記憶と言葉を失った男が23年ぶりに帰郷、アクタン・アリム・クバトの監督作公開

第35回東京国際映画祭のコンペティション部門でワールドプレミア上映された映画「This Is What I Remember（英題）」が、「父は憶えている」の邦題で12月1日より東京・新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開される。

実話にもとづく本作の主人公は、23年前にロシアに出稼ぎに行ったきり行方がわからなくなっていたザールク。故郷であるキルギスの村に帰ってきた彼は、記憶と言葉を失っていた。家族や村人たちの心配をよそに、ザールクは村のゴミを黙々と片付けていく。劇中では、穏やかな暮らしの中に迫る村の権力者による圧力や、故郷が近代化の波にのまれて変わっていくことに抗い、伝統と文化を守ろうとする家族の姿が描かれる。「馬を放つ」などで知られるアクタン・アリム・クバトが監督と主演を務めた。

解禁された場面写真には、ザールクの伸びきった髪を孫娘が切る様子や、若い頃のザールクが妻ウムスナイと写ったモノクロ写真などが収められている。