避難所の記憶を胸に生きた8年間、「風に立つ愛子さん」予告解禁 山崎ハコら7名推薦

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ドキュメンタリー映画「風に立つ愛子さん」の公開日が2月22日に決定。あわせて予告編がYouTubeで公開されたほか、シンガーソングライター・俳優の山崎ハコら著名人7名のコメントも到着した。

「風に立つ愛子さん」場面写真

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「風に立つ愛子さん」ビジュアル

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東日本大震災で宮城・石巻の家を津波に流された村上愛子さんの8年間を見つめた本作。当時69歳だった彼女は避難所での集団生活によって近隣の住民と寝食をともにし、心がつながるかけがえのない時間を過ごした。その後、仮設住宅で7年を過ごしたのちに復興住宅へ移っていく。作中では“被災者”と一括りにできない彼女の人生が映し出される。「石巻市立湊小学校避難所」の藤川佳三が監督を務めた。

「風に立つ愛子さん」場面写真

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予告編には愛子さんが半生を振り返る様子や、避難所での生活を思い返し「あのときに戻りたいよう。さわやかにすがすがしく生きていたあの時代に」と口にする姿を収録。終盤には、彼女が「思い出なんかなくていい!」と吐露するシーンも切り取られた。

「風に立つ愛子さん」場面写真

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山崎は「ずっと独り暮らしだった愛子さんは、避難所で家族を得た様にワイワイと暮らす。仮設住宅が当たっても外に出て人と笑って話す。更に復興住宅が当たると、震災を生き延びた強かりし年寄りはいとも簡単に壊されていく。人の為の住宅で。『津波で凍っていた心が溶け出したから涙ばかり出る。』と泣いた愛子さん。『私が生きてたって事わかってくれる人いるよね!』と喜んだ愛子さん。たった一人だという孤独は、牙なのだとわかった」とつづった。そのほか「『生きる』大川小学校 津波裁判を闘った人たち」を監督した寺田和弘、「あなたのおみとり」の監督・村上浩康らのコメントや、藤川によるメッセージも後掲している。

「風に立つ愛子さん」は東京・ポレポレ東中野で封切られ、その後全国で順次公開される。公開支援プロジェクトがMotionGalleryで1月15日23時59分まで展開中。

映画作品情報

映画「風に立つ愛子さん」予告編

安田菜津紀(メディア NPO Dialogue for People 副代表 / フォトジャーナリスト)コメント

愛子さん、あなたの生きた道のりは、過去の「思い出」になる前に、今、私たちに届きましたよ。

寺田和弘(映画監督)コメント

この作品には「愛」が溢れている。
愛子さんは歩んできた人生の記録を藤川監督に託した。藤川監督はそれを受け止めカメラを回し続けた。それは二人の「愛」の記録として映画となった。
そして、この作品を観て気づく。
孤独や絶望が続くことはないことを。「愛」は私にも、あなたにも出会う機会があることを。

炎上寺ルイコ(インディーズ演歌歌手)コメント

高齢女性で一人暮らし、しかも過酷な災害経験を持つ市井の人の抱える様々な葛藤。そして生き抜くために模索し獲得していく深淵なる人生哲学。作品は藤川監督が愛子さんの感性に呼応する様子が綴られていき、こちらも彼女の痛み喜びを共有していくような感覚に包まれる。見終わった後は監督の「誰一人も取り残さない社会への希求」が静かなメッセージとなって心の底にじんわり広がっていった。

村上浩康(映画監督)コメント

愛子さんは稀有な語り部だ。自分の人生を物語のように饒舌に語る。楽しい思い出も辛い体験も、物語として受け止めていくことで彼女は生き抜いてきたのだろう。あの震災さえも「津波様」と言って、人生の物語の中で必然化してしまう。そして愛子さんは藤川監督と出会う。愛子さんが自分に向けて綴ってきた物語は、藤川監督のカメラを通して私たちへ繋がる確かな現実となった。ドキュメンタリーが背負うものを、この映画は鮮やかに提示している。

工藤弘子(「石巻市立湊小学校避難所」出演 / ケアマネージャー)コメント

1人の名もなき石巻の女。その個性は稀有な存在であり、妖精であり、ファンタジーだ。母を看取り愛情溢れた他者への関わりも又、彼女の特性であり魅力だ。最後まで関わってくれてありがたい。全てが震災のもたらした恵みと学びの賜物で、あの日からずっと探していたものが、また収穫でき、失っただけじゃない、私の宝物が追加された。

土屋トカチ(映画監督)コメント

前作「石巻市立湊小学校避難所」で、藤川監督と愛子さんは偶然出会った。あふれる想い出を、途切れることなく話す愛子さん。孤独な魂は解放され、幼女のような瑞々しさが残った。強く思う。二人の出会いは、必然だった。3.11から14年。あの津波が運んできた、忘れ物のような映画。見つけてくれてありがとう。

藤川佳三 コメント

私たちは、今、いつ被災するか分からない世界に住んでいる。
2011年の東日本大震災の後、私は石巻の避難所で大きな縁ができた。
村上愛子さん(当時69歳)に出会った。そこから8年間のお付き合いになった。
愛子さんは、震災前からひとり暮らしだったが、
避難所になった小学校で同じく避難した人々と家族のような関係を築いた。
しかし仮設住宅、復興住宅へと住まいが移り変わることによって、
徐々に人との関わりが減っていった。
一人暮らしの高齢者の苦悩。
そして何年経っても、津波の傷が癒えることのない虚しさ。
決して愛子さんだけの問題ではない。
多くの方が、感じていることだと思う。震災は、今も続いている。
私は、この映画で心を残したいと思ったのだ。
愛子さんは、ご自身の言葉で津波に遭った人生を語った。
言葉には、おそらく浄化作用がある。
その場にいたその経験をした、その時代にいた人間の生の感情、気持ち、記憶。
当事者にしか分からない智見がある。
今一度、耳を傾けてみてはどうだろう。多くの問いかけがあると私は感じている。
私たちは、震災の後をどのように生きていくのか。

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