日本手話とクルド語を題材に、消滅危機言語とコミュニケーションの問題を真正面から描く映画「
「みんな、おしゃべり!」は、ろう者の親を持つ聴者の子供を意味するCODA(Children of Deaf Adults)の
今回公開された本編映像の「手話でやっちゃった編」は、夏海とヒワが父親たちの小競り合いを通訳しながら距離を縮めていく場面。トルコでクルド語が禁止されていた歴史や、“希望”を意味するクルド語“ヒワ”という名前に込められた思いを語るヒワに、夏海が無意識のうちに手話で「なるほど」と返す姿が収められ、自身がCODAであることを改めて意識する瞬間が捉えられている。
映画「みんな、おしゃべり!」本編映像:手話でやっちゃった編
もう1つの「初遭遇(エンカンター)編」は、夏海の父が営む電器店で電球が割れたことをきっかけに、ろう者・クルド人・聴者がお互いの状況を説明できず、噛み合わないまま混乱するシーン。クルド語での字幕が表示され、観客もすべてを理解できないまま展開していく。監督の河合が「観客席をろう者と聴者で混ぜこぜにしたいと考えています。隣の席で、『あ、ここで反応するんだ』とか新しい発見をしてもらえたらいいな」と語る通り、それぞれの立場や考え方の違いが自然と浮かび上がる。
映画「みんな、おしゃべり!」本編映像:初遭遇(エンカンター)編
なお本作の劇中には、音声をリアルタイムで文字化するアプリケーションシリーズ「YYSystem」が登場。これは聴覚障害者を主な対象とし、会話や環境音の文字起こしのみならず、オノマトペやアイコンで雰囲気も表現して意思疎通を支援するツールだ。ろう者のスタッフやキャストが普段使用しているアプリとして名前を挙げたことがきっかけで、そのまま映画で採用されたという。今回、東京の上映館であるユーロスペースとシネマ・チュプキ・タバタでは、上映環境におけるコミュニケーション課題の改善を図るため、期間限定で試験的に「YYレセプション」が劇場受付に設置される。
映画「みんな、おしゃべり!」上映劇場で音声文字化ツール「YYレセプション」を試験設置
河合は「制作現場において、『YYSystem』の文字起こしの精度が異例なほど高かったことに驚きました。通常、映画で文字起こし画面を使う際は、セリフ変更に対応するため、画面を合成したり別撮りすることが常識ですが、『YYSystem』はセリフがリアルタイムで一言一句そのまま表示されたため、画面を新しく作る手間や、モニターの準備が不要となり、撮影現場でそのまま使用することができました。撮影自体は大変な現場でしたが、『YYSystem』を使うシーンだけは“一撃で”終わりました」とコメントしている。
「みんな、おしゃべり!」は11月29日より全国で順次公開。初日にはユーロスペースとシネマ・チュプキ・タバタで初日舞台挨拶が開催される。チケットは各劇場の公式サイトおよび窓口で販売中だ。12月7日と12日には、シネマ・チュプキ・タバタでの舞台挨拶付き上映も決定している。
「みんな、おしゃべり!」初日舞台挨拶
東京都 ユーロスペース
日時
2025年11月29日(土)
10:00の回上映後(手話通訳・字幕付き)
13:25の回上映前(手話通訳・字幕付き)
登壇者
長澤樹 / 毛塚和義 / 福田凰希 / ユードルゥム・フラット / ムラット・チチェック / 河合健
東京都 シネマ・チュプキ・タバタ
日時
2025年11月29日(土)
18:50の回上映後(手話通訳・字幕付き)
登壇者
長澤樹 / 毛塚和義 / ユードルゥム・フラット / ムラット・チチェック / 河合健
長澤樹の映画作品
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映画ナタリー @eiga_natalie
日本手話×クルド語の言語ドラマ描く
映画「みんな、おしゃべり!」本編シーン2種が同時解禁
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