本作は人生をこじらせた哲学者と、人生をあきらめた少年が織りなす物語。大学の非常勤講師として働く昼間吉人は、妊娠中の姉から甥っ子の幸太を預かることに。そして失踪した幸太を探し出した吉人は、現実に絶望した様子を見せる彼から「ここじゃないどこかに行きたい」と意味深げに告げられる。吉人がそんな幸太に共感したことから2人は関係を深め、ともに吉人の専門である悲観主義(ぺシミズム)を突き詰めていく。
劇中では、“人生を悲観しつつも、どこか楽しい”不思議な共同生活を送る吉人と幸太の姿がつづられる。吉人役の岡山は「初めて台本をいただいた時から、人間のおかしみや眩さが散りばめられた台本に惚れ惚れとしました。生きているとふとした折に接近してくる『死』と、それでもずるずると続いていくばかりの人生の中で、世界に対しての新しい見つめ方を皆様が発見するきっかけになってくれたら嬉しいです」とコメントした。
伊吹は思想家であるエミール・シオランをモチーフにして物語を構築。タイトルについては「私が死ぬ前にエッセイ集を書くなら、タイトルはこれにしようと用意していたことばでした。人生はあまりに不可思議です」と語っている。演出・松本仁志のメッセージも後掲した。
特集ドラマ 「どうせ死ぬなら、パリで死のう。」
NHK総合 2025年3月16日(日)23:00~23:45
岡山天音 コメント
脚本の伊吹一さん、演出の松本仁志さんをはじめ、作品作りに真摯に向き合うスタッフ・キャストの皆様のもとで今作を共に編めた事、とても光栄です。
初めて台本をいただいた時から、人間のおかしみや眩さが散りばめられた台本に惚れ惚れとしました。生きているとふとした折に接近してくる「死」と、それでもずるずると続いていくばかりの人生の中で、世界に対しての新しい見つめ方を皆様が発見するきっかけになってくれたら嬉しいです。
伊吹一 コメント
6年ほど前、法律家の夢が破れ、人生のどん底にいた頃出会ったのが、今回のモチーフであるシオランという思想家でした。彼は世界を代表するペシミストですが、そのペシミストっぷりは凄まじく、読んでいて思わず笑ってしまうほどでした。それは日本の地の底から、マントルを抜け、ブラジルに突き出て、リオのカーニバルに参加するような体験でした。そんな彼の思想は、決して明るいとはいえないこの世界を生きる上で、(シオランにとっては本意ではないかもしれませんが)大きな希望になり、私はもごもごとあがいているうちに、なぜか脚本を書くようになり、こうして今回、シオランのドラマを書くことができました。
主演の岡山天音さんは同学年ですが、いつか台詞を書きたいと希(こいねが)っていた憧れの人でした。そして少し珍妙なタイトルは、私が死ぬ前にエッセイ集を書くなら、タイトルはこれにしようと用意していたことばでした。人生はあまりに不可思議です。
松本仁志 コメント
中途半端なペシミストの僕は、ドラマの企画が全く通らずに世界を悲観していた。そんな頃に、僕は脚本家の伊吹さんと出会ったのだった。お互い哲学好きだったことから話が盛り上がり、悲観的な僕にぴったりだと思ったのか、彼はシオランの本を紹介してくれた。「どうせ企画通らないし、気を遣わずに自分たちが納得できるものにしよう」と、盛り上がりのままに駆け出していたら、ドラマ化が決まってしまった。一年以上この脚本と向き合いながら、「岡山天音さんが主人公やってくれたら最高なのにね」なんて伊吹さんと話していた。ダメ元の奇跡は続き、「岡山さん、OK出ました」という連絡に僕達はただただ驚いた。それからは、素敵で尊敬できるクリエイティブなメンバーに恵まれる最高の日々。どうやら、ペシミストとして生きるのも悪くないようだ。どこか重い気持ちの時に、近い温度感で傍にいる存在。そんなドラマにできたらと思う。
ビッケ。 @vikke_bikke3
絶対みるーー!みますーー
岡山天音が人生をこじらせた哲学者に、悲観的な少年と共同生活を育むドラマ放送(コメントあり) https://t.co/UH9d3cqvAU