物語の舞台は、2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初となる新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス。世界56カ国から3711名が乗船したが、入港後の健康診断と有症状者の検体採取により10人の感染者が確認されたことで、日本は初めて治療法不明の未知のウイルスに直面することとなった。
この状況下で最前線に駆けつけたのは、家族を残し、安全な日常を捨てて命を救うことを最優先にした医師や看護師たち。当時は日本に大規模なウイルス対応を専門とする機関が存在せず、災害医療を専門とする医療ボランティア的組織のDMAT(ディーマット)が急遽対応することに。彼らは地震や洪水などの災害対応のスペシャリストではあるが、未知のウイルスに対応できる経験や訓練はされていない医師や看護師たちだった。小栗はDMATの指揮官・結城英晴(ゆうきひではる)、松坂は厚生労働省から派遣された役人・立松信貴(たてまつのぶたか)を演じ、池松は岐阜から駆けつけたDMAT隊員・真田春人(さなだはると)、窪塚は東日本大震災で結城と活動した“戦友”とも呼べる過去を持つ仙道行義(せんどうゆきよし)に扮している。
本作の企画、脚本、プロデュースを担ったのは、ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」シリーズやNetflixシリーズ「THE DAYS」を手がけた増本淳。監督は「生きてるだけで、愛。」「かくしごと」の
小栗は「当時自分が知らなかった(新型コロナウイルスと)戦った人たちがいるという物語に非常に引き込まれましたし、映画として作るべきものだなと感じた」とオファー時を振り返り、松坂は彼について「1人ひとりに対して真摯にコミュニケーションを取っていらっしゃるし、現場での立ち姿も含めて、小栗さん全体が作品を包み込もうとする、そういう温かさを持った方。それがすごく(小栗演じる)結城とリンクする部分がある」と回想。池松は「それぞれに家族があって、さまざまな背景があって、いろんな思いを持ってあそこに立ってくれていたこと、そういうことが自分の身体を通して浮かび上がってくることを目指した」と述べ、「GTO」以来26年ぶりに小栗と共演した窪塚は「旬が声をかけてくれて、新型コロナウイルスの話なんだけど興味があるかって。ちょっと警戒したんだけど台本に感銘を受けて、これはぜひやりたい」と感じたことを明かした。4名が本作を鑑賞したあとのコメントも後掲している。
あわせてYouTubeでは先行特別映像が公開。本編の一部、撮影風景、インタビューで構成されている。
「フロントライン」の配給はワーナー・ブラザース映画が担当する。
映画「フロントライン」先行特別映像
増本淳 コメント
きっかけは、まだ私たちの生活に新型コロナウイルスが深く入り込んで来る少し前、2020年3月の初めごろに出会った、クルーズ船に乗船した医師との会話でした。当時は新型コロナウイルスが蔓延するクルーズ船のことを、マスコミが盛んに伝えていましたので、私もわかったつもりでおりました。ところがその医師が語ってくれた船内の実態は、世の中に知られていないことばかりで、驚くべきことや涙なくしては聞くことのできないエピソードの連続でした。
日本中の誰よりも先に未知のウイルスに立ち向かうこととなった医師や船員、乗客たちはどれほどの恐怖や葛藤を味わったのでしょうか。また家族は彼らをどんな気持ちで送り出したのでしょうか。私はこの知られざる愛と勇気の物語を一人でも多くの人に共有してもらいたいと考えました。そしてこの度、多くの人々の協力を得て、こうして皆さまに映画という形でお届けできることになりました。
関根光才 コメント
未知のウイルスがもたらす「パンデミック」というものについて、2020年以前の私たちはほとんど無知であり、その衝撃に、私たちは人生が静止するかのような経験を共にしました。全人類が共有することになる出来事というのは、私たちが生きている間あと何回起こり得るでしょうか? その最初期に起きたとあるクルーズ船での「クラスター」、それもこの初めて経験する恐ろしい事態に突然放り込まれ、立ち向かうことになった最初の医療従事者たちや様々な人々の葛藤や愛の実話を、増本淳さんのオリジナル脚本で映画化する…稀有で、挑戦的で、私たち皆が共有すべき作品になると思いました。そしてこの作品に参加できるなら、それはフィルムメーカーとしての重要な責務だとも感じていました。もし次にパンデミックが起きた時、私たちは一体どうするのか…知られざる物語から紐解ける何かが、きっとあると思います。
本編鑑賞後のキャストコメント
小栗旬
すごく力のある映画でした。全員が主役の映画になっており、参加できたことを誇りに思います。どのエピソードも実話をベースにしたものなので、とてもドラマチックでした。
松坂桃李
撮影時は船内がどんな風に描かれていくのかわからないまま、緊張感だけは絶やさずに現場に臨んでいました。
何が起きているのかわからない。これは当時、実際に関わっていた人々の誰しもが感じていた感情だったのだと思います。観た方の中に記憶として残り、この映画を心の中で持ち続けられるような作品になってほしいです。
池松壮亮
ダイナミックな映像と人間ドラマが調和し、社会性とエンタテインメント性の両方を備えた素晴らしい映画に仕上がっていました。今作の制作に関わった全員の努力と献身に、そしてあの時この世界を支えてくれた全ての医療従事者の方々の勇気と献身に、心から敬意を表したいと思いました。
窪塚洋介
手前味噌ですがとても素晴らしい作品でした。皆で乗り越えたコロナ時代がまだ生々しいので、登場人物たちそれぞれ色んなシーンでたくさんの思いが溢れて涙に変わりました。何気ないカットにも心が震えることも多かったです。
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SYO @SyoCinema
「本作は新型コロナウイルスを題材に、事実にもとづく物語としてオリジナル脚本で映画化された日本初の作品となる」
小栗旬×松坂桃李×池松壮亮×窪塚洋介、未知のウイルスに挑む「フロントライン」6月公開
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