特集「城定秀夫という稀有な才能」開催経緯を市山尚三が回想「世界に広まれば」

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第36回東京国際映画祭の記者会見が本日10月3日に東京・日本外国特派員協会で行われ、同映画祭で特集が組まれる映画監督の城定秀夫と同映画祭のチェアマンである安藤裕康、プログラミングディレクターの市山尚三が出席した。

第36回東京国際映画祭記者会見の様子。左から市山尚三、城定秀夫、安藤裕康。

第36回東京国際映画祭記者会見の様子。左から市山尚三、城定秀夫、安藤裕康。

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第36回東京国際映画祭ポスタービジュアル

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映画の力で多種多様な世界をよりカラフルにしていくことをミッションに掲げる本映画祭。安藤は「今年はコロナ禍が明けて、例年以上に海外からたくさんのお客様をお招きしたいと思っています。レッドカーペットには多くの監督、スターに歩いていただける。ぜひ楽しみにしてください」と述べる。また映画祭で2023年に生誕120年を迎える小津安二郎の特集が実施されることに触れ、「今年のコンペティション部門の審査委員長をどなたにするか? 海外でもっとも深く小津安二郎を尊敬している方がいいとヴィム・ヴェンダース監督にお願いしました」と説明し、小津作品の上映以外に、ヴェンダース、黒沢清、ジャ・ジャンクー、ケリー・ライカートらによるシンポジウムが開催されることを紹介した。

市山尚三

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城定秀夫

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今年の東京国際映画祭ではNippon Cinema Now内で「監督特集 映画の職人 城定秀夫という稀有な才能」という特集を展開。城定の監督作「銀平町シネマブルース」「ビリーバーズ」「愛なのに」「アルプススタンドのはしの方」がスクリーンにかけられる。さらに城定が手がけた「出来ごころ」も特別上映。これは小津安二郎の生誕120年を記念して、彼の初期サイレント映画群がドラマリメイクされた「連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~」の1本となっている。市山は「城定監督は100本を超える映画を作っています。監督の映画が世界に広まればと、去年から特集の実施を考えていました」と振り返り、「昨年『ビリーバーズ』を劇場で観て、これは面白い、監督の作品を紹介したいと思ったのが1つのきっかけです。もう1つの理由は、WOWOWから『連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~』の上映を検討してほしいという話があったとき、その中に城定監督のお名前があったこと。『出来ごころ』はテレビドラマでありながら、非常に映画的な感覚で撮られた作品です」と伝えた。城定は自身の特集が組まれることについて「信じられない思いで、光栄です。初めはピンク映画から入って、それをやりながらVシネマを撮ってきた。ジャンル映画を手がけてきて、国際的な映画祭とは無縁な映画人生。それに対してどう思っていたわけでもないんですが、僕の作品を多くの人に観てもらえるのはうれしいです」と述懐する。

安藤裕康

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イベント中には小津作品が今、語られることの重要性について話が及ぶ場面も。安藤は「小津さんの映画って、現代人にとってはテンポも遅いし、同じような話を作っていると見えるかもしれない。でも日本人の原点、もっと言えばユニバーサルな人間の原点、人間の生き方がそこにある」と言及する。

市山は「大学のときに観た『秋日和』が初めての小津体験だったんですが、感動した以上に異常な体験をしたと思ったんです。宇宙人が会話しているようなスタイル。作品を観ていってだんだんこういうスタイルなんだとわかっていきました」と思い返し、「小津さんの作品は、観た人の人生経験に応じて、いろんな見方ができる作品だと思います。余白みたいなものがあって、過去に観た作品を見返しても印象が違うこともある。新たな発見をしてもらいたいと思い、今回プログラムを組みました」と続けた。そして「今回上映する『父ありき』という作品は、長らく音声が悪く、不完全なプリントしかなかったんです。それが、ロシアで音声がいい状態で、しかもカットされたシーンが入ったものが発見されました。ちなみにGHQによって検閲され、カットされた部分です。満州で上映されたものが、モスクワのアーカイブに保管されていました。それを復元して上映します。現存残っている最長のバージョンで、音声も飛躍的に向上しているので注目してほしいです」と期待を煽り、「『突貫小僧』はもともと松竹にも原板が残っていなかったんです。その後、家庭用に売られていたバージョンが発見されて、さらに昨年新しいバージョンが発見された。それが今回、ワールドプレミアでお披露目されます」と紹介した。

