子供の頃の自分と会えたら、香港映画「久別重逢」の根底にあるもの

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香港映画「ラスト・ソング・フォー・ユー」(原題「久別重逢」)が第20回大阪アジアン映画祭(OAFF2025)で日本初上映。3月20日に大阪・ABCホールで行われたトークイベントに監督のジル・リョン(梁禮彥)が登壇した。

「ラスト・ソング・フォー・ユー」ビジュアル

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本作は香港の長洲島と日本の高知県を舞台とした物語。1枚のCDをきっかけに出会った高校生のセンワーとマンフィンは互いに恋心を持ちつつも、別々の道を歩むことになる。数十年後、有名ミュージシャンになりながら酒浸りの日々を送っているセンワーは、病院でマンフィンと再会。彼女は重病で先が長くなかった。そしてある日、センワーの前に高校生の頃のマンフィンと瓜二つなマンフィンの娘が現れる。しかし彼女にはある秘密があった。

イーキン・チェン(鄭伊健)とセシリア・チョイ(蔡思韵)が現在のセンワーとマンフィン役で出演。MIRRORのメンバーであるイアン・チャン(陳卓賢)とナタリー・スー(許恩怡)が高校生の頃のセンワーとマンフィンを演じている。

ジル・リョン(梁禮彥)

ジル・リョン(梁禮彥)[拡大]

映画「イップ・マン」シリーズなどで脚本を手がけてきたジル・リョンが初監督を務めた本作。司会から「これまで脚本家として手がけてきたアクション映画とは毛色の違う作品」と意見が飛ぶと、ジル・リョンは「私自身が好きなのはラブストーリーとファンタジー、そして音楽なんです。この3つの要素を映画に取り入れようと思って作りました」と語る。

本作の根底にある思いにも言及。「この映画の内容の多くは、約20年間、自分が脚本家として体験してきたこと。脚本を書いて、自分はすごい!と思うんですが、寝て起きたら俺はダメだ……と落ち込むことがある。その繰り返しなんです。そして自信をなくしたり、世の中に失望したときに思うのは、子供の頃の自分と会えたらいいなということ。自由自在に生きていた子供の頃の自分から、エネルギーを取り戻すことができるのではないかと思うんです。だからこの映画で試みたのは自分との対話を通じて、自分自身を取り戻す姿を描くことでした」と説明する。また「何より大切なのは自分の周りにいる人間なんですよね。その人の前だと自分が幼くなれる人だったり、愛してくれる人だったりを大切にすることで、自分自身を取り戻すことができるんじゃないかと思います」と述べた。

「ラスト・ソング・フォー・ユー」場面写真

「ラスト・ソング・フォー・ユー」場面写真[拡大]

本作の音楽を手がけたのは「インファナル・アフェア」シリーズで知られるチャン・クォンウィン(陳光栄)。観客から「ミュージシャンであるセンワーを描くにあたってチャン・クォンウィンから話を聞いたのか?」と問われると、ジル・リョンは「もちろん聞きました。イーキンに初めてこの映画の物語を話したときに、そこにチャン・クォンウィンもいたんです。実はイーキンの紹介でチャン・クォンウィンがこの映画に関わることになったんです。私は彼を捕まえて、音楽家はどういうときに自信を失うのか?などを聞きました。そこで彼はいろんな経験を語ってくれました」と明かした。

第20回大阪アジアン映画祭は3月23日まで大阪・ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館にて開催。

香港映画「ラスト・ソング・フォー・ユー」予告編

第20回大阪アジアン映画祭(OAFF2025)

