特別企画「日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭」の「
「伊丹十三4K映画祭」では、
本多は1987年の公開作「
「マルサの女」メインテーマの制作秘話を聞かれた本多は、「実は(最初は)あの曲じゃなかったんです」と切り出す。「『タクシードライバー』のメインテーマである、トム・スコットさんのおしゃれなサックスジャズバラードを目指していたんです。伊丹さんにデモテープを持って行ったら、1発でOKをもらった。撮影も後半に差しかかったところで、テレビスポットを作ることになったのですが、伊丹さんは『この曲はいい曲だから(映画公開まで)隠して取っておこう』と。『悪い人の曲を5分ぐらい作ってよ』と言われた」と回想。本多は「変拍子でテーマ曲を作ったら、伊丹さんから『これはすごいね。日本の裏社会みたいな感じがする』と言われ、最終的に全部あれになった(笑)」と裏話を披露した。なお、もともとテーマ曲用に制作していた楽曲は、板倉亮子(宮川)と秋山(マッハ文朱)の喫茶店のシーンでBGMとして使われている。
進行役である日本映画専門チャンネルの宮川朋之は、「伊丹さんに急に呼ばれて『このシーンの曲を吹いてみてくれないか』と言われ、その場でライブのような感じで何度も演奏したと聞いたことがあります」と話を振る。本多は「『あげまん』のときですね。『結婚行進曲が流れるところが寂しいから吹きに来て』と撮影所に呼ばれ、その場でサックスを入れたのを覚えています」と振り返る。伊丹とのやりとりで印象的なことを問われた本多は、「音楽家は産みの苦しみを感じ始めると、楽器の編成や編曲などに気がいってしまいがち。でも伊丹さんは『周りの音が面白いから面白い曲に聴こえているんじゃないの? 映画音楽はそれじゃダメなんだよ。サックスでやっても口笛で吹いても、鼻歌で歌っても存在感がないとダメ』と。すごいなと思いました」としみじみ語った。
「伊丹監督が今ふらっと現れたら何を話したいか?」という質問も。本多は「私が最初に参加したのが3作目の『マルサの女』。『お葬式』も『タンポポ』もヒットしたあとの3作目はすごく大事なはずなのに、なぜ当時29歳だった私を使う気になったのか知りたいですね。きっと『あんな若造を使うな』と言った人もいたと思うので、それを押し切ってやっていただいたのか、もし失敗していたらどうしていたのか、聞いてみたいです」と口にした。
その後、サックス5人編成で「伊丹十三映画音楽メドレー」が演奏されると、会場は大きな拍手に包まれた。最後に本多は「『マルサの女』が1987年、最後の『マルタイの女』が1997年。この間に30歳から40歳になったんです。この10年間、本当に濃い、またとない経験をさせていただきました。今があるのは伊丹さんのおかげだと思っていますし、これからも伊丹十三映画をよろしくお願いします」と呼びかけ、イベントの幕を引いた。
「伊丹十三4K映画祭」はTOHO シネマズ日比谷と大阪・TOHO シネマズ梅田で5月1日まで開催される。日本映画専門チャンネルでは5月に10作品の一挙放送も行われる。
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【イベントレポート🎷】本多俊之が「マルサの女」テーマ曲を生演奏、伊丹十三が話した映画音楽の定義を語る https://t.co/9I0QEDwXru