映画「
本作は、魔法と幻想の国オズのシズ大学で出会った2人の魔女の数奇な運命を描くミュージカル。
「ウィキッド ふたりの魔女」ではポストプロダクションの段階でCGIを使う視覚効果“ビジュアルエフェクト”と、現場で行う特殊効果“スペシャルエフェクト”が取り入れられている。ヘルマンは「映画を観てみると、すべてのショットにビジュアルエフェクトが使われているとわかります。(観客には)願わくばそのことに気付かないでほしいです」「ビジュアルエフェクトはその世界観を構築して、物語に文脈を与えるために導入されています」と述べる。
具体的な例を挙げ「シズ大学の出だしではセット・エクステンション・ワーク(※現場にあるセットの外にある部分をCGIで補足する作業)が施されています。セットは約9mの高さまで作られていました。それから先はすべてがビジュアルエフェクトなんです」「スペシャルエフェクト部門は48tの列車、それからアニマトロニクスの魔法使いの頭も作りました。頭は(担当者)1人でコントロールして顔の動きを表現するんです」と説明。そして「約2200のビジュアルエフェクトのショットがあり、ビジュアルエフェクトだけで約1000人の人たちがこの映画に携わっていました」と規模の大きさを語った。
ヘルマンたちは「ウィキッド」前後編を英ロンドンで140日ほどかけて撮影した。制作のインスピレーションはジョンから伝えられた参考資料や、現場で美術を見ながら得ていったそう。さらに舞台「ウィキッド」も何度か観に行ったそうで、舞台での表現をどう映像に落とし込むか制作陣で話し合った。「例えば舞台の第1幕でエルファバのマントが本当に、本当に、大きくなるんです。そんなに大きなマントで(映画で)演じることはできません。約18mもあるんです。だからどうやってそういったものを模倣するか?と考えました。そして僕たちはエルファバが雄叫びを上げるときにそのショットを見せることにしたんです。観客はそこでマントがすごく大きいことに気付きます」と言い、彼女が“ほとんど宗教的な人物”で“ルネッサンス絵画”のようにスクリーンに映っていると述べる。
楽曲「ディファイング・グラヴィティ」のシーンは非常に難しかったそうで、ヘルマンはチュウとの話し合いを回想。「模型と、エルファバの人形と、(箒に見立てた)小さな棒から始まったんです。歌が流れて、彼が映画の中でどうやりたいかを見せました。そして僕たちはスタントやビジュアルエフェクト、現場で行う特殊効果を駆使してすべてを実現させたんです」と語る。「僕は毎日現場にいて1日15時間くらい撮影していました。チャレンジにアプローチするうえで何が最善の方法か、僕たちはいつも話し合っていました」と作品に熱を注いだことを伝えた。
【関連記事】「ディファイング・グラヴィティ」撮影の難しさは俳優シンシア・エリヴォも来日インタビューで語っている
「VFXのテクノロジーの進化が今後、映画製作者にどのような可能性をもたらすか?」という問いに対して、ヘルマンは「AIが僕たちがやるビジュアルエフェクトの仕事を引き継ぐとは思っていません。何かをこなすうえで最終的には人間が必要」「AIは決してパフォーマンス(演技)を生み出すことはできません。なぜなら、パフォーマンスは僕たち人間が持つ経験から出てくるものだから」と答える。そして「コンピューターはいくらでも好きなようにプログラムできます。コンピューターがとてもうまくやれることはあります」「本当に素晴らしいテクノロジーの使い方もあるんです。コンピューターをどう使うか、人間の芸術性や技術をどう使うかについてうまく対処しないといけない」と真摯に言葉を紡いだ。
「ウィキッド ふたりの魔女」は全国で公開中。
関連する特集・インタビュー
映画「ウィキッド ふたりの魔女」吹替版本予告
関連記事
ジョン・M・チュウの映画作品
関連商品
映画ナタリー @eiga_natalie
ビジュアルエフェクトだけで約1000人参加、「ウィキッド」VFXスーパーバイザーが語る
https://t.co/HhQl0c3fZL
#映画ウィキッド https://t.co/0ZVu4aCSlj