映画「
松浦寿輝による同名の芥川賞受賞作を映画化した本作。ピンク映画業界で生きる映画監督・栩谷(くたに)と脚本家志望だった男・伊関の人生が、女優・祥子との奇縁によって交錯していくさまが描かれる。綾野が栩谷、柄本が伊関、さとうが祥子を演じた。
タイトルの「花腐し」とは、梅雨入り前の長雨を表す言葉。綾野が「(公開初日となる)昨日は雨が降っていて、この作品を迎え入れていただけたような気持ちになりました」と言うと、柄本も「僕も初日に雨が降ってて、なんかいいじゃん!と(笑)。映画の神様が付いてくれているんじゃないかと思いました」と同意する。さとうは「観客の皆さんは、最後の激エモ展開まで観てくれたということですよね。素晴らしいんです」と綾野を指してたたえた。荒井は「この歳になると、青山真治や斎藤久志といった下の連中も死んでいっちゃう。いつ自分の番が来るかと考えて、人が死んでいなくなることについての映画をやってみたいと思ったんです」と製作経緯を説明した。
出演の決め手を尋ねられた綾野は「素直に、荒井監督の現場に行きたいと思いました。映画人たちの中で学びたかったし、脚本から映画の匂いがわき立っていた。あの脚本に出会えたのが何よりうれしくて、ご褒美のようでした」と回答。柄本も「やっぱり脚本が面白かったし、荒井さんのファンだからというシンプルな理由です」と話しつつ「『火口のふたり』のとき、個人的に少し心残りな部分があったので、もう一度チャレンジできるチャンスが来たからということでもあります」と明かした。さとうはオーディションを経て起用されたそうで「映画を本当に好きなお三方とやらせていただけた」と改めて喜びをにじませる。
また、撮影を振り返った柄本が「『火口のふたり』で大体のお尻は出し尽くしたのかと思ってたんですが、こういう“お尻パターン”が残ってたのかと。まだ残っていそうなのでまたお願いします」と笑うと、綾野も「本当に果てしない」とつられて笑顔に。柄本はさらに「掘れば掘るほどある。助監督が研究に研究を重ねていました」と現場での試行錯誤を動きで再現し、会場に笑いを起こした。
「印象的なシーンは?」と聞かれたさとうは「序盤に雨に濡れて、祥子と栩谷さんが帰ってくるシーンです。監督がその場で『お前を濡らさないためじゃないか!』という栩谷のセリフを追加したんですが、綾野さんは『荒井監督自身が言いそうなセリフだ』とおっしゃっていて。そのセリフを綾野さんが自分のものにして演じるのを見て、うわー!と思いました」と回想。役に荒井自身のエッセンスを取り込んだという綾野は「監督の間(ま)もそうですし、鼻をすする仕草はムードがあって色っぽいなと思っていました」「栩谷は映画監督、伊関は脚本家志望、祥子は女優。彼らの断ち切れない因果関係や親和性を大切に紡ぎたかったんです。目の前にいる映画人を見ることで、一番説得力のある演技が生まれると思いました」とコメント。そして「栩谷は表情から出る情報が少ない人。でも人って、自分が感じていることをそのまま表現できる人のほうが少ないんじゃないでしょうか。でも心は動いている。そこを肯定したい」「僕も自分が何者であるかを表現できないので、役を通して学んでいるところがある」と思いを口にした。
「花腐し」は全国で公開中。
※「花腐し」はR18+指定作品
映画「花腐し」予告編
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【舞台挨拶レポート】脚本から映画の匂い…綾野剛が「花腐し」の日々回想、柄本佑は“お尻パターン”に豊かさに驚く(写真12枚) https://t.co/Lq7phDMQPU
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