本作は夏の終わりの韓国・済州島を舞台に、自主映画を撮るために集まった3人組の男女を描く青春ドラマ。大学卒業後、俳優業に専念していた青年ソンモは、自主制作で短編映画を監督しようと決意する。かつての同級生2人を連れ、リゾート地として知られる済州島へ向かうが、思うようにシナリオは書けず、煩悶しながら海辺を散策していた。そんな折、1人の女性との出会いをきっかけに、語るべき物語を見出し、海辺での撮影を始める。
2020年の「逃げた女」以降、監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽のすべてを自ら手がけ、より小規模で実験的なスタイルへと進化しているホン・サンス。「水の中で」は“全編ピンボケ”というとりわけ特異な1本であり、初上映となった第73回ベルリン国際映画祭では「決して映写ミスではない」と事前のアナウンスが入った。出演者たちの顔の判別が難しいほど焦点の甘い映像が延々と続き、観客を大いに驚かせたという。
海外では「印象派の絵画のよう」「その完成度はルーヴルに飾られる名画にも匹敵する」と評され、カイエ・デュ・シネマ誌による2024年の年間ベスト10で3位に選出された。輪郭を失い、いくつもの色が溶け合う済州島の風景が不思議な美しさを生み出している。
ミモザフィルムズが配給する「水の中で」は1月10日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。予告編はYouTubeで公開中だ。
映画「水の中で」予告編
上映企画「月刊ホン・サンス」実施情報
実施劇場
東京都 ユーロスペース ほか
作品リスト・公開日
「旅人の必需品(英題:A Traveler's Needs)」2025年11月1日(土)公開
「小川のほとりで(英題:By the Stream)」2025年12月13日(土)公開
「水の中で(英題:In Water)」2026年1月10日(土)公開
「私たちの一日(英題:In Our Day)」2026年2月14日(土)公開
「自然は君に何を語るのか(英題:What Does That Nature Say to You)」2026年3月21日(土)公開
ホン・サンスの映画作品
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