三上智恵の6年ぶり新作「戦雲」予告解禁、瀬尾夏美ら各界著名人のコメントも

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「標的の村」「沖縄スパイ戦史」の三上智恵が6年ぶりに監督を務めたドキュメンタリー映画「戦雲(いくさふむ)」。このたび、本予告と各界著名人のコメントが到着した。

「戦雲」ポスタービジュアル

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「戦雲」場面写真

「戦雲」場面写真[拡大]

「戦雲」場面写真

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本作は2015年から沖縄本島、与那国島、宮古島、石垣島、奄美大島などを巡り取材を続けてきた三上による最新レポート。YouTubeで公開された本予告には、沖縄・南西諸島の急速な軍事要塞化の現状や島民の暮らしの一片が収められた。予告編ディレクターはアキ・カウリスマキ監督作「枯れ葉」などの予告編を手がけた遠山慎二が務め、音楽は「沖縄スパイ戦史」に続き勝井祐二が担当した。

本作を鑑賞したアーティスト・詩人の瀬尾夏美、ラッパーのDARTHREIDER、時事芸人のプチ鹿島、作家・音楽プロデューサーの松尾潔といった著名人11名のコメントは以下に掲載した。なお三上の特集上映が、4月13日から19日にかけて東京・シネマハウス大塚で開催される。詳細は続報を待とう。

「戦雲」は3月16日より東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開。

映画「戦雲」本予告

池田香代子(翻訳家)コメント

薄さと厚み
この7年を記録するカメラは、真新しい自衛隊基地と、それがまだなかった風景の重層を島々に追う。人々の語りがあの戦争に降りていくとき、取り返しのつかなさが歴史の深みから湧き上がる。それにしても、平和な島を諦めない人々の列の薄さよ。そこにいない私を打つな、打て。人々の心の奥底から湧き上がる、誇りと戦火への否が雲を突き、空を突く。

石井暁(共同通信編集委員 / 立命館大学客員教授 / 「自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体」著者)コメント

台湾有事を想定して自衛隊と米軍は、日米共同作戦計画の策定を急いでいる。計画で戦域となるのは南西諸島だ。「沖縄を再び戦場にするのか」。「戦雲」の問いかけは重い。

瀬尾夏美(アーティスト / 詩人)コメント

うつくしい風景を切り崩し、増殖していく軍事施設
物々しい武器が島に持ち込まれるのを阻止しようと
声を上げるうつくしい人びと
声は、聞かれるために、受け止められるために発される
しかしそれを意図的に黙殺する者たちが立ちはだかる
カメラは表情を消した彼らの顔と
はねのけられた声そのものを記録し
わたしたちの前へと差し出す
声を、聞かなければならない
聞くのは、わたしたちだ

DARTHREIDER(ラッパー)コメント

丸腰の節子さんが歌う。皆で船を漕ぎ、エイサーを踊る。海では魚が跳ねて、山では山羊が草を食べる。大きな雲が差し掛かる中、僕たちが“守る”べきものとはなんなのか?

武田砂鉄(ライター)コメント

話が違う、と繰り返し叫ぶ。
約束を破った者たちが黙る。
今、繰り返されていること。
杖をついた老婆が、銃を持った若き隊員に話しかける。
どちらも平和を望んでいる。
この矛盾は誰が作り出したものなのだろう。

永井玲衣(哲学者)コメント

「国を守れ」とあなたが言うとき、そこに誰がいるだろうか。あるいは、誰を含んでいないのだろうか。平和をつくることよりも、平和から遠ざかる方が、ずっとお手軽で、あっけなくて、簡単だ。仕方ないとうなだれる前に、わかったふりをして居直る前に、聞くべき声がある。

濱治佳(山形国際ドキュメンタリー映画祭)コメント

沖縄本島から、離島の与那国島、宮古島、石垣島での取材を続けた8年間に起きたこと、歳月を重ねたからこそ見えてくること。三上さんは、住民の方々一人ひとりの生活圏を脅かされることへの当たり前のNOを発信する姿、国や自治体の戦略により分断される人々、変わっていく島の景色をカメラで紡ぎ続ける。過去を振り返る複雑な声、切迫した荒々しい声、日常を語る柔らかな声、祭りを楽しむ揚々とした声、山里節子さんが唄う民謡とぅばらーま・・・重なり合う声や顔が、見ている私たちを、「現場」へと誘い引きつけてやまない。そしてそれは、自分の足元で起きていることだと何度も気づかせてくれる。

プチ鹿島(時事芸人)コメント

島の人々の生活や豊かな文化が丁寧に描かれている。顔や人生がはっきりと見える。
だからこそ、穏やかな日常が「戦雲」に覆われ始めたことに戦慄する。この映画を見ることは重要だ。
沖縄の問題ではなく日本の問題なのだから。

松尾潔(作家 / 音楽プロデューサー)コメント

戦争と平和、そして、老人と海。これは「正しく怒るためのレッスン」だ。昨年3月、石垣島に陸上自衛隊のミサイル基地が開設した。「国防上の空白解消」と伝える報道もあるなか、反対を続けてきた島民にはどれほどの「敗北」だったか、観ればわかる。いや、観なければわからない。印象的なのは、この映画には正しく怒るひとだけが浮かべることのできる笑顔も収められていること。どこまでも青い海をバックに鳴る坂田明のサックスの美しい音色は、怒りを昇華してたどり着く崇高さの鮮やかなメタファーである。

安田菜津紀(メディア NPO Dialogue for People 副代表 / フォトジャーナリスト)コメント

この映画が問うのは、「沖縄の島々なら押し付けてもいいだろう」と要塞化を進める国以上に、「ヤマト」に暮らし、「押し付けても許されるだろう」と国に思わせている私たち自身ではないか。

和田靜香(ライター)コメント

国防という名のもと、南西諸島でグロテスクなほどに暴走する国家。でも、その島々で暮らし、祭りに沸き、歌い、抗い続ける人たちがいる。
ああ、生活とはなんとたくましいものだろう。私も日々の営みから声をあげていかなきゃ。これは日本に住む私たちみんなの問題なのだから。

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(c)2024『戦雲』製作委員会

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わー!『沖縄スパイ戦史』の人だ!行かねば。
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