第36回東京国際映画祭記者会見の様子。左から市山尚三、城定秀夫、安藤裕康。

第36回東京国際映画祭記者会見の様子。左から市山尚三、城定秀夫、安藤裕康。[拡大]

「小津監督の作品をなぜ今リメイクするか? そこに一番ぶつかった」と話す城定は「『連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~』は小津監督のサイレント期の作品を現代風にリメイクしてほしいという企画だったんです。ただ、サイレント期の小津監督は先ほどのお話にあったスタイルがまだできていない頃で、ギャングものあり、人情ものあり、サスペンスありでなんでもやっていた。プログラムピクチャーを撮っている監督という印象なんです。だから一般的な“小津安二郎の作風”ではないものをリメイクするという難しさがありました」と回想し、「『出来ごころ』という作品は僕が選んだんですが、喜八という人物の父と子の物語なんです。現代にも喜八というキャラクターはいなくはないなと。こういう父と子の関係ってあるし、何年経っても普遍的な部分がある。それを物語にできないかというアプローチの仕方でした」と説明。続けて「小津さんの撮り方をマネしたら意味があるのか?と思ったんです。普段から僕の映画というのは古典的な映画の撮り方なんですが、その中に“小津安二郎”というのは大きな存在としてある。だからあまりリメイクという意識はせずに作りました」と口にした。

第36回東京国際映画祭は10月23日から11月1日にかけて東京都内各所で開催。チケットは10月14日10時から部門別に順次一般販売される。先行抽選販売される作品もあるためご注意を。

第36回東京国際映画祭

2023年10月23日(月)~11月1日(水)東京都 日比谷・有楽町・銀座エリア

Nippon Cinema Now

監督特集 映画の職人 城定秀夫という稀有な才能

「銀平町シネマブルース」
「ビリーバーズ」
「愛なのに」
「アルプススタンドのはしの方」

小津安二郎 生誕120年記念企画

小津安二郎生誕120年特集上映

「非常線の女」4Kデジタル修復版
「大人の見る繪本 生れてはみたけれど」4Kデジタル修復版
「父ありき」4Kデジタル修復版
「長屋紳士録」4Kデジタル修復版
「菊五郎の鏡獅子」4Kデジタル修復版
「風の中の牝鷄」4Kデジタル修復版
「宗方姉妹」4Kデジタル修復版
「小早川家の秋」4Kデジタル修復版
「晩春」4Kデジタル修復版
「麥秋」4Kデジタル修復版
「東京物語」4Kデジタル修復版
「東京暮色」4Kデジタル修復版
「彼岸花」デジタル修復版
「浮草」4Kデジタル修復版
「秋日和」デジタル修復版
「秋刀魚の味」デジタル修復版

小津安二郎生誕120年記念シンポジウム SHOULDERS OF GIANTS

「お早よう」デジタル修復版(ヴィム・ヴェンダース×黒沢清×ジャ・ジャンクー×ケリー・ライカートらによるシンポジウムあり)
J-WAVE 公開収録
小津安二郎生誕120年×三越創業350周年特別企画 音語り|東京物語~小津安二郎を聞く~

TIFF/NFAJ クラシックス 小津安二郎監督週間

「学生ロマンス 若き日」
「大学は出たけれど」
「東京の女」
「淑女と髯」
「突貫小僧」パテベビー短縮版
「突貫小僧」マーヴェルグラフ版
「朗かに歩め」
「その夜の妻」
「東京の合唱」
「青春の夢いまいづこ」
「出来ごころ」
「母を恋はずや」
「浮草物語」
「東京の宿」
「一人息子」
「淑女は何を忘れたか」
「戸田家の兄妹」

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城定秀夫 @jojohideo1975

きんちょうしましたー https://t.co/EaqGITXynm

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