「
本作は父親の訃報を知った42歳のフリーター・陽子が、24年間帰っていなかった故郷の青森・弘前に向けてヒッチハイクで向かう物語。TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2019の脚本部門で審査員特別賞を受賞した
熊切は「22年前、僕の商業デビュー作『空の穴』で菊地さんにヒロインをやっていただいたあと『バベル』で世界的な俳優になられて、うれしかった反面『菊地さんの代表作を先に撮られた』という悔しさを感じていました。遠い存在になってたんですが、一緒に映画を撮れて夢のような時間でした」と口にする。菊地は「長く役者をやっていてよかったなと思いました。初めて名前のある役をくれたのも、みんなで映画を作る楽しさを教えてくれたのも熊切監督。自分を拾ってくれた監督が声をかけてくれてうれしかったですし、自分も20年間きちんと作品をやってきたからこそ、また一緒にやれたと思っています」と感謝を伝えた。そして「これは陽子の再生を描いている作品。あることをきっかけに人生の前も後ろも見れなくなることは私の実人生でもありました。私自身、いろんなことがあっても、そのたびに映画に救われてきました」と話しながら涙を流す菊地に、会場からは温かい拍手が送られた。
イベント中盤には、陽子を乗せる怪しいフリーライター・若宮修を演じた浜野が「熊切さんから『ハマケンのままで演じてくれ』と言われて、『俺をそういう目で見てんのか?』と思いました」と疑問をぶつける場面も。熊切は「誤解なんです! 普段、すごく物腰がやわらかくて優しい方なんで、いかにもチャラついた人がああいうことをするより強烈なキャラクターになるかなと思って『できるだけ普通に』と言ったんです」と説明した。
また、本作の設定にちなみ「間に合いそうで間に合わなかった、または間に合ったエピソードは?」という質問が飛ぶと、竹原は「せっかちですし、早めに準備して行動するタイプなので、間に合わなかったことはないです!」と言い切り、共演者を笑わせる。オダギリは「別の作品の撮影現場に差し入れのドーナツがあって、次の日の朝ごはん用に持って帰ったんです。ワクワクしながら寝て、起きて、ドーナツを食べて、寝たんです」と話したところで共演者からは「え?」という声が上がる。オダギリが「結局トイレに行った(夜中の)3時ぐらいに食べてたんです。間に合ったどころか、だいぶ生き急いでました」と穏やかな表情で述べると、完成されたトークに会場からは拍手が起こった。
菊地は、6月に中国で行われた第25回上海国際映画祭のエピソードを披露。コンペティション部門で最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞の最多3冠に輝いた本作だが、彼女は「授賞式が終わったらすぐに帰るスケジュールで、帰りの飛行機に間に合うようにトイレで早着替えして……。アフターパーティにも参加せず、トロフィーを裸で抱えて急いで空港に向かったので、『窃盗団みたいだね』とみんなで話しました」と、裏話を明かした。
最後に菊地は「自分はあと何役できるだろうか、と考えているときにこのお話をいただきました」とオファー時を回想し、「観ていただくことが何よりも自分の糧になります。皆さんの胸に届いていたら、お友達や家族にも共有していただけたらと思います」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
「658km、陽子の旅」は全国で順次公開中。
最新エンタメニュース @_let_it_be
「658km、陽子の旅」菊地凛子「役者やっててよかった」と涙、上海国際映画祭の裏話も(写真16枚) https://t.co/y5HCIfFcIX
#658km陽子の旅 #菊地凛子 #竹原ピストル #オダギリジョー #浜野謙太 #熊切和嘉