マレーシア映画「幼な子のためのパヴァーヌ」が昨日10月30日に第37回東京国際映画祭でワールドプレミア上映。監督・脚本を担当したチャン・ジーアン(張吉安)、キャストの
多くの赤ちゃん置き去り事件が社会問題になっているマレーシアを舞台とした本作。赤ちゃんポストを守る1人の女性ソーシャルワーカーの目を通して、根強く残る家父長的な男性優位社会の姿をあぶり出すとともに、女性たちが背負わされてきた苦難の歴史を見つめていく。
制作のきっかけを問われたチャン・ジーアンは「2016年に大学の同級生から赤ちゃんポストでボランティアをしていると聞いたんです。彼女は付き合っている彼氏に捨てられたこと、そして中絶の経験があったことから、そこで働くことになったと話してくれた」と振り返り、「彼女はムスリムなんですが、ムスリムの人は保守的。家族から『赤ちゃんポストは生殖のシステムをめちゃくちゃにしてしまう』『そういう仕事をしていると天国に行けない』と言われたと言っていました」と述懐。そして「2021年になって映画に出資してくれる人が現れたことから、赤ちゃんポスト、そして中絶の問題をテーマに映画を撮ることになりました」と説明した。
フィッシュ・リウはオファーを受けた理由について「12年香港で芸能活動をしているのですが、私はマレーシア人なので、マレーシアでも仕事をしたいと思っていたんです。監督はマレーシアの方なので、脚本を読む前から出演したいと思っていました」と述べ、「堕胎の問題、そしてどういうふうに産み育てていくかというテーマにもとても惹かれました」と伝える。またナタリー・スーは「マレーシアはさまざまな民族、さまざまな文化が一緒になっている国。そういったところで、どういうふうに女性たちが生きているかに興味を持ちました。そして演じた役は私とはまったく違うキャラクター。そこにも惹かれたんです」と出演した理由を語った。
劇中で宗教家が自身の立場を利用しておぞましい事件を起こすことに触れ、「実際の事件がもとになっているのか?」という質問が飛ぶ場面も。チャン・ジーアンは「さまざまな取材をしてこの作品を作りました」と答え、「コロナ禍で閉じ込められ、そして思わぬ妊娠をしてしまった女性たちが、心を軽くするため、宗教にのめり込むという話も取材で聞いたんです」と思い返した。
「ゆっくり映画制作ができたことが印象的だった」と話すフィッシュ・リウとナタリー・スー。フィッシュ・リウは「ゆっくりとおしゃべりをし、いろいろなことを相談しながら映画を撮影できたことがうれしかったです」と言い、ナタリー・スーも「ワンシーンごとに、ここはこういうものを取り入れたほうがよくなるんじゃないかと話し合っていました。そんな撮影に加われて幸せでしたし、楽しかったです」と笑みをこぼした。
Kumi @tokyohongkong
赤ちゃんポストが題材、チャン・ジーアンが「幼な子のためのパヴァーヌ」制作経緯語る https://t.co/OP6ujnVPck
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