「侍タイムスリッパー」の監督・
安田自身の体験にもとづいた同作は、広大な田んぼをめぐる相続人たちの物語。幼い頃に両親が離婚した瑞穂は、30年以上離れて暮らしていた父親・玄次郎の訃報を受けて、娘の楓とともに田舎に戻る。そこには、父親が残した広大な棚田が広がっていた。家にいたのは、父親の内縁の妻・和枝と7歳の息子。海外出張中だった姉の早苗も駆け付け、弁護士・常田が仕切る中「続ければ赤字、やめれば大赤字」な棚田の相続を懸けた“家族会議”が始まる。
俳優業と農業の“二足のわらじ”を履く小林が瑞穂、白山が楓を演じ、鈴木が和枝役、美村が早苗役で出演。そして「侍タイムスリッパー」で知られる山口は常田役に選ばれ、奥田は玄次郎役で参加した。脚本を大村仁望が手がけ、佃尚能が演出を担っている。
安田は「市場価格という経済の概念で語られがちな米ですが、経済だけで考えるとやめてしまうのが一番早い答えです。そうしないのは『日本の主食を守る』と言う責任感、一種の犠牲的精神なのかもしれません」と言及し、「本作が、赤字にあえぎながら、使命感や責任感でなんとか作られている米の行く末を考えて頂くきっかけになればと願います」とアピールする。小林は「米不足や備蓄米の放出──お米をめぐる状況は今、激しく動いています。このタイミングでお声がけいただき、瑞穂を演じられたことはまさに運命だと感じています」と吐露し、「『毎日、美味しいお米を食べられるのは当たり前じゃない』。この作品が、そんな小さな気づきを生むきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません」と語った。
FMシアター「田毎の月が沈む」放送・配信情報
NHK-FM 2025年8月23日(土)22:00~22:50
※NHKネットラジオ らじる☆らじるにて聴き逃し配信あり(1週間)
出演:小林涼子 / 白山乃愛 / 鈴木杏樹 / 美村里江 / 山口馬木也 / 奥田瑛二 ほか
原案:安田淳一
脚本:大村仁望
制作統括:石澤かおる
演出:佃尚能
安田淳一 コメント
先祖代々米を作ってきました。父は市役所に勤めながら、様々な事情で「米作りを続けられない」農家から田んぼを預かって、多い時で5町半(東京ドーム1つ分)ほどを1人で見ていました。その父が一昨年に亡くなり、赤字とわかっているのに米作りを引き継いだ大きな理由は「日本の米を守らなければならない」と言う使命感からでした。
日本の米農家の大部分を占める中小農家のほとんどは赤字で、米だけで生活していくことは出来ません。今回、物語の舞台となる山間部の棚田は、圃場整備もままならず大規模化もかないません。担い手もなく、雑草だらけの荒れ果てた元農地がむなしく広がっています。恐らく近い将来、日本の原風景とも言える美しい田園風景、そして米を食べるという根源的な文化さえなくなってしまうのかもしれません。
ともすれば市場価格という経済の概念で語られがちな米ですが、経済だけで考えるとやめてしまうのが一番早い答えです。そうしないのは「日本の主食を守る」と言う責任感、一種の犠牲的精神なのかもしれません。本作が、赤字にあえぎながら、使命感や責任感でなんとか作られている米の行く末を考えて頂くきっかけになればと願います。
小林涼子 コメント
2014年から俳優業のリフレッシュを兼ね、高齢化が進む新潟の棚田で稲作を手伝ってきました。澄んだ空気、美味しいお米、農繁期になるとみんなでわいわい笑いながら汗を流す農作業──この日々が当たり前に続くものだと信じていました。
ところが2021年、家族の体調不良とコロナ禍が重なり、現地へ行けなくなりました。季節は私の事情など関係なく巡り、田植えも稲刈りもやってきます。「もし私たちが作らなかったら…?」その不安が胸を締めつけました。守りたい。未来へ繋げたい。持続可能な形を模索し、俳優業と二足のわらじで起業する決意に繋がりました。
米不足や備蓄米の放出──お米をめぐる状況は今、激しく動いています。このタイミングでお声がけいただき、瑞穂を演じられたことはまさに運命だと感じています。「毎日、美味しいお米を食べられるのは当たり前じゃない」。この作品が、そんな小さな気づきを生むきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
NeuroDrift @HInkspire
@eiga_natalie 時代を超える物語にワクワクする✨どんなドラマになるのか楽しみ!