韓国BLドラマ「セマンティックエラー」のマスタークラスが、台湾・台北で行われたアジアのコンテンツビジネスの祭典「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest)」内で11月8日に開催。監督の
コンテンツ業界のプロが世界中から集結するTCCF
台湾・文化部(日本の文科省に類似)によって創設された台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA)が主催するTCCFは世界のコンテンツ産業のための展覧会と見本市。コンテンツ業界のプロフェッショナルが世界20カ国以上から集結しており、その企画の1つとして「セマンティックエラー」のキム・スジョンとイ・ハウンが招かれた。同作はモデルのような容姿で大学の人気者であるデザイン科の学生チャン・ジェヨンと、周りから変わり者と呼ばれるコンピューター工学科の学生チュ・サンウという2人を軸に展開する物語。予期せぬエラーにより正反対の2人が惹かれ合うさまが描かれる。
TAICCAの職員によると、台湾BLの強みは比較的寛容な社会の空気の中、クリエイターが物語の題材を選べることだという。この日のイベントでもイ・ハウンは「台湾社会はBLに関してオープンマインドだと感じています」と印象を伝えた。
目指したのは観終わったあと恋愛をしたくなるような作品
「セマンティックエラー」を大ヒットに導いた立役者の1人であるイ・ハウンは、プロデューサーの仕事は原作を深掘りし、作品のテーマや方向性を決め、よい制作チームを作ることであると説明。「『セマンティックエラー』を制作する中で、作品を大衆化するということをとても重要視していました」と振り返り、「ドラマを観終わったあとに恋愛をしたくなるような作品を作ろうと思いました」「コメディが好きな人、ロマンスが好きな人、両方が楽しめるようなドラマにしたいと考えたんです」と語った。
イ・ハウンは「セマンティックエラー」の魅力として「原作がヒットしており、知名度が高い」「社会の問題を反映している」「ロマンティックな要素がある」というポイントを挙げる。「最終的な目標はBLに対する視聴者の偏見をなくすこと。こういった思いも作品が広く親しまれることにつながったと思っています。今回の機会を通して『セマンティックエラー』を好きな皆様に感謝を伝えたいです」と思い入れたっぷりに口にした。
俳優視点からウェイン・ソンは「BLに関しては化学反応を大事にしていると思います。僕自身もいくつかBL作品に出ていますが、お互いを好きになる理由をしっかり見つけることがとても大事です」と述べ、「相手を観察し好きなところを見つけ、それを役になじませていきます」と伝える。
一番大切なのはストーリー
「セマンティックエラー」の監督を務めたキム・スジョンは、ドラマの視聴者の90%が女性であることに触れつつ「ターゲット層が明確であることはクリエイターにとってよいことです」とコメント。ドラマの視聴者層は自身の好きなものをシェアするのが好きな人だと分析していたそうで「私たちの作品はショート動画などに切り取られ、拡散されるのではないかと思っていました。だから照明や美術、角度などにおいて、美しいニュアンスを細かく加えていきました」とこだわりを明かす。そしてファンによるスクリーンショットが拡散されたシーンの1つとして、机の上で眠っているジェヨンの顔を見つめ、サンウが「こんな顔だった?」と口にするシーンが紹介された。キム・スジョンは「どうですか? ロマンティックじゃないですか?」と笑顔で観客に問いかけ、「今皆さんにお見せしたのは初めてサンウの心が動いたシーンです。この場面に関しては、撮影している最中に視聴者から反響があるだろうと感じました」と思い返す。
またキム・スジョンは「一番大切で、視聴者が観たいのは細やかなストーリー。ドラマの中でキスだけしていればいいわけじゃない。BLに特殊性を求めて、ストーリー性を失うのは違います」と述懐。「今までの成功事例をもとに作品を作ったところで同じように成功するとは限りません。魅力的な作品を作るための努力が大切です」と言及した。
なおイベント終盤では「セマンティックエラー」の大ファンだというウェイン・ソンが「ファンミーティングはしてくれますか?」と尋ねる場面も。イ・ハウンは「この機会にまた『セマンティックエラー』を観返したんですが、本当にかっこいいと思いました。ファンミーティングができたらいいですよね」と期待を込めた。
なお映画ナタリーでは本イベント直後にウェイン・ソンにインタビューを実施。マスタークラスに参加した感想や、俳優目線で捉えたTCCFの魅力などを聞いた。後日公開する予定だ。
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