人間国宝の狂言師・野村万作を追った映画「六つの顔」8月公開、監督は犬童一心

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人間国宝の狂言師・野村万作を追ったドキュメンタリー映画「六つの顔」が8月22日に公開。本編と同じくオダギリジョーがナレーションを担当した予告編がYouTubeで解禁された。

「六つの顔」ビジュアル

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650年以上にわたり、生きとし生ける者の喜怒哀楽を笑いとともに表現し、人々の心を魅了し続けてきた狂言。その第一人者であり、今なお現役で舞台に立ち続ける万作は今年6月22日に94歳を迎える。3歳で初舞台を踏んでから、長きにわたり狂言と向き合ってきた彼は、2023年に文化勲章を受章。「六つの顔」では受章記念公演が行われた特別な1日に寄り添いながら、万作の過去と現在の姿を浮かび上がらせる。

「六つの顔」場面写真

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「六つの顔」場面写真

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同公演で万作が演じたのは、ライフワークとして取り組んできた狂言「川上」。万作のインタビューも交えながら、息子である野村萬斎、孫である野村裕基ら狂言師とともに舞台に立つ様子が映し出されていく。「のぼうの城」の犬童一心が監督を務め、万作が語る過去と現在を「頭山」の山村浩二がアニメーションでつないだ。

「六つの顔」場面写真

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万作は「芸歴90年を超えた私がいま演じる『川上』を、現在はもとより未来の観客にも観て頂きたいという思いでこのたびの映画化を思い立ちました。狂言の笑いの質は美しい『型』によって支えられています。狂言は美しくあらねばならない、と長年思ってきましたので、犬童一心監督の狂言への愛によって、映画のスクリーンがとても美しいものに仕上がったことを有難く思っております」と感謝した。

「六つの顔」場面写真

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また万作とともに監修を務めた萬斎は「この映画を通して、人間誰しも広く歴史を受継ぐ存在であり、より良い未来のために生きていく、その中でかつ自分個人の生を全うする、という大きな生き様を感じ取って頂ければ幸いです」と、裕基は「『六つの顔』を通して、自分と同じ若い世代の方にも、様々な人の様々な人生の中の一つとして、こんな人もいるのだな、と祖父の生き様をご覧いただけたらと思います」とコメント。犬童は「17歳から作り続けてきた映画、今回万作先生から私の映画を監督してもらえないかという提案は、最高の名誉、ご褒美だった」と伝えた。4人のコメント全文は後述の通り。

映画「六つの顔」は東京・シネスイッチ銀座、テアトル新宿、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開。カルチュア・パブリッシャーズが配給を担当する。

映画「六つの顔」本予告

映画「六つの顔」30秒予告

野村万作 コメント

野村万作

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狂言「川上」は、盲目の夫とその妻の物語。狂言は単なる笑いだけの芸能ではないと若い頃から考えていた私が、25歳の初演以来繰返し、大切に取り組んできた演目です。
芸歴90年を超えた私がいま演じる「川上」を、現在はもとより未来の観客にも観て頂きたいという思いでこのたびの映画化を思い立ちました。狂言の笑いの質は美しい「型」によって支えられています。狂言は美しくあらねばならない、と長年思ってきましたので、犬童一心監督の狂言への愛によって、映画のスクリーンがとても美しいものに仕上がったことを有難く思っております。ぜひ劇場でご鑑賞いただければ幸甚に存じます。

野村萬斎 コメント

野村萬斎

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「川上」という狂言屈指の名曲を、映画の手法で映像に収めると同時に、父・野村万作という狂言師の人生にも踏み込んだ映画が完成しました。父と、「川上」の盲目の男の生き様に、何かオーバーラップするものを感じて頂けるのではないでしょうか。古典芸能・狂言を伝える一家に育った我々は、「いま」という瞬間を、点ではなく、伝統という線の中で生きています。ただ、それは我々ばかりのことではありません。この映画を通して、人間誰しも広く歴史を受継ぐ存在であり、より良い未来のために生きていく、その中でかつ自分個人の生を全うする、という大きな生き様を感じ取って頂ければ幸いです。

野村裕基 コメント

野村裕基

野村裕基[拡大]

祖父・万作は今や数少ない、日本が戦争をしていた時代の記憶をきちんと持っている人で、その後ずっと狂言師として活動し、94歳になろうとする今も現役で舞台に立ち、さらに芸を高めようとしています。映画「六つの顔」を通して、自分と同じ若い世代の方にも、様々な人の様々な人生の中の一つとして、こんな人もいるのだな、と祖父の生き様をご覧いただけたらと思います。激動の時代を生き抜いてきた人の生き様に、昔を踏まえた上で、今をどのように生きるべきか、という解が込められた映画だと感じました。

犬童一心 コメント

犬童一心

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萬斎さん主演「のぼうの城」を監督した縁で能楽堂に誘われ、気づけばそこは最も好きな場所の一つとなり15年通い続けている。そしてその間最も繰り返し見て、楽しみ、考えさせられた人が「野村万作」だった。そのどんなに不埒で笑いに満ちた物語でも、常に美しく、一歩引きながらも観客の目線と気持ちを掴み続けるそのあり方、すでに93歳ながら伝わってくるふつふつとした生命力、その謎、核を映像を通して感じてもらえたらと思った。
「川上」へのこだわりについてうかがったとき、今演じるのであれば「仏の教えに、夫婦の愛が克った」そこを伝えたいとおっしゃった。人間を信じることが今こそ必要だという大きなテーマを抱えて挑戦しようとされているのだ。93歳にしてまだまだ続く芸と世界への希求にとても感動した。17歳から作り続けてきた映画、今回万作先生から私の映画を監督してもらえないかという提案は、最高の名誉、ご褒美だった。

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山村浩二 @Koji_Yamamura

人間国宝の狂言師・野村万作を追った映画「六つの顔」8月公開、監督は犬童一心(コメントあり / 動画あり / 写真16枚) https://t.co/bwnzr96p44

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