2025年3月14日(金)~23日(日)大阪府 ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館

スペシャル・オープニング作品

  • 愛の兵士 ※日本初上映

コンペティション部門

  • バイクチェス ※アジア初上映
  • バウンド・イン・ヘブン ※日本初上映
  • 我が家の事 ※世界初上映
  • 団地少女 ※日本初上映
  • その人たちに会う旅路 ※海外初上映
  • 朝の海、カモメは ※日本初上映
  • ラスト・ソング・フォー・ユー ※日本初上映
  • サバ ※日本初上映
  • サイレント・シティ・ドライバー ※日本初上映
  • トロフィー・ブライド ※日本初上映
  • 私たちの話し方 ※日本初上映
  • イェンとアイリー ※日本初上映
  • 代々木ジョニーの憂鬱な放課後 ※世界初上映

特別注視部門

  • 君と僕の5分 ※海外初上映
  • そして大黒柱は…… ※日本初上映
  • イケメン友だち ※日本初上映
  • ブラインド・ラブ 失明 ※アジア初上映
  • この場所 ※アジア初上映
  • ヴィレッジ・ロックスターズ2 ※日本初上映
  • ボクシングの日 ※海外初上映
  • ヘンゼル:2枚の制服スカート ※日本初上映
  • 愛に代わって、おしおきよ! ※日本初上映
  • 屋上のレンピッカ ※アジア初上映
  • 恐るべき自動運転 ※海外初上映
  • 春二十三 ※日本初上映
  • スズキ ※日本初上映
  • 洗浄 ※日本初上映

インディ・フォーラム部門

  • Good Luck
  • 蒸発 ※日本初上映
  • よそ者の会 ※「爽子の衝動」と併映
  • レイニーブルー ※世界初上映
  • また逢いましょう ※世界初上映
  • 素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる ※世界初上映
  • 爽子の衝動 ※「よそ者の会」と併映
  • 蔵のある街 ※世界初上映
  • V. MARIA ※世界初上映
  • 桐島です ※世界初上映
  • 天使の集まる島 ※世界初上映
  • だからなに ※世界初上映
  • サラバ、さらんへ、サラバ ※日本初上映
  • 街に溶ける ※世界初上映
  • To Be A Woman ※世界初上映

特集企画<タイ・シネマ・カレイドスコープ 2025>

  • Lahn Mah(原題)
  • 青春 2001 ※日本初上映
  • ムエタイ・ハッスル ※日本初上映
  • いばらの楽園 ※日本初上映
  • タクリー・ジェネシス ※日本初上映
  • 団地少女 ※コンペティション部門にも入選
  • 私たちの愛しい旅路 ※海外初上映

特集企画<台湾:電影ルネッサンス 2025>

  • 破浪男女 ※日本初上映
  • 鬼才の道 ※日本初上映
  • 我が家の事 ※コンペティション部門にも入選
  • イェンとアイリー ※コンペティション部門にも入選
  • ブラインド・ラブ 失明 ※特別注視部門にも入選
  • 晩風 ※海外初上映
  • 寂しい猫とカップケーキ ※世界初上映

特集企画<Special Focus on Hong Kong 2025>

  • All Shall Be Well(英題)※日本初上映
  • ラスト・ダンス <ディレクターズカット> ※世界初上映
  • ラスト・ソング・フォー・ユー ※コンペティション部門にも入選
  • 私たちの話し方 ※コンペティション部門にも入選
  • 眩光 ※日本初上映

特別招待作品部門

  • PAGTATAG!ザ・ドキュメンタリー ※日本初上映
  • 6時間後に君は死ぬ ※日本初上映

芳泉文化財団協賛企画《映像研究助成》

  • 真アジ ※世界初上映
  • 不完全なわたし ※世界初上映
  • 相談
  • ヤキシムシズ ※世界初上映
  • TEN EASY PIECES ※世界初上映

泉文化財団協賛企画《映像研究表彰》

  • 金管五重奏の為の喇叭吹きの憂鬱
  • 折にふれて
  • 季節のない愛

特別上映 《VIPO Film Award の成果》

  • 蒙古馬を殺す ※日本初上映

クロージング作品

  • 桐島です ※インディ・フォーラム部門にも入選

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