な歌声を響かせた。
また宮澤はヒストリーチャンネルをこよなく愛するオタクのドーンを独特の早口でコミカルに演じ、浦嶋は姉御肌のベッキーとして、包み込むような愛情深さをにじませる。さらにオギー役の
なおベッキー役は浦嶋のほか、Wキャストで
ミュージカル「WAITRESS ウェイトレス」
2021年3月9日(火)~30日(火)
東京都 日生劇場
2021年4月4日(日)~11日(日)
福岡県 博多座
2021年4月15日(木)~19日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2021年4月29日(木・祝)~5月2日(日)
愛知県 御園座
脚本:
音楽・歌詞:サラ・バレリス
原作映画製作:エイドリアン・シェリー
オリジナルブロードウェイ振付:ロリン・ラッターロ
オリジナルブロードウェイ演出:ダイアン・パウルス
翻訳・訳詞:高橋知伽江
日本版演出補:上田一豪
出演:
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【公演レポート】シュガー、バター、フラワー!高畑充希がパイで道を切り拓く「ウェイトレス」